旅の予算は1000円、スーパーカブでダムに行く。|ゆるカブツーリング・第三回 相模原市&清川村・宮ケ瀬湖

神奈川県北東部の相模原市と清川村にまたがる宮ケ瀬湖は、2000年に完成した宮ケ瀬ダムによって生まれた人造湖です。周囲にはさまざまな観光施設があり、休日には多くの行楽客でにぎわっています。宮ケ瀬湖は都内から手軽に行けることもあってツーリングスポットとしても大人気です。冬の宮ケ瀬湖を周遊してみました。

防寒対策はハンドルカバーでばっちり!

冬のツーリングではしっかりとした防寒対策が必要です。いまは軽くて動きやすくて暖かい高機能なライディングウエアがあるので、体の防寒性はかなり良くなりました。僕も冬のツーリングではそうした防寒ウエアを着ますが、それに加えてスーパーカブも冬仕様にしています。といってもたいそうなことをしているわけじゃなくて、ハンドルカバーを取り付けるだけです。見た目が悪いと敬遠する人もいますが、一度使ったらやめられません。スイッチの操作がちょっとやりにくいといった難点もありますが、風をシャットアウトしてくれるので、薄手のグローブだけでまったく問題なく寒空の下を走れます。というわけで、今回のツーリングからハンドルカバーを装着しました。
電熱グローブなど、いまは防寒性が高いグローブが冬のツーリングをサポートしてくれる。でもハンドルカバーにはかなわない

人気のパン屋でまずは腹ごしらえ

神奈川県北東部、都県境近くに相模湖、津久井湖、そして宮ケ瀬湖の3つの人造湖があります。その中でもっとも新しくできたのが宮ケ瀬湖です。2000年に完成した宮ケ瀬ダムによってできた湖は、いまでは手軽に行ける観光地として親しまれています。周囲には飲食店をはじめとしてさまざまな観光施設があり、駐車場も各所に整備されています。
宮ケ瀬湖をめぐる道は現在、県道64号伊勢原津久井線、県道70号秦野清川線、県道514号宮ヶ瀬愛川線、それに宮ヶ瀬北岸林道の4本が通っています。僕は今回、国道412号線から北岸林道に入って宮ケ瀬湖を周遊することにしました。
リニア中央新幹線神奈川県駅建設真っ最中の橋本駅の脇を通り、圏央道相模原インターチェンジをかすめて国道412号線に合流します。いつものことですが、国道16号線や橋本駅周辺は交通量が多くてなかなかスムーズに進みません。時間もガソリンも消費するので渋滞は百害あって一利なしです。
オギノパン本店工場直売店 https://ogino-pan.com/
相模原市を中心に9店舗を展開するオギノパンの本店工場直売店は宮ケ瀬湖に近くにある名物は丹沢あんぱんとあげぱん。テラスで食べることもできる
ドライブやツーリングの途中で立ち寄る人も多く、休日は行列になっていることも多い
オギノパン本店工場直売店にはバイク用の駐車スペースも用意されている
ランチに選んだのは、名物のあげぱん(150円)と丹沢あんぱん(160円)、それにパン好きのカフェオレ(194円)の組み合わせ
国道412号線に出てようやく一息。快調にスーパーカブを走らせること5分、北岸林道との交差点手前に『オギノパン』の本社工場があります。ここには直売所とイートインスペースがあるのですが、地元の人はもちろん観光客にも大人気で、休日には駐車場待ちの渋滞が起こるほどです。そしてここはライダーにも人気で、駐輪場もしっかり整備されています。今回のツーリングも平日に行ったのですが、クルマだけじゃなくバイクもたくさん留まっていました。ちょうど昼時だったので僕もここオギノパンで昼飯にすることにしました。選んだのは名物のあげぱんと丹沢あんぱん、そしてパン好きのカフェオレという商品です。「甘いものばかりでカロリー過多じゃないか!」なんて自責の念はまったくありませんでした。

