ヤマハ・CYGNUS X……389,400円(2026年5月22日発売)

初代シグナスX(SE12J)は2003年に登場。そこから数えて7代目に当たるのが、今年5月に発売されたCYGNUS X(SEM5J)だ。筆者による試乗インプレッションはこちら
2026年7月7日に発表、同年8月25日に限定800台が発売される「CYGNUS X SPECIAL EDITION」。YZF-R1Mを想起させる特別なカラーリングが特徴で、スエード調×カーボン調のシート表皮やゴールドのブレーキキャリパー、スプリングをイエローとしたリヤショックなどを採用。価格はレギュラーモデルから1万3200円アップの40万2600円とされる。

ヤマハ・シグナス グリファス……374,000円

2021年12月23日に発売されたシグナス グリファス。シリーズとしては6代目となり、初の水冷エンジンを搭載。発売当時の価格は35万7500円で、2023年6月のカラーバリエーション変更のタイミングで37万4000円へアップした。筆者による試乗インプレッションはこちら(第1弾第2弾)。
画像は2025年5月12日に追加されたビビッドイエローソリッド2。これを執筆している7月下旬現在、シグナス グリファスは公式サイトのラインナップにあるが、生産国の台湾ではすでにディスコンとなっている。

大柄な6型とコンパクトな7型、車体サイズの違いは無視できない

4年前、初めてシグナス グリファスを見たとき、「ずいぶんと大きくなったな」という感想が自然と口から漏れた。エンジンの水冷化に伴ってパワーと補機類が増え、それらに対応した結果がボディサイズの大型化だったのだろう。とはいえ、燃料タンクやシート下トランクの容量を空冷エンジン最終の5型とほぼ同等としながら、車重を6kg増に抑えたのは見事だと思った。

左はCYGNUS X(7型)、右はシグナス グリファス(6型)。フロントのタイヤサイズは120/70-12から110/70-12へと1サイズ細くなり、合わせてリム幅を2.75インチから2.5インチへ。
標準装着タイヤはデューロからマキシス・MA-R1Nに変更となった。テールランプは歴代シグナスの特徴でもある横基調のデザインを復活させている。

7型となるCYGNUS Xの車体は、グリファスと比べると明らかにコンパクトだ。新型のプロジェクター式ヘッドライトによる小顔効果も大きいが、実際に車体寸法を見ても、ホイールベース1340mmはそのままに、全長は70mm短く、全幅は25mm狭く、全高は35mm低くなっている。特に全長は先々代の5型よりも25mm短いと聞けば、いかにボリュームダウンに腐心したかが分かるだろう。

シグナス グリファスは、大柄ボディによる押し出しの強さがあり、存在感という点ではシリーズ中でナンバー1だ。一方、7型のCYGNUS Xは、多くの人がイメージする原付二種スクーターらしいコンパクトさが魅力と言える。ちなみにフロアボードの空間は7型の方が広く、また足を前方へ置いたときの足首の角度が緩いので、居住性という点においては新型に軍配が上がる。

フロントディスクの大径化によりブレーキ性能がアップ

ハンドリングについては、剛性バランスを最適化したアンダーボーン型フレームを筆頭に、1サイズ細くなったフロントタイヤ、バネレートを下げたリヤショック、そして大径化されたフロントブレーキディスクなどにより、7型は走りの質そのものが大幅に底上げされている。

前後のディスクブレーキは、5型から6型にモデルチェンジしたタイミングでリヤディスクがφ200mmからφ230mmに。そして7型でフロントディスクがφ245mmからφ267mmへと大径化された。台湾ではABSとUBS(前後連動式)の両仕様をラインナップするが、日本ではUBS仕様のみが販売される。

グリファスの走りが決して劣るわけではない。安定性を重んじたハンドリングは、小型二輪免許を取得したばかりのユーザーでも扱いやすく、またベテランがセカンドバイクとして選んだとしても何ら不満はないだろう。ただ、ほぼ同価格のNMAXではなく、あえてシグナスシリーズを選ぶユーザーであれば、軽快かつスポーティな走りを好むはず。そういう意味において7型のCYGNUS Xは、よりキビキビとしたハンドリングでそうしたニーズに応えてくれるのだ。

ディスクが大径化されたフロントブレーキは、単に制動力がアップしただけでなく、フレームの強化によってその減速Gを受け止められるようなったことも大きい。グリファスでもフロントディスクの大径化は物理的に可能だろうが、総合的なバランスまで込みで考えると、ここでも新型に軍配が上がる。

