電動バイクなのに自転車みたい! 車体も軽くて、なんだか新鮮。|ELMOTO・HR-4

シュトゥットガルト生まれのエルモトはGOVECS SCOOTER社製のEV(電動)バイクでポーランドで製造されている。ドイツ本国ではe-Bikeと呼ばれ、クラス最軽量をうたう「LOOP E-MOPED」として販売。日本で言うと原動機付き自転車(50ccバイクと同じ1種)のカテゴリーに属す親しみやすいモデルである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 双新電子(ELMOTO JAPAN)

ディテール解説

マウンテンバイクを思わせるフロント回り。LED式のヘッドランプは、SUPERNOVA製のM99Pro。ハイビームでは1,600lmの明るさを誇る。両脇に半弧状のデイタイムランニング(ポジション)ライトを装備。細く小さなウインカーもLED式だ。

MTBの部品を活用したダブルブリッジフォーク。リーディングアクスルの正立式でストロークは170mm。左側のボトムエンドで伸び側のダンピング調節ができる。ブレーキは自転車部品で有名な台湾のTEKTRO製DORADO 4P。電動バイク向けに開発された対向4ピストンの油圧キャリパーが採用されている。

スチール製角パイプフレームに挟まれてシート下にミッドマウントされるパワーパックは、オランダのcleantron製。定格51,1Vのリチウムイオンバッテリーは、51.1V-37Ah、つまり1,890Whのキャパシティを備えている。

駆動はブラシレスのインホイールモーターを搭載。ご覧の通りハブそのものがモーターになっており、リヤホイールをダイレクトに駆動する。サイドウォールまでパターンが刻まれたクルーザー用タイヤはSCHWALBE製CraZy BoB。

角断面スチール製スイングアームにはマルゾッキ製ROCOブランドのMTB用2本ショックを採用。ボトム部のピボット取り付け位置は10mmほど下げることができる。スイングアームの長さとショックの取り付け位置から推察して、30mm程ローダウンできそう。

ハブ左サイドにダイレクトマウントされたシングルディスクブレーキはフロントと同じTEKTRO製。鍛造アルミボディの対向4ピストン油圧キャリパーを装備。ローターの厚さは1.8mmと薄い。

バイクと言うよりは自転車に近い構造で組み立てられたハンドル回り。ステアリングヘッドやフロントフォークの剛性はかなり高そう。ハンドルバーはテーパータイプだ。

スイッチは下から順にウインカー、ホーンとパッシング、そしてダイヤルスイッチがディマー。人差し指で扱う向こう側には、メーター表示切り替えやリセットに使う選択&確認ボタンがある。
スロットルを示すラインが有るのみでスイッチ類は無い。ブレーキレバーはリーチアジャスト付き。ちなみに左手のレバーはリヤブレーキ。クラッチは無く、操作は自転車と同じ。

液晶表示式のデジタルメーター。暗がりで撮影すると写真の通り鮮やかに良く見えるが、日中の太陽光下では照度不足で少し見にくかった。赤帯部はオド&トリップや電圧メーター等に変えられる。速度はマイル表示も可能。

細身のロングシートはモトクロッサー的なフォルムを彷彿とさせる。ライディングポジションもスリムで着座位置にも自由度が大きい。

破壊する気が起きない程頑丈そうな盗難防止用ロック。イグニッションキーとは別のディンプルキーを使用する。
ご覧の通りステアリングロックは、ステアリングアンダーブラケット(三つ又)左側を固定する方式。
ステアリングヘッドパイプの直ぐ手前に位置するメインスイッチ。使用時にはゴムキャップを外してキーを挿し込み右(時計方向)に回すとONになる。
シート前方には小さな収納BOXがある。黒くフラットな蓋(キーロック付き)でカバーされている。
ご覧の通り、僅かだが1.5L容量の小物入れがある。ヒンジ部分にスプリングが採用されているが、蓋は開きままで固定することはできない。(手で押さえて撮影)
BOX内にあるUSB電源ポート。前方が5V1A、後方は5V2.1Aの電流が取り出せる。その右側に見えるプルノブを前方に引くとシートロックが解錠できる。
細く長いシートは前方ヒンジで開閉できる。メインフレームに挟まれて搭載バッテリーが顔を出す。天辺の後部に連結されているコネクターを外し、充電ケーブルを連結する。駐輪場で電源を確保できないなら、バッテリーを上に引き出して持ち運びも可能。家屋内で充電することもできるのだ。ちなみにシートも開放状態で固定されないので、取り外し作業は両手を使う事になる。

アクセントラインとして良く目立つグリーンのシートカウル。シュッと細くフィニッシュするリヤエンドにLED式のテールランプが組み込まれている。偶然だが、町田市オリジナルのナンバーと色合いがマッチしている。

付属品のリチウムイオンバッテリー専用充電器(48V8A)は、欧州の大手メーカーとして知られるドイツIEB(Industrle Elektronik Brilon)製のTyp E230 G。

リチウムイオン電池とは言え、まだまだ大きく重い。その技術や生産量は日進月歩。性能(容量)はどんどん向上しているので、将来的にはさらなるコンパクト軽量、そしてローコストになっていく事が期待できる。
下方のチェックボタンを押すと緑3、赤1の4段階でバッテリーの残量が表示される。全灯で75%以上、3灯で50〜75%、2灯で25〜50%、赤1灯で10〜25%、全消灯で10%未満を示す。なお充電時は100%で全灯になる。

主要諸元

ELMOTO・HR-4 
車名・型式:ELMOTO・LOOP (E-MOPED)
全長(mm):1,895
全幅(mm):716
全高(mm):1150
軸距(mm):-
最低地上高(mm):-
シート高(mm):830-860
車両重量(kg):59
乗車定員(人):1
最高速度(km/h):45
航続距離(km):60

駆動方式:ブラシレス・3相ハブモーター(ギヤレス・ダイレクトドライブ)
モーター定格電圧(V):51
定格出力(kW):0.59
最高出力(kW[hp]):2.0[2.7]
最大トルク(N・m[kgf・m]):-

バッテリー:LiFePo4(脱着式リチウムイオンバッテリー)
バッテリー定格出力電圧(V):51.1
バッテリー容量(Wh):1,890(37Ah)
充電電圧(V):100(AC)
充電時間:6時間(4時間で80%)

ヘッドライト(lm):1,100(16Wロービーム)/1,600(32Wハイビーム)
デイタイムランニングライト:LED×32(4.5W)
供給電圧(V):24〜60(DC)
ヘッドライト重量(g):220

タイヤ(前/後):2.35-24(60-507)/ 2.35-24(60-507)
ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク/ 油圧ディスク
懸架方式(前/後):テレスコピック式 / スイングアーム式
サスペンションストローク(mm):170(前)
フレーム形式:スチール製バックボーン

試乗後の一言!

ロードパルやパッソルが大ヒットしたアノ頃の使い勝手に匹敵。さらに多くのポテンシャルが期待できそう。

キーワードで検索する

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…