配線不要でヘルメットにブレーキランプが装着できる!? 『BRAKE FREE(ブレーキフリー)』【東京モーターサイクルショー2025】

さまざまな部品用品メーカーがブースを構える『第52回東京モーターサイクルショー』の会場で、安全性向上に繋がるユニークなアイテムを見つけた。それがADELICA商事が輸入販売を開始した『BRAKE FREE(ブレーキフリー)』だ。この製品は車体との接続や配線作業、アプリの設定作業が不要なスマートヘルメットブレーキランプ。すなわち、ヘルメットに装着するハイマウントストップランプなのだ。なかなか面白製品なので紹介しよう。
REPORT&PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

ヘルメットに装着する配線不要なスマートブレーキランプ

「東京ビッグサイト」を会場として、2025年3月28日(金)~30日(日)にかけて開催された『第52回東京モーターサイクルショー』で面白いアイテムを発見した。
それはヘルメット後部に取り付けるスマートヘルメットブレーキランプ(ハイマウントストップランプ)の『BRAKE FREE(ブレーキフリー)』だ。この製品はもともとアメリカのベンチャー企業が開発した製品で、日本ではADELICA商事株式会社が正規輸入代理店となって販売している。

スマートヘルメットブレーキランプの『BRAKE FREE』をヘルメットの装着した状態のライダー。後頭部にブレーキランプが備わることで後続車のドライバーの視認性が高まり、制動時の安全性向上に繋がる。

製品の特徴は本体にすべての機能が内蔵されていることから、車体との接続や配線作業、アプリの設定などは一切不要で、本体にUSBタイプCケーブルを繋いで充電するだけで、そのままヘルメットに装着して使用できるという優れものだ。

『第52回東京モーターサイクルショー』のADELICA商事ブースに展示される『BRAKE FREE』。本体色は白と黒の2色が用意される。

ではどうやってブレーキ操作を感知するのかといえば、ブレーキを掛けると本体に内蔵されたBOSH製の加速度センサーとジャイロセンサーがバイクの挙動を検知。センサーからのデータを特許取得済みのアルゴリズムが瞬時に解析を行い、エンジンブレーキ、シフトダウン、通常のブレーキなど、どのように車両が減速しているかを非常に高い精度で判断し、状況に応じて本体のLEDランプを点灯させる仕組みになっているという。

使い方は簡単!ほとんどのヘルメットに適合し、長時間稼働可能!

『BRAKE FREE』の使用方法はとても簡単で、ヘルメットに装着した状態で電源スイッチを長押しすると起動。さらにボタンをタッチすることで、すべてのLEDが点灯する「普通モード」、左右のLEDパネルがパルス点灯する「パルスモード」、中央上下のLEDパネルがランニングライトとして点灯する「ステルスモード」を選ぶことができる。電源を切る際には再び長押しすれば良い。

『BRAKE FREE』の本体は高性能バッテリーを内蔵しているにもかかわらず軽く、アタッチメントを含めてもわずか210gに収まる。車体との接続や配線作業、アプリの設定作業などは一切不要で使い勝手が良い。

この製品の汎用性は高く、Bell StarやStrength and Steel SS1600、Sena OutrushやOutrush Rなどの一部のヘルメットには適合しないが、アライやショウエイ、OGKカブト、ウィンズなどの日本でメジャーメーカーのフルフェイスやジェットヘルメットの製品のほとんどに対応している(ハーフキャップにも装着はできなくはないが、あまり適しているとは言えない)。

『BRAKE FREE』の本体と付属品、そして説明書。USBタイプCケーブルと標準タイプとXLタイプのアタッチメントがセットされる。説明書は英語表記となるが、そもそも操作自体が簡単なので問題とはならないだろう。

ただし、ショウエイZ-8のような後部にくびれがあるヘルメットは別売の専用アタッチメント(税込1280円)が必要になる。ひとつの『BRAKE FREE』で複数のヘルメットに使いまわしたい人には、別売りの追加アタッチメント(税込1580円)も用意されている。

ひとつの『BRAKE FREE』で複数のヘルメットに使いまわしたい人には、別売りの追加アタッチメント(右)を別途購入しての対応となる。また、ショウエイZ-8のような後部にくびれがあるヘルメットは別売の専用アタッチメントを用意する必要がある。

バッテリー駆動の製品で気になるのが稼働時間だが、3350mAhの大容量バッテリーを搭載したことにより「普通モード」で約8時間、省電力の「ステルスモード」で15時間以上の使用が可能となる(気温や天候などで稼働時間は若干変化する)。ちなみに充電時間はゼロから満充電までで約1.5時間ほどだ。また、信頼性の高い高性能バッテリーを採用したことで、通常の使用であれば、バッテリーは5年間使用しても、元の容量の80%以上を維持するよう設計されている。

充電は本体下部のフタを開き、付属のUSBタイプCケーブルで充電を行う。

にもかかわらず、軽量設計で本体重量は200gに抑えられており、アタッチメントを加えても重量はたったの210gほど。防水・防塵性能もIP65の認証を得ており、塵埃の侵入は完全に防止され、高圧水流をあらゆる方向から吹き付けても内蔵機器に影響を受けないことはテストで証明されている。すなわち、オフロード走行や雨天時の使用でもまったく問題がない。

今回、日本国内での販売にあたり、ADELICA商事ではアメリカのFC規格やEUのCE規格に加えて、新たに日本のPSC規格を取得している。

さらなる発展の余地あり! 安価で高性能な製品だけに期待は膨らむ

近年、乗用車は背の高いSUVやミニバンが主流となり、車間が詰まるとドライバーからバイクのブレーキランプが見えにくい。それに加えて車体の小さなバイクはバスやトラックなどの大型車のドライバーから見落とされやすいので、ライダーの頭の位置で後続車に減速を知らせる『BRAKE FREE』は安全性の向上に繋がるはずだ。

本体の発光部分には100個の超高輝度LEDを搭載し、夜間はもちろんのこと昼間でも抜群の視認性を確保している。

ただし、気になるのはヘルメットの重量増加だ。単体で見れば軽量な『BRAKE FREE』だが、このようなガジェットを好むライダーはインカムをすでに装着している人が多いだろうし、場合によっては動画撮影のカメラやヘルメット装着型のドラレコを使用することもあるだろう。ひとつひとつの製品は軽かったとしても、複数の機器を装着すれば重量増加は無視できなくなる。

そこで提案したいのが背中に装着するサスペンダーやベストタイプのアタッチメントだ。これならばヘルメット装着と違って重量が気にならないし、複数のデジタルガジェットを併用しても負担はずっと小さくなる。あるいはライダーが手荷物を運ぶのに使うバックパックに取り付けるアタッチメント(もしくはアタッチメントを最初かから組み込んだ専用バックパック)があってもいいかもしれない。いずれにしても安全性向上に繋がる素晴らしいアイデア商品なので、今後の展開に期待したい。

電源のオンオフは本体上部のスイッチを長押しし、「普通モード」「パルスモード」「ステルスモード」の3モードの切り替えはスイッチをタッチすることで切り替える。

なお、『BRAKE FREE』の通常販売価格は2万9800円(税込)となっているが、現在は発売記念価格として2000円引きの2万7800円(税込)で販売されている。本体色は白と黒の2色を用意。購入は『BRAKE FREE』専用サイトからの注文となる。

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…