7型は駆動系のセッティングを見直してダッシュ力が向上

動力性能については、空冷時代よりも力強く静粛性に優れるという基本性能は変わらないものの、新型は主にダッシュ力が増している。実際に2台でスタートダッシュを比べたわけでも、またタイムを測定したわけでもないが、スロットルを開けてから加速に移行するまでの反応が短く、そこでのストレスが少なくなっている。CVTのセッティングだけでこんなにも印象が変わるのかと感心しきりだ。加えて、オン/オフ可能なトラクションコントロールが導入された点もうれしい要素だろう。

エンジンは124cc水冷SOHC4バルブ単気筒「ブルーコア(BLUE CORE)」で共通。最高出力12PS/8000rpm、最大トルク11Nm/6000rpmも同じだが、駆動系についてはウェイトローラーを11gから9gとし、同時にクラッチ性能を最適化して全域での加速フィールを向上させている。なお、NMAXと供用だったエアクリーナーボックスは7型で小型化された。

対してグリファスは、WMTCモードでの燃費が7型よりも良い。具体的には、グリファス:44.5km/L、7型:41.9km/Lなので、少しでもランニングコストを抑えたい人にとっては、この差は見逃せないだろう。

ハザードスイッチ新設、メーターは非常に見やすくなった

装備については、7型で待望のハザードスイッチが新設されたのをはじめ、USBソケットがQC3.0急速充電にも対応するType-C端子に。さらにフロントポケットが大型化されたり、ハンドルグリップが新型になるなど、変更点は多岐にわたる。

ハザードスイッチが新設された右側スイッチボックス。スロットルグリップは新型で、前後に長い楕円断面によって操作力を低減する。
左側ハンドルスイッチは、ハイ/ロービームの切り替えにパッシングスイッチのあるタイプへ。
フロントポケットが大型化されたのが一目瞭然だ。
高コントラストなマルチカラーVA液晶を採用する7型のメーター。自動調光機能や推定航続可能距離表示も搭載している。6型よりも明らかに見やすくなったことが分かるだろう。

定価は1万5400円差だが乗り出し価格はほぼ同じ

いざ買うとなったら少しでも安く買いたいもの。旧型となるシグナス グリファスなら値引き額も大きいはず、などと思って新車・中古車情報サイトを調べてみると、乗り出し価格は6型、7型とも最安値が35万円台前半で、ほぼ同額という状況だった(2026年7月下旬現在)。となると、あえてグリファスを推すとすれば、押し出しの強いボディサイズや燃費の良さぐらいだろうか。

筆者が購入を検討したそもそものきっかけは7型の走りの良さを実感したからであり、あとから装備の違いを調べてみて、やっぱり買うなら新型だなと思った次第。台湾仕様のスポーティなグラフィックやY-Connect、ABSの採用は今後に期待しつつ、もう少し検討したいと思う。

CYGNUS X【シグナス グリファス】 主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 8BJ-SEM5J/E35TE【8BJ-SEJ4J/E33UE】
全長/全幅/全高 1,865mm/715mm/1,125mm【1,935mm/690mm/1,160mm】
シート高 785mm
軸間距離 1,340mm
最低地上高 125mm
車両重量 126kg【125kg】
燃料消費率 国土交通省届出値 
定地燃費値 48.6km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値 41.9km/L【44.5km/L】(クラス1)1名乗車時
原動機種類 水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ
気筒数配列 単気筒
総排気量 124cm3
内径×行程 52.0mm×58.7mm
圧縮比 11.2:1
最高出力 9.0kW(12ps)/8,000rpm
最大トルク 11N・m(1.1kgf・m)/6,000rpm
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 1.00L
燃料タンク容量 6.1L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V、6.5Ah(10HR)/GT7B-4
1次減速比/2次減速比 1.000/10.208 (56/16×35/12)
クラッチ形式 乾式、遠心、シュー
変速装置/変速方式 Vベルト式無段変速/オートマチック
変速比 2.384~0.749:無段変速
フレーム形式 アンダーボーン
キャスター/トレール 26°30′/90mm
タイヤサイズ(前/後) 110/70-12 47L【120/70-12 51L】(チューブレス)/130/70-12 56L(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/ユニットスイング
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED
乗車定員 2名
※【 】内はシグナス グリファス

製造地:台湾(ヤマハモーター台湾)