海沿いから熱海を抜け、山を登る。その道中からすでに楽しい

十国峠原付ミーティングは、静岡県函南町にある「森の駅箱根十国峠」で開催される原付イベント。2016年に「十国峠カブミーティング」としてスタートし、2023年からはすべての原付が参加できる「十国峠原付ミーティング」へリニューアル。2026年はイベント創立10周年を記念し、「十国峠原付祭十周年」として開催された。

今回、筆者Sは横浜から早朝に出発。海沿いを流しながら熱海を通過し、街を抜けて山へ向かう。7月でも早い時間帯なら暑さはまだ控えめで、交通量も少ない。イベント会場へ向かっているはずなのに、十国峠までの移動そのものがちょっとした旅気分になった。

到着した「森の駅箱根十国峠」は標高のある山の中のため風も涼しく気持ちがいい。駐車場へ入ると街中で行なうイベントとは違う開放的な空間が広がっていた。

ひと昔前のドライブインという雰囲気がこれまたイイ。施設内はおみやげ物コーナーや軽食が楽しめるほか、ケーブルカーの搭乗口にもなっていて、さらに山頂へ向かうこともできる。

70’s、80’sな旧車からズーマーまでジャンルは意外と幅広い

会場の中心は、70〜80年代を中心とした原付旧車。スーパーカブやモンキーをはじめ、今では街で見かける機会が減ったモデルがずらりと並ぶ。とはいえ旧車専門というわけではなく、ズーマーなど比較的新しいモデルや、GN125などジャンルに縛られないマシンも参加している。

もともとカスタムカブから始まったミーティングイベントだが、現在の基本レギュレーションは原付・原付二種をベースとする車両が中心。ミッション、電動・スクーター、トランポの各部門が設定され、排気量アップによる軽二輪車の参加も認められている。

そしてなにより、“展示すること”そのものを楽しんでいる参加者の多さが特徴的。エントリーボードを額装したり、専用マットを敷いたり、周囲の小物まで含めて車両の世界観を作ったり。バイクを置いて終わりではない。

ミニバイクが駐車場を埋め尽くす。ジャンルも仕上げ方もバラバラなのが十国峠の景色だ。

専用マットまで用意して展示されたズーマーはSCR WORKSで製作。車両だけでなく“見せ方”まで含めて楽しむ参加者も多い。

ジャンルごとにエントリーボードが用意され、仕様やPRポイントも確認できる。気になる1台をじっくり選んで投票し、午後にはアワードが発表される。ドキドキ~♪

レーサー風の仕立てからノーマル然とした旧車まで、同じ原付でも方向性はさまざま。初めて見る車両も多く、眺めているだけでも時間が過ぎていく。

原付だけを並べるのではなく、クルマや小物まで含めて展示。参加者それぞれの“好き”がそのまま空間になっている。ちょっとしたフリマも行われていた。

クルマも含めて作品です! “トランポ部門” がかなり濃い

そして「十国峠原付ミーティング」を語るうえで外せないのが、トランポ部門だ。

普通ならトランポは、あくまでバイクを会場まで運ぶための裏方。ところがここではクルマそのものも展示の一部になる。年代を合わせたクルマとバイクを組み合わせたり、好きなクルマと愛車をセットで見せることで、オーナーの趣味性も感じられるのだ。荷室へ積載した状態が基本ルールだけど、見やすいよう降ろしてあったり当時物の小物を並べたりと、様々な工夫がおもしろい。

赤いホンダ・シティもその好例。リヤゲートを開けた荷室にはモトコンポを積載し、看板や小物まで含めて1980年代の空気を作り込んでいる。横を見るとモトラと年代物のクルマの組み合わせもあり、少し離れれば古い欧州車とミニバイク。ここまでくると「バイクイベント」という枠だけでは収まらない。

公式サイトによれば、次回2027年の十国峠原付祭でもトランポ部門が設定され、クルマ1台+原付1台の組み合わせでエントリーできる。

クルマと同時開発されたホンダ・モトコンポを積載状態を再現して展示。貴重な当時物の看板やキッズカーなどもあり、オーナーの愛情が感じられる。「クレージュ」仕様のホイールも当時物だ。

