ホンダ・CBR1000RR-R FIREBLADE SPで郊外を疾走。|高回転型エンジンとは思えぬ、大人びたパワー特性でした!

2020年3月のフルモデルチェンジ登場後、2年毎に刷新されて2024年3月に仕様変更された最新モデル。その変更内容は、単なるカラーリング・チェンジに留まらず、エンジンから車体に至るまで細部に渡って熟成されているのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田 俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

ディテール解説

最新鋭を感じさせてくれる精悍なフロントマスク。
黒色のキャストホイールを採用。φ43mm倒立式フロントフォークはオーリンズ製NPX Smart-EC 3.0を装備。ダブルディスクのフローティングローターはφ330mm。ブレンボ製の対向4ピストン・モノブロック式STYLEMA™︎Rがラジアルマウントされている。
クランクまわりが一新された水冷DOHC16バルブ直(並)列4気筒エンジンは、セミカムギアトレインシステムを採用。
6速ミッションのギアレシオ、一次二次減速比の全てが見直されている。クイックシフターは標準装備。
バタフライバルブ後は径の異なる2本のパイプでマフラーに導かれている。パイプの取り回しも一新。
軽量チタン製の右出し1本マフラーはAKRAPOVIC(アクラポヴィッチ)社との共同開発品。
電子制御式のリアショックはオーリンズ製TTX36 Smart-EC 3.0を装備。アッパーマウントは、ブラケットを介してクランクケース背面に取り付けられている。アルミプレス製スイングアームにプロリンク構造が採用されている。
ブラックホイールにはピレリ製DIABLOスーパーコルサSPを履く。RC213V-Sと同様なブレーキキャリパーはブレンボ製対向2ピストンタイプ。油圧ブレーキマスターのリザーバータンク位置も変更されている。
セパレートハンドルはグリップ位置で少し高く、開きぎみにセットされた。
使用頻度を優先するらしくホンダは一番下にウインカースイッチがある。左隣はハザード用。その上に、咄嗟の時にはやや押しにくいホーンスイッチを配置。向こう側には人差し指で扱うディマー&パッシングやラップタイム計測にも使用。中程の4ウェイスイッチはメニュー選択や各種制御設定に使う。
ハンドル右側はシンプルに赤いシーソースイッチがひとつ。上方を押すとエンジンキルスイッチ。下側を押すと始動用のセルスタータースイッチが働く。

5インチサイズのフルカラーTFT(液晶ディスプレイ)メーター。冷機時はレッドゾーンが低く表示される。通常時のレッドゾーンは14.500rpmからだ。アナログ式の回転計など、表示デザインは変更できる。

標準的なデザイン。多彩なインフォメーションが整然と表示される。各種モード設定の選択画面にも活用される。
メインスイッチはスマートキー方式を採用。左脇の丸いリング&押しボタンでON/OFFとステアリングロックを操作できる。
SPに搭載のオーリンズ製フロントフォークは電子制御式。トップブリッジのデザインも一新されている。
いかにもレーシーなモデルらしいセパレートシート。段差のある後席クッションはシートストッパーとしても機能する。
中央のキー操作で脱着できるリアのシートクッション。内部には少しの空きスペースがある。

ストップランプ等はテールカウル部に内蔵。ウインカーはライセンスプレートランプと共にセットされている。灯火類は全てLED式だ。

主要諸元

車名・型式:ホンダ・8BL-SC82
全長(mm):2,105
全幅(mm):750
全高(mm):1,140
軸距(mm):1,455
最低地上高(mm):130
シート高(mm):830
車両重量(kg):201
乗車定員(人):2
燃料消費率(km/L):22.0 (60km/h定地)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(km/L):15.4〈1名乗車時〉
最小回転半径(m):3.8

エンジン型式:SC82E
エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒
総排気量(㎤):999
内径×行程(mm):81.0×48.5
圧縮比:13.6
最高出力(kW[PS]/rpm):160[218]/14,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):113[11.5]/12,000
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-DSFI)〉
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
バッテリー:HJ12L リチウムイオン (12V-2.3Ah)
潤滑方式:圧送飛沫併用式
潤滑油量(L):4.0 (交換時・2.8、フィルター交換時・3.0)
燃料タンク容量(L):16

クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
 1速…2.461
 2速…1.947
 3速…1.650
 4速…1.454
 5速…1.291
 6速…1.160
減速比(1次 / 2次):1.687 / 2.750
キャスター角(度):24゜07′
トレール量(mm):102
ステアリング切れ角(度):25
タイヤ(前/後):120/70ZR-17M/C(58W) / 200/55ZR-17M/C(78W)  
ブレーキ形式(前/後):油圧式ダブルディスク / 油圧式ディスク
懸架方式(前/後):テレスコピック式(倒立サス/NPX Smart EC 3.0) / スイングアーム式(プロリンク/TTX36 Smart EC 3.0)
フレーム形式:ダイヤモンド

試乗後の一言

素直に「リスペクト」。CBから続いてきたホンダ・スーパースポーツの最高峰。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…