ヤマハ JOG ONE……259,600円(2026年3月19日発売)

新基準原付=1名乗車に対応するため、シングルシートを採用し、タンデムステップを省略したJOG ONE。すでに生産終了となった50ccのジョグが18万1500円だったのに対し、JOG ONEは43%アップの25万9600円で販売される。
こちらは原付二種のJOG125で、ONEと同様に台湾にて生産される。現在のメーカー希望小売価格は27万600円で、ONEとの差はわずか1万1000円だ。筆者による試乗インプレッションはこちら
標準装着タイヤはチェンシン製のC922Yで、前後とも同サイズとなっている。指定空気圧はフロント:150kPa/リヤ:200kPaだ。
車体色はマットダークパープリッシュブルーメタリック1 、ダークグレーイッシュマゼンタメタリック1、ブラックメタリックX、シルバー3の4種類を展開。125との共通色はブラックのみであり、しっかりと差別化が図られている。

微振動はやや多めながらも加速フィールにストレスなし

ヤマハ・JOG125が日本で発売されたのは2022年11月28日のこと。1983年から続く伝統のネーミングである“ジョグ”を受け継ぐに相応しい、軽快で機敏な走りに感心したのが記憶に新しい。そんなJOG125をベースに誕生したのが、新基準原付の「JOG ONE」だ。これを執筆している2026年5月現在、新基準原付のスクーターは他にホンダのDio110 Liteしかないが、この2機種はホイール径が大きく異なることから、使い方や好みに応じて選びやすい状況と言えるだろう。

JOG ONEよりも一足早く、2025年11月20日に発売されたホンダ・Dio110 Lite。価格はJOG ONEより1万9800円安い23万9800円に設定される。排気量109ccから最高出力5.0PSを発揮。ホイール径はJOG ONEの前後10インチに対し、こちらは前後14インチとなる。車重95kgは両モデル共通だ。筆者による試乗インプレッションはこちら

まずは最も気になる動力性能から。搭載されている空冷124ccの「ブルーコア」エンジンは、SMG(スマートモータージェネレーター)を採用しているため、始動時の音は非常に静かだ。加えてアイドリング時の排気音も十分に抑えられており、これなら閑静な住宅街でも周囲に迷惑を掛けにくいはずだ。

JOG125の124cc空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒をベースに、最高出力を8.3PS/7000rpmから4.8PS/5750rpm、最大トルクを9.8Nm/5000rpmから7.7Nm/3000rpmにダウン。1次/2次減速比や無段変速の変速比は125と共通で、駆動系ではVベルトの部品番号が異なるのみ。マフラーやカムシャフトも共通となっている。

灯火類の作動を確認し、いざスタートする。遠心クラッチの接続は可もなく不可もなくスムーズで、その後に続く加速にも一切のムラがない。ふとメーターに目を落とすと、すでに赤い速度警告灯が小さく点滅しており、気が付けば片側二車線のバイパスの速い流れに乗っていた。先に試乗したDio110 Liteも同等レベルの速さを見せるが、JOG ONEは排気量がわずかに大きいからか、もしくは微振動の多さがそう感じさせるのか、より力強い印象だ。

微振動が多いといっても、極めて低振動なDio110 Liteと比べたからであって、退勤後の疲労を増幅するほど過大というわけではない。なお、クローズドエリアで試したところ、メーターの針が60km/h付近を指すと速度上昇がスッと止まり、それ以上は出ないようになっている。とはいえ、そこに至るまでの加速フィールは原付二種のJOG125とほぼ同等であり、50ccのジョグよりもはるかに余裕がある。これこそが新基準原付における最大の功績と言えるだろう。

街乗りに特化したクイックなハンドリング、これぞ“JOG”だ

JOG ONEのベースとなったJOG125のライディングポジションは、やや個性的と言っていい。フロアボードが地面から高い上に前傾しており、同じく前傾したシート座面と合わせて、着座位置が自然と前寄りになる。好意的に表現するなら「コンパクトな乗車姿勢」となるが、身長175cmの私には特に足元が窮屈で、前方に足を伸ばした姿勢がスタンダードとなる。

このJOG125をベースに作られたJOG ONEは、シングルシートゆえに腰を後方へ引くことができず、125よりも足元の窮屈感がマシマシとなる。加えて、大きなギャップを通過した際には、シートのウレタンが薄いような底付き感も出る。とはいえ、筆者が感じたこれらのネガティブな要素は体格に起因するものなので、私よりも小柄かつ軽量なライダーにとっては、むしろ印象が好転する可能性大だ。

2名乗車ができないよう座面形状に工夫を凝らしたシングルシート。シート高735mmは125と共通だが、50ccのジョグと比べると30mm高く、また車重も17kg重いので、非力な高齢者にとってはハードルが高くなってしまった感あり。

