「ジャイロキャノピーって、雨の日まったく濡れないの?」|三輪バイクにまつわる疑問点、一問一答!

(写真左)ノーマルのホンダ・ジャイロキャノピー(2021年モデル)。写真右)雨の中をテスト走行するジャイロキャノピー(動画より)。

ワイパー付きの大型スクリーンやルーフ(屋根)を装備したホンダの三輪スクーター(三輪=スリー+スクーターという言葉を合わせ、スリーターとも呼ばれる)・ジャイロキャノピーは、どのくらい雨を凌げるのか? 大型スクリーンやルーフ付きならではのメリットは? 神奈川県横浜市にある三輪バイクのエキスパート「HVファクトリー」の代表・岡村氏に、ジャイロキャノピーに関するアレコレを伺った。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
取材協力●HVファクトリー https://hvfactory.com/

雨に強い、 ジャイロキャノピーはデリバリー最強マシン! でも肩ぐらいは濡れます

誰でも手軽に始められる〇ーバーイーツの配達は、2021年5月現在、自転車(電動アシスト付きを含む)が8割、バイクが2割。※注:写真はイメージです。  

 ワイパー付きの大型スクリーンやルーフ(屋根)を装備したホンダの三輪スクーター、ジャイロキャノピー。〇ーバーイーツや出〇館の配達員の中には、

・雨天時でも配達できるため、特に梅雨時はライバルが少なくて稼ぎやすい

・ゲリラ豪雨など、突然の雨にも困らない

・リヤ部に大型の宅配ボックスを設置できる。リュックを背負う配達に比べて圧倒的に疲れにくく、しかもリュック内でドリンクがこぼれたり、料理が崩れたりする確率が極めて低い=運転に集中でき、気疲れしにくい

・商品購入先、配達先、自宅での置く場所に困らない

・二輪にはない三輪ならではの安定した走りを実現=二輪に比べて疲れにくい

・4ストのジャイロキャノピーは燃費良好(ガソリン1リッターで30~40km走行(※注:走行状況等により異なる)

コロナ禍により新車の注文が殺到。一時は納車時期が不明。中古車の価格も1.5~2倍に高騰

HVファクトリーが手掛けたミニカー仕様のジャイロキャノピー。超大型のFRP製フルサイズワゴンや、雨に濡れにくいレッグシールド等でカスタマイズ。

 以上の理由から、2020年中盤のコロナ禍以降、配達にジャイロキャノピーを使用する人が急増。「ジャイロキャノピーはデリバリー最強マシン!」と評判を呼び、新車の納車時期が分からない。また、中古車の価格が1.5~2倍に高騰するという現象が起こりました。

 特に突然のゲリラ豪雨などには、身体もリュックも雨ざらしとなってしまう自転車とは比較にならない、屋根付きというメリットを遺憾なく発揮してくれるジャイロキャノピー。〇ーバーイーツの配達員の中には、「雨でも配達できる」というメリットを活かし、1日に100kmや200km、1ヶ月で2000kmや3000km、一年で4万km走る猛者も存在するようです。

 体力勝負の自転車に比べ、雨風や日差しが凌げ、しかもペダルを漕ぐ必要のないジャイロキャノピー。極めて効率よく稼げる「キング・オブ・デリバリー(配達の王様)」といえるかもしれません。

男性の場合、ノーマルは「両方の肩回りや足元」が濡れる傾向あり。でもワイドバイザーやレッグシールドを取り付けると快適性UP!

 ジャイロキャノピーはデリバリー最強マシン! という噂は耳にしても、実際のところ、ジャイロキャノピーはどのくらい雨風を凌いでくれるのか? これは「これからデリバリー車としてジャイロキャノピーを導入したい!」「ジャイロXとどちらにするか迷っている」というユーザーのみならず、一般の人も気になるところでしょう。

 三輪バイクの専門店「HVファクトリー」の代表・岡村氏に、お話を伺ったところ……
 各自の体形、雨脚の強さ、雨風の方向、風の強さ等によっても異なりますが、女性よりも肩幅のある男性が乗った場合、ノーマルのジャイロキャノピーだと、どうしても「両方の肩回り」が濡れてしまう傾向にあります。

お忙しい中、取材にご協力いただいた三輪バイクのエキスパート「HVファクトリー」の代表・岡村氏。キャプション入力欄


 それを防ぐため、HVファクトリーでは、フロントスクリーン部とルーフ(屋根)部に取り付ける、ジャイロキャノピー専用の「ワイドバイザー」。さらに足元の防雨性を高めた「レッグシールド」を開発・販売。
 ワイドバイザーやレッグシールドは、ノーマルよりも約100mm、フロントスクリーン、ルーフ(屋根)、フロントカウルをワイド化し、雨天での快適性を向上しているのが特徴です(上記カスタム車&下記カスタム車の写真を参照)。

 これらの開発にあたり、HVファクトリー代表・岡村氏は、雨の日に何度もジャイロキャノピーを走らせるなど試行錯誤。現在、通勤にレッグシールド装着のジャイロキャノピーで通勤中(片道約5km)ですが、普通の雨はもちろん、雨と風の強い台風の日でもカッパを不用で問題なし(ただし片道10km以上の場合は、カッパを着用したほうがいい)。
 このように、ほんの少しの工夫で、ジャイロキャノピーの防雨性は大幅に向上するのが特徴です。下記の動画もご参照ください。

【動画】ジャイロキャノピーの風雨ガード仕様!雨の日に走行テスト

ジャイロキャノピー(gyro canopy)風雨ガード仕様!雨の日走行テスト!by HVファクトリー

「車中泊できるジャイロキャノピー」も構想中!?

HVファクトリーが手掛けた、ジャイロキャノピー専用の「ワイドバイザー」装着車。

 ジャイロシリーズをミニカー登録する理由の1つが、ヘルメット着用義務の解除。特にルーフ付きのジャイロキャノピーの場合、大柄な男性がヘルメットを被ると、頭部が屋根に接触し、快適性が損なわれる傾向あり。とはいえ、「自らの命を守るためには、ミニカー登録後もヘルメットを着用して欲しい」と岡村氏は話します。

 HVファクトリーには、ジャイロキャノピーに「スマホ充電用にUSB電源を付けて欲しい」「ドライブレコーダーを付けたい」「ハイマウントのストップランプが必要」「社外のサスペンションキットに交換したい」。また、年配のユーザーからは、「ハーレーのようにオーディオシステムやスピーカーