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レーシーな雰囲気を味わいながらストリートライディングできるのが楽しい

F.B.モンディアル・スポーツクラシック300(Pagani1948)……580,800円(消費税込)





カウルを身にまとったフォルムは実にスポーティでかっこいい。しかもこのスポーツスタイリングは現代的なものではなく、どことなく80年代のカフェレーサーのようなデザインになっています。個人的な話で恐縮ですが、1980年式の125㏄シングルスポーツバイクをカフェレーサー風にカスタムしたモデルを所有している僕としては、このF.Bモンディアル パガーニ300を目の前にしたとき、初対面にもかかわらず親近感を覚えたのです。
そんなパガーニ300ですが、ヘッドライトはハロゲンタイプとしているし、ホイールもワイヤースポーク式です。しかし単に懐古趣味に走っているわけじゃありません。リアにはインナーフェンダーとスイングアームマウントのナンバープレートホルダーを装備。丸型の単眼メーターも液晶のフルデジタルを採用しています。このように往年のカフェレーサーを彷彿とさせながらも、現代技術を随所に導入して、今日的なスポーツモデルへと仕上げているのです。
300と付いていますが、エンジン排気量は249㏄、つまり軽二輪モデルなので車検の必要はありません。250と考えればボディはコンパクトな部類です。車重も153㎏に収められているので、日常的な取り回しはまったく問題ありません。ただしセパハンを装備しているためステアリングをフルロック状態まで持っていくとタンクとの間に手が挟まれてしまうのが気になりました。またハンドル切れ角も大きくありません。
シングルシーターに仕立てられたシートに跨り、セパハンに手を添えると、コンパクトボディながら上体がわずかに前傾し、なかなか好戦的なポジションになります。しかし全体に窮屈なところはなく、街中を走るのに不都合な点はありませんでした。ひとつ気になったのは、右側に取り回されたセミアップの2本出しマフラーが足を下ろしたときに干渉することです。小柄なライダーだと足つきのときにちょっとあせるかもしれません。ちなみに、足つき性に関しては問題ないと感じました。
振動は多めだが低中速でピックアップの良いシングルエンジン

搭載しているエンジンは249㏄水冷SOHC4バルブ単気筒で、最高出力17.0 kW / 8,500 rpm、最大トルク22.5 Nm / 6,500 rpmというスペック。カテゴリー的にライバルとなるスズキ・ジグサーSF250と比較して最高出力はやや劣っています。といってもその差はわずかなので性能面ではほぼ互角といえます。ただし全体に中低速寄りになっていて、結果的にそれがストリートユースでは奏功することになります。
セルで始動すると、セミアップマフラーからやや大きめのシングルサウンドを放ちます。早朝の暖機にはちょっと気を遣いそうです。
スタートして交通の流れに乗るため加速していくと、忙しない感じでエンジンは吹け上がり、あまり引っ張らずに3速に入れたあたりで50㎞/hに達しました。細かな振動がありエンジンの回り方もややガサツな感じでスムーズさに欠けますが、低回転域からしっかりトルクが出ているので、扱いにくさというものはありません。また中回転域である5000回転前後ではレスポンスが良くメリハリのあるパワーフィーリングを見せてくれます。高回転まで無理やり引っ張るよりも、低中回転を使った走りのほうが、このエンジンの良さというか特色が発揮できると感じます。
いずれにしても、市街地を中心としたストリートで走りを楽しむには十分な性能で、タイトな峠道が多い日本のワインディングにも合っているんじゃないかと思いました。もちろん高速道路の巡航も問題なくこなすでしょうが、振動面でいえばあまり快適性は望めないかもしれません。
必要十分な足回りでストリートを軽快に駆ける


クラシカルなカフェレーサースタイルのボディは車重153㎏と軽量なので、不安なく走りだすことができます。低めにセットされたセパレートハンドルのためハンドル切れ角はあまり大きくなく、フルロックさせるとタンクとの間に手が挟まるので、その辺りは少しばかり気を付けないといけませんが、取り回しに関しては非常にいいと思いました。
走行性に関しても、とにかく軽くて向きを変えやすいと感じました。市街地では交差点などの右左折が頻繁なのですが、向きを90度変えるそんな動作が軽快にできます。今回の試乗ではワインディング走行をしていませんが、パガーニ300ならタイトなワインディングも苦にしないのは確実です。
サスペンションはフロントにΦ40㎜倒立フォーク、リアはサブタンク付き2本ショックの組み合わせで、とくに高性能というわけじゃありませんが、ギャップを通過した際にバタついてしまうようなことはありません。前後17インチのワイヤースポークホイールも衝撃を緩和する役割を果たしていると思います。さらにブレーキもラジアルマウントキャリパー装備のΦ280㎜フロントシングルディスク、そしてΦ220㎜リアシングルディスクともに制動力に関しては不足はありません。いずれにしても、一般道を走行するにはまったく問題ない足回りです。街中の移動から休日のツーリングまで気負わずに付き合える、そしてカフェスタイルを手軽に楽しめる、そんなバイクだと感じました。
ディテール解説
フロントサスペンション | 40mm 倒立フォーク-97mm |
リアサスペンション | ダブルショックアブソーバー(120mm) |
車両重量 | 153 kg |
乗車定員 | 2 |
フロントブレーキ | 4ピストンラジアルキャリパー、280mm、ABS |
リアブレーキ | 1ピストンフローティングキャリパー、220mm、ABS |
フロントホイール | 2.50 x 17” |
リアホイール | 3.00 x 17” |
フロントタイヤ | 100/80 x 17” |
リアタイヤ | 130/70 x 17” |
カラー | WHITE/RED BLUE/SILVER |
全長 | 2,009 mm |
全幅 | 800 mm |
全高 | 1,146 mm |
ホイールベース | 1,360 mm |
最低地上高 | 130 mm |
シート高 | 804 mm |