愛車を置くための家が、人生を楽しむための家になった
RZ34、CBR1000RR、モンキー125…増え続ける“好きなもの”
朝、目を覚ますと愛車が見える。
仕事から帰れば、玄関より先にガレージへ足が向く。休日には電動シャッターを開け放ち、愛車を眺めながらコーヒーを飲む。クルマ好きなら、一度はそんな暮らしを思い描いたことがあるだろう。

そんな理想を現実にしたのが、福岡県に暮らす橋永浩一さんだ。
橋永さんが現在の家を建てたのは2017年。ガレージに収まるのは、R35GT-Rの最終型トラックエディションを筆頭に、RZ34フェアレディZ、CBR1000RR、そしてモンキー125。クルマとバイク、そしてさまざまな趣味のアイテムが、この家には所狭しと詰め込まれている。
だが、最初から「クルマのための家」を建てようと考えていたわけではなかった。
ガレージだけのはずが、家ごと建て替えることに

以前の住まいでは、クルマを置くスペースが十分ではなかった。
愛車を扱うたびに周囲へ気を遣い、作業性も決して良くない。あるときには、ガレージ内でオイル缶を引っ掛けてしまい、ホイールを傷付けてしまったこともあったという。
「本当はガレージだけ建て替えるつもりだったんです。でも、家のほうにもダメージがあって。それなら、いっそのこと全部建て替えようとなりました」。

そこで相談したのが、福岡市西区を拠点とする「建築マニア」だった。
神社仏閣などで培った職人技をベースに、住宅や店舗、そしてクルマ好きのためのガレージハウスを手掛ける建築マニア。その家づくりには、一般的な住宅とは少し違った考え方がある。
それは、家にクルマを合わせるのではなく、クルマとの暮らしに合わせて家を作ること。

車高の低いクルマでも出入りしやすいアプローチ、ガレージ内での作業性、洗車や換気のしやすさなど、クルマ好きだからこそ気になる部分まで設計段階から織り込んでいく。
基本プランをベースに、施主のライフスタイルや所有するクルマに合わせて変更できるのも特徴だ。
橋永さんが求めたのも、まさにそんな住まいだった。
最初の注文は「クルマ2台とバイク2台」
家づくりに際して橋永さんが伝えた希望は、いたってシンプルだった。
「クルマ2台とバイク2台が置けること」。
それ以外については、かなりの部分を建築マニアに任せたという。

ただし、基本プランから大きく変更した部分がある。それがガレージの高さだ。
橋永さんは居住スペースを一部削り、そのぶんガレージを上下方向へ拡大。R35GT-Rを収めるだけでなく、リフトで車両を持ち上げた状態まで想定した空間を作り上げた。
なぜ、そこまでの高さが必要だったのか。
「リフトアップしたクルマを、部屋から眺められるようにしたかったんです(笑)」。
いかにもクルマ好きらしい発想だ。


ガレージにはリフトを設置。R35GT-Rを持ち上げても十分なクリアランスが確保されており、愛車を自分で整備するための設備も整えられている。そして2階からは、そのガレージを見下ろすことができる。
愛車を収めるだけでなく、眺める、触る、イジる。
そこまでをひとつの生活として考えた空間なのだ。
「いつか」を見据えて作ったガレージ
橋永さんがクルマに夢中になったのは、今に始まったことではない。

これまでにカリーナED、ER33の2ドアNA、V35スカイラインクーペなどを所有。R35GT-Rは2015年モデルを新車で購入し、その後、現在の最終型トラックエディションへと乗り換えた。

そして2025年には、「MTのターボ車にも乗りたい」という理由からRZ34フェアレディZの6速MTを購入。ECUチューニングも施し、現在は約500psの仕様で走りを楽しんでいる。

クルマだけにとどまらず、2013年にはCBR1000RR(SC59)を購入。さらに最近ではモンキー125も加わった。
こうして振り返ると、橋永さんのガレージに並ぶ車両は、単なるコレクションではない。その時々で「乗りたい」と思ったクルマやバイクを選び、実際に楽しんできた結果なのだ。
そして、そんな趣味の広がりを受け止める役割を、この家が担っている。
ガレージだけじゃない。2階は“男の城”

この家の面白さは、ガレージだけにとどまらない。
1階はお母様の生活スペース。そして2階が橋永さんのプライベート空間になっている。


リビングにはGT-Rのスケールモデルやグッズが並び、ガンプラが積み上げられ、ゲームも置かれている。ガレージ脇に設けた書斎スペースも、いつの間にか趣味のアイテムで埋まり、今ではすっかり“男の城”と化している。
モデルハウスのように、何もかもが整然と片付いた空間ではない。むしろ、好きなものを楽しみ続けてきたからこそ、自然とモノが増えていった。
クルマ、バイク、模型、ゲーム。
それぞれは別々の趣味に見えるが、根っこにあるのは「好きなものを好きなように楽しみたい」というシンプルな思いだ。
愛車を置くための家が、人生を楽しむための家に

今年51歳を迎える橋永さんにとって、この家は現在の生活だけを考えて作ったものではない。
特に楽しみにしているのが、定年後の時間だ。
仕事をリタイヤしたら、時間を気にせずガレージに籠もってクルマをイジる。リフトで愛車を持ち上げ、自分の手で整備する。ひと息つきたくなれば2階へ上がり、ガレージを眺める。
そんな未来も、この家を建てる段階ですでに思い描いていた。だからこそ、ガレージの高さにもこだわった。
単に「今、クルマが入ればいい」のではない。
これから先、どんなふうにクルマと時間を過ごしたいのか。
そこまで考えて作られた空間だからこそ、年月を重ねても楽しみ方が広がっていく。
愛車と暮らすことを選んだ男

「クルマ2台とバイク2台を置きたい」。家を建てるとき、橋永さんが掲げた希望はそれだけだった。
しかし、完成から9年が経った今、そのガレージにはR35GT-R、RZ34、CBR1000RR、モンキー125が並び、家の中には模型やゲームなどの趣味が増えている。
振り返れば、家を建てたことで愛車との距離は確実に近くなった。
朝起きればGT-Rが見える。帰宅すれば、すぐにガレージへ行ける。休日には愛車をイジり、2階では好きなものに囲まれて過ごす。そして、まだ先には定年後の時間が待っている。

愛車を置くために始めた家づくり。
それはいつしか、好きなものを楽しみながら、これからの人生を過ごすための場所になっていた。
橋永さんにとって、このガレージハウスは単なる「クルマ好きの家」ではない。愛車と暮らし、好きなことを楽しみ続けるための家なのだ。
●取材協力:建築マニア 福岡県福岡市西区西都1-6-8 グランクリュ九大駅前2F フリーダイヤル: 0120-194-028
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