18,000rpm以上回るエンジンは気難しい…と思いきや!? なかなかの優等生タイプでした。|カワサキ・Ninja ZX-25R SE

昨年の東京モーターショーで初公開されて以来、小出しにされた沢山の情報で溢れていたカワサキ・Ninja ZX-25Rと同SEが9月10日から、ついに新発売された。本誌でも早速Ninja ZX-25R SEのKRT EDITIONに試乗した。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●カワサキモータースジャパン

※2020年9月19日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

カワサキ・Ninja ZX-25R SE
フロントマスクのデザインはNinja250と似た雰囲気だが、スクリーンの下に空いた逆三角形のエアダクトの存在がZX-25Rの特徴。風を積極導入するラムエアシステムの採用で、過給効果による高出力発生に貢献する。SEにはスモークのスクリーンが装着されている。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
倒立式SFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク-ビッグピストン)はSHOWA製のφ37mm。フローティングマウントされたシングルディスクローターにはNISSIN製の対向4ピストン・モノブロック油圧キャリパーがラジアルマウントされている。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
カウルの中に覗く4本のエキゾーストパイプが壮観。写真からわかる通りそれぞれのパイプが連結されている。その後クランクケースの真下で1本に集合されている。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
水冷の4気筒エンジンは右サイドカムチェーン方式のDOHC。狭角の16バルブは直打式で駆動される。クラッチにはアシストとスリッパー2種のカムシャフトが採用されている。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
スイングアーム下からちょこんと顔を出すショートエンドマフラー。マフラーの主チャンバーは車体真下の中央にレイアウトされている。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
ロングスイングアームのピボット付近上部にリンク機構を設けたホリゾンタルバックリンク式モノショック・サスペンション。車載工具のフックレンチを使ってプリロードが5段階調節できる。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
リヤアームは右側を湾曲させた高張力鋼製のロングスイングアームを採用。リヤブレーキはφ220mmのシングルディスクにNISSIN製1ピストンのピンスライド式油圧キャリパーを装備。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
トップブリッジの下側にクリップオンされたセパレートハンドル。トップブリッジに見られる肉抜きされた造形や、専用にあつらえた(と思われる)ブレーキマスターシリンダーのタンクデザインなど、このバイクに掛けられた思い入れの強さが現れている。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
ハンドル左側スイッチは一般的な通常のスイッチを縦列左側にレイアウト。下から順にベストポジションにあるホーンボタン、プッシュキャンセル式ウインカースイッチ、ヘッドランプの光軸を切り替えるディマースイッチ、向こう側には人差し指で扱うパッシングスイッチがある。縦列右側はハザードスイッチ、その上がマルチファンクションボタンで、メーター表示やKTRC(カワサキ・トラクション・コントロール)、パワーモード、KQS(カワサキ・クィック・シフト)の切り替えができる。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
ハンドル右側のスイッチはシンプルに一つだけ。前後方向に動かすグレーのスライドスイッチは前方に押すとエンジンキルスイッチに、手前に引くと始動用セルスタータースイッチとして機能する。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
レッドゾーンは17,000rpmから。丸いアナログ表示の回転計をメインに右側にモノクロ液晶のデジタル表示、左に各種パイロットランプが組み合わせられている。基本的にはNinja 250のメーターと共通デザインだ。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
SEには標準装備されたクイックシフター。UP/DOWN両方で機能する。装備されていないZX-25Rにはオプション(40,810円)で追加装備できる。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
前後でセパレートされた段付きのダブルシート。フロントシートはワイドなクッションデザインで、前方は細身。厚みに不足の無いクッションは、こしのある座り心地だ。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
車体左脇のキーロックを解錠すると、リヤシートクッションは簡単に脱着できる。シート下のスペースにはオプションのETC2.0車載器キット(38,500円)が収納されていた。シートロックブラケットの下にUSB電源ソケットが装備されている。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
シートエンドのテールカウルに組み込まれた赤いテールランプはLED式。クリアレンズのウインカーには12V10Wのオレンジバルブが使われている。
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
マフラーの存在さえ見えない。後方ほどシュッとシェイプされたデザインは空力特性追求へのこだわりが感じられる。

主要諸元

型式:2BK-ZX250E
全長×全幅×全高:1,980mm×750mm×1,110mm
軸間距離:1,380mm
最低地上高:125mm
シート高:785mm
キャスター/トレール:24.2°/99mm
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC 4バルブ
総排気量:249cm³
内径×行程:50.0mm×31.8mm
圧縮比:11.5:1
最高出力:33kW(45PS)/15,500rpm(ラムエア加圧時34kW(46PS)/15.500rpm)
最大トルク:21N・m(2.1kgf・m)/13,000rpm
始動方式:セルフスターター
点火方式:バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式:圧送式ウェットサンプ
エンジンオイル容量:2.9L
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常噛6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ:
 1速…2.928(41/14)
 2速…2.055(37/18)
 3速…1.619(34/21)
 4速…1.333(32/24)
 5速…1.153(30/26)
 6速…1.037(28/27)
一次減速比/二次減速比:2.900(87/30)/ 3.571(50/14)
フレーム形式:トレリス
懸架方式(前/後):テレスコピック(倒立・インナーチューブ径φ37mm)/スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)  
ホイールトラベル(前/後):120mm/116mm
タイヤサイズ(前/後):110/70R-17M/C (54H)/ 150/60R-17M/C (66H)
ホイールサイズ(前/後):17M/C×MT3.50/ 17M/C×MT4.50
ブレーキ形式(前/後):シングルディスクφ310mm(外径) /シングルディスクφ220mm(外径)
ステアリングアングル(左/右):35°/ 35°
車両重量:183kg(184kg)
使用燃料無鉛:プレミアムガソリン
燃料タンク容量:15L
乗車定員:2名
燃料消費率(km/L):
 24.0km/L(60km/h・定地燃費値、2名乗車)
 18.9km/L(WMTCモード値、1名乗車)
最小回転半径:2.6m

試乗後の一言!

カワサキ・Ninja ZX-25R SE

キーワードで検索する

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…