ハンドリングは、前後10インチの小径ホイールとショートホイールベースによって、125と同様に軽快かつクイックさが光る。スタート直後から安定性を感じさせるDio110 Liteとは対照的で、「これぞ原付スクーター! これぞ“JOG”だ!」などと、ワクワクしながら街中や峠道を走り回ってしまった。

ホイール径は前後とも10インチ。そしてブレーキは前後ともドラムだ。左レバーの操作でフロントにもほどよく制動力を配分するUBS(ユニファイド・ブレーキ・システム)を採用する。

倒し込みや切り返しは、50ccのジョグより車重が17kgも重いとは思えないほど軽く、浅いバンク角でもグングンと向きを変えてくれる。前後のサスペンションの動きはそれなりではあるが、わざわざ社外品に換えたくなるほどではないし、原付スクーターの主な使われ方であれば特に不満はないだろう。

ブレーキは前後ともドラムながら前後連動システムを採用する。右レバー=フロントのみの制動力はやや控えめで、スピードコントロール向きだ。一方、前後が連動する左レバーを引くと制動力が力強く立ち上がり、ディスクブレーキでないことのマイナス要素を一切感じさせない。

筆者なら、体格の問題と静粛性でDio110 Liteを選ぶが、JOG ONEのクイックなハンドリングは、高校時代に初めて原チャリに乗ったときの記憶が呼び起こされ、正直なところこちらも捨てがたいと思っている。なお、コミューターとして使うなら燃費と燃料タンク容量も重要だろう。WMTCモード値:タンク容量を見ると、JOG ONEの51.7km/L:4.0Lに対し、Dio110 Liteは56.6km/L:4.9Lとなっている。つまり、1回の給油で走れる距離には意外と大きな差があるため、これもぜひ選ぶ際の参考にしてほしい。

原付免許しかないユーザーにとっては、同じくヤマハの電動スクーター「JOG E(ジョグ イー)」という選択肢もある。ただし、動力性能およびインフラ面に関する課題が残されたままであり、現状においては使い方が大きく制限される。筆者による試乗インプレッションはこちら

ライディングポジション&足着き性(175cm/66kg)

シート高は735mmで、これは直接のライバルであるDio110 Liteよりも10mm低い。ステップボードの下に燃料タンクを配置しているために足の置き場が地面から高く、しかもハンドル位置が低いので、身長175cmの筆者にはだいぶコンパクトに感じられる。

ディテール解説

リヤサスペンションはユニットスイング式で、ショックユニットは左側に1本のみというシンプルな設計。125の2名乗車からONEは1名乗車になっているが、リヤショックユニットの部品番号は共通だ。
コックピットの風景は125に準じる。なお、125は純正アクセサリーでグリップウォーマー180Cが用意されているが、ONEには今のところないので、短距離移動用と割り切っている可能性も。
60km/hフルスケールの指針式速度計、積算計兼エンジンオイル交換インジケーター、そして指針式燃料計というシンプルなメーター。右上には30km/hを超えると点滅する速度警告灯が設けられている。
シート下の収納スペースの容量は約21.3Lで、これはDio110 Liteの約17Lよりも広い。ヤマハのジェットヘル(YJ-14 ZENITH)が収納可能だ。シートヒンジの左右にはヘルメットホルダーが設けられている。
500mlのペットボトルが収納できるフロントボックス。折り畳み式のフロントフックは重さ1.5kgまで許容する。純正アクセサリーでUSBソケット(4950円)を用意。
ヘッドライトは35/35Wのハロゲン球。前後のウインカーはフィラメント球だ。
YZF-R1を想起させるテール/ストップランプ、そしてナンバー灯もフィラメント球だ。

JOG ONE(2026年モデル)主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 8BH-SEM3J/ E35PE
全長/全幅/全高 1,740mm/675mm/1,090mm
シート高 735mm
軸間距離 1,205mm
最低地上高 110mm
車両重量 95kg
燃料消費率 WMTCモード値 51.7km/L(クラス1) 1名乗車時
原動機種類 空冷・4ストローク・SOHC・2バルブ
気筒数配列 単気筒
総排気量 124cm3
内径×行程 52.4mm×57.9mm
圧縮比 10.2:1
最高出力 3.5kW(4.8PS)/5,750r/min
最大トルク 7.7N・m(0.79kgf・m)/3,000r/min
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 0.84L
燃料タンク容量 4.0L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V,4.0Ah(10HR)/YTX5L-BS
1次減速比/2次減速比 1.000/7.500 (50/16×36/15)
クラッチ形式 乾式,遠心,シュー
変速装置/変速方式 Vベルト式無段変速/オートマチック
変速比 2.175-0.735:無段変速
フレーム形式 アンダーボーン
キャスター/トレール 27°00’/81mm
タイヤサイズ(前/後) 90/90-10 50J(チューブレス)/90/90-10 50J(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 機械式リーディングトレーリングドラムブレーキ/機械式リーディングトレーリングドラムブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック・ユニットスイング
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ ハロゲンバルブ/12V,35/35W×1
乗車定員 1名