周遊道路は湖を眺める爽快ルート

北岸林道といっても普通の2車線の舗装路ですが、日陰のところは路面が濡れていました。冬のツーリングでは凍結の可能性もあるので要注意です。
韮尾根、青山の2つのトンネルを抜けると、目の前に湖が現れます。山襞を縫うように続く道はカーブが忙しないのですが、バイクにとってはこれがまた楽しかったりします。右に左にとスーパーカブをバンクさせて丁寧にカーブをやり過ごせば、ほどなく鳥居原園地に到着です。休日には多くのクルマやバイクが訪れる景勝地で、レストランや土産物屋がある鳥居原ふれあいの館もあります。駐車場にはバイク専用のスペースもあり、無料で利用できます。
宮ケ瀬湖を眺めるビューポイントでもある鳥居原園地
鳥居原園地の駐車場にはバイク専用の駐車スペースが設けられていて、利用は無料
鳥居原園地の駐車場から遊歩道を行った先には岬の展望台がある
土産物屋やレストランがある鳥居原ふれあい館
ここから県道64号線となり、虹の大橋を渡れば観光施設がもっとも多く集まっている宮ケ瀬湖畔園地水の郷エリアになります。飲食店が軒を連ね、広々とした展望が楽しめる場所でもあるので行楽客に人気です。もちろんバイク駐輪場も整備されています。ただし土日休日は100円の利用料が必要です。
県道64号線をさらに進み、ヤビツ峠越えの県道70号線を右に分けてしばらく行きます。ちなみに今冬は通行止めになっていましたが、ヤビツ峠を経て秦野方面へ抜けるルートもツーリングコースとして人気です。道は狭い個所が所どころありますがスーパーカブで走るにはちょうどいいので、暖かくなったらツーリングしてみようと思っています。
宮ケ瀬湖畔でもっとも観光施設が多く揃っているのが、宮ケ瀬湖畔園地水の郷。飲食店が多く建ち並び、眺めの良い広場はファミリーやカップル、おひとり様に大人気。通常の平日はバイク駐輪が無料
やまびこ大橋を渡った先のT字路を右に行くのが県道64号線ですが、左折して県道514号線をたどると、およそ1㎞で左側にダムサイトへと行くことができる道に入ります。入り口には警備の人がいますが、「バイクは一番奥に留めてね」と指示してくれます。そのとおり駐車場の最奥部にバイク用の駐車スペースが用意されています。休日はここも混雑してクルマでは入れないこともありますが、バイクはいつでもOK。利用料も無料です。しかも駐車スペースがいろんな施設にもっとも近い場所なので、歩く距離が短くてすんだのがなによりでした。
午後ののんびりとしたひとときをダムサイトにある水とエネルギー館を見学したり、展望ホールや展望塔から宮ケ瀬湖を眺めたりして過ごしてみました。ちなみに水とエネルギー館は1階がウォーターミュージアム、2階はダムギャラリーとなっていて、1階のレイクサイドカフェでは話題のダムカレーなどの食事が楽しめます。今回はオギノパンで昼飯を済ませていたので食事はしなかったのですが、ミュージアムのさまざまな展示で水や電気についての学習に励んでみました。聞くところによると最近は、ダムめぐりのツーリングを楽しむライダーも多いらしい。
ダムサイトにもしっかりバイク駐車場が設置されている
四季折々に美しい風景を見せてくれる宮ケ瀬湖
ダムサイトエリアにある水とエネルギー館では、ダムにまつわる学習ができる。またダムカレーが食べられるレストランも併設
ダム管理事務所の1階は湖を眺望できる展望ホールになっていて、館内から景色が堪能できる。ダムカードもここで入手できる
大規模な宮ケ瀬ダムでは、ダム上とダム下とを大型エレベーターと、最大斜度35度のケーブルカーであるインクラインで行き来することができる
ダム中央にあるエレベーターは無料で利用できる。一方インクラインは大人片道400円かかるが、ダムのすぐ横を通る迫力ある景色が楽しめる
堤高156mの宮ケ瀬ダムは、関東第2位の高さを誇る重力式コンクリートダムだ。少し下流には同時期に完成した堤高34.5mの石小屋ダムがあり、そこに向けて毎週水曜と第2・4金曜、第2日曜に11時と14時の2回観光放流が行われる。ダム下では迫力ある放流が間近に眺められ、ミストもタップリと浴びられる。観光放流は12月から3月までは行われない
ダムの魅力を堪能したところで、再び県道514号線を進み、国道412号線に合流して帰りました。途中オギノパンの前を通るのですが、相変わらずたくさんのクルマとバイクが留まっていました。
ツーリングスポットとしてポピュラーな宮ケ瀬湖ですが、観光施設が整っていて走って楽しい道も豊富。そして都内から近いので、思い立ったら来られるという点が魅力です。今回もスーパーカブでのツーリングに最適なところだと改めて思いました。今回のツーリングにかかった費用は、食事代が500円ほど、ガソリン代が82㎞走行して280円ほどでした。渋滞の中を走ったので約50㎞/Lと燃費は良くありませんでした。

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著者プロフィール

栗栖国安 近影

栗栖国安

TV局や新聞社のプレスライダー、メーカー広告のモデルライダー経験を持つバイクジャーナリスト。およそ40…