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SYM・JET X……363,000円(消費税込み)
JET XのベースになっているJET 14は扱いやすくてトータルバランスの優れたスクーターだった。Jet XはこのJet14を進化させたパフォーマンススクーターという位置づけ。
エンジンの形式や排気量はJet14と変わりないが、最大出力、最大トルクともにアップ。最大出力は9.3kw/8000rpmと、このクラスで人気となっているPCXの9.2kw/8750rpmをわずかに上回っている。最大トルクに関してはPCXの12Nm/6500rpmに対してJet Xが 11.5Nm/6500rpm。わずかに負けているものの拮抗している。
フロントマスクのアグレッシブなデザインも個性的で、このマシンの走りの鋭さを強調しているような感じだ。
快活なエンジンのフィーリング
実を言うとJet Xに関しては何の前知識もなしに乗ったのだが、エンジンをかけてスロットルを捻ったときに元気よく吹け上がる様子を見て、かなり走りが期待できそうだと感じた。そのままスロットルを開けていくとクラッチのつながる回転数が高い。4000rpm弱から動き出し、更にスロットルを開けると6000rpm,くらいで鋭い加速に移る。全開にすると7500rpm位をキープして車速がグングン伸びていく。最大トルク、最大出力近辺をキープして最大現の加速力を引き出す設定だ。チューニングスクーターのような感じ・・・・といったらオーバーかもしれないが回転が上がってからクラッチがミートされる特性は面白い。
安定感の高いハンドリング
動き出して超低速で走っているときはステアリングの動きが重かったので、もっさりした感じのハンドリングなのかなと思っていたのだけれど、少し速度が出て、普段ストリートを走っているくらいの速度域になったら調度よいバランスになってきた。フロントの安定感が高く、交差点などでペースを上げてコーナーリングすると14インチタイヤの恩恵もあってスクーターらしからぬ安定感を発揮する。峠などは攻めていないが、街なかであれば車体もしっかりしているしサスの動きも悪くない。サスペンションのダンピングはあまり効いていないが、ストリートを走るくらいならこれくらいの設定のほうが軽快に走ることができる。
ABSなしでも不満なし
ブレーキはコンバインドシステムで右のブレーキレバーを握ったときはフロントのみで、左のブレーキレバーを握ると前後ブレーキがかかるシステム。左手だけでブレーキレバーを握るだけで強い減速力を発揮する。ストリートを普通に走る程度なら十分すぎるくらいの利き方だ。ハードに攻めるときなど、更に強い制動力が欲しい場合は右手のブレーキを追加で使用する。
ABSは装備されていないが、前後同時に制動力を発生するコンバインドブレーキは車体姿勢も安定していて、ハードブレーキングを何度か試みてみたがとても扱いやすく、普通のアスファルト路面なら相当に強くブレーキを握ってもタイヤがロックして姿勢が乱れるようなことはなかった。試しに右のブレーキレバーだけでフルブレーキしてみたが、右手だけだと制動力が足りていないし、車体の安定感も保たれないので減速のために右手のブレーキだけを使うのはあまり意味がない。あくまでも左レバーで前後ブレーキを使うことを基本とし、より強い制動力が必要なときは右手を追加するというのがこのバイクに合った使い方だろう。
個人的にはスクーターよりもミッション車のほうが大好物な性格ではあるのだが、Jet Xは60km/h位までがとても速くて運動性も良いから、試乗はとても楽しかった。ただ、クラッチのつながる回転数が高めだから、低速で曲がるときはスロットルを開ける量が少ないとパワーがかからずに車体が安定しないし、走行中も比較的高い回転を維持するのでノンビリと走りたいライダーにとってはせわしく感じるかもしれない。好みは分かれるだろうが、それがこのスクーターの個性。ストリートをキビキビ走りたいライダーに是非乗っていただきたいスクーターである。
ポジション&足つき(身長178cm 体重74kg )
ゆったりしたポジション。長時間走っても疲れは少ないはずだ。
シート高は770mmあるがシートの前側が細くなっているので足つきに関しては特に悪いという感じではない。テスターの体型だと両足の踵がついて膝も曲がっている。
ディテール解説
主要諸元
エンジン型式 | 水冷単気筒4ストローク OHC4バルブ | 排気量 | 124.6cc |
---|---|---|---|
ボアストローク | Φ52.4×57.8mm | 最大出力 | 9.3kW / 8,000rpm |
最大トルク | 11.5Nm / 6,500rpm | 燃料供給システム | E.F.I |
トランスミッション | C.V.T | フロント:サスペンション | テレスコピックフォーク |
リヤ:サスペンション | デュアルショック | フロント:ブレーキ | ディスクΦ260mm+CBS |
リヤ:ブレーキ | ディスクΦ220mm+CBS | フロント:タイヤ | 100/90-14 |
リヤ:タイヤ | 110/80-14 | 全長×全幅×全高 | 2,000×760×1,115(mm) |
シート高 | 770mm | ホイールベース | 1,350mm |
タンク容量 | 7.5L | アクセサリー | クイックチャージ2.0充電器 |