「ゴルフ2+モンキー」「日産パオ+モンキー」など、車種選びまで含めてオーナーの趣味が見えてくる。トランポ部門は“どう運ぶか”ではなく、“どう見せるか”も重要だ。

「トヨタ・マーク2ワゴン+ホンダ・モトラ」を組み合わせた展示。この荷室にモトラなんて高さ的に無理!どうやって積むの?と、気になっていたら……

まずタイダウンロープを使ってフロントフォークを縮め、ハンドル一式を外しちゃいます(笑)

そして、バランスを崩さないよう、慎重に慎重に。高さもギリクリア! 手慣れた感じがまたかっこよかった。

濃いのに、ゆったり。だから居心地がいい

参加車を見て回り、オーナーと話をして、また次の車両へ。会場ではそんな時間がゆっくり流れている。

スタッフもバイク乗りが中心で、主催側と参加者の距離が近く、「イベントだから構えなきゃ」という感じが少ないのも印象的だった。公式サイトによれば、この運営はもともと富士カブミーティングを手掛けていた有志が母体。2016年から形を変えながらイベントを続け、2026年に10周年を迎えている。

昼には参加者投票による各アワードも発表。とはいえ競い合う緊張感というより、それぞれが「これ好きだな」と選び合う雰囲気に近い。

濃い原付が100台以上集まっているのに、初心者が入りにくい空気ではない。自分の車両で参加するもよし、まずは見に来るだけでもよし。この敷居の低さこそ、長く続いている理由のひとつなのかもしれない。

車両を覗き込み、オーナー同士で話し込む。展示台数は多いが、会場には急かされるような空気がない。

小さな車体「KOZARU」がきれいに並ぶ姿も圧巻だった(久しぶりに見ました。試乗したこともあるけれど、現在の交通量を考えると裏道なら安全に走れるかなといった印象。とにかく子供たちのヒーローになれます)。ひと口に原付と言っても、その楽しみ方はかなり幅広い。

ノーマル、旧車、カスタム。同じ会場にさまざまな方向性が同居しているから、歩くたびに景色が変わる。一番手前に見えるのはホンダ・ダックスを一回り小さくした「KOINU(子犬)」。こんなシャレが効くのもミニバイクの魅力ですよね。

帰りはそのまま横浜へ……ではなく、せっかくなので熱海市街へ寄り道。街をぶらついて海鮮を食べてから帰路につきました。早朝の海沿いから始まり、十国峠で原付三昧、午後は熱海観光。イベントだけで1日を終わらせず、周辺まで含めて遊べるロケーションなのもありがたい。

いやあ、いまの熱海って若者が多いんですね。十国峠なら、イベント+ツーリング+観光を1日で組み合わせることもできる。


次回の十国峠原付祭は2027年7月18日!

公式サイトによると次回の「十国峠原付祭」を2027年7月18日(日)10:00〜14:00に開催予定。会場は今回と同じ森の駅箱根十国峠。エントリー部門はミッション、電動・スクーター、トランポの3部門だ。

この記事の写真を見て「ここ、行ってみたいかも」と感じたなら、次回はぜひ現地へ。エントリー方法や開催情報は「十国峠原付ミーティング運営公式サイト」で確認してほしい。

十国峠原付ミーティング運営公式サイト


2026年11月22日は「二輪×四輪トランスポーターミーティング」!

今回のトランポ部門に惹かれた人には、もっと近い開催予定もある。

2026年11月22日(日)、バイカーズパラダイス南箱根で「二輪×四輪トランスポーターミーティング」が開催予定。時間は10:00〜14:00で、クルマ1台+バイク複数台で参加可能。会費は1000円で、2026年8月8日からエントリー受付も始まっている。自走参加向けの「Champion’s Pick」も設定されている。

十国峠で見た“バイクだけじゃなくクルマまで含めて遊ぶ”世界が刺さったなら、こちらもチェックしておきたい。

11月22日開催の詳細はこちら

【モトチャンプ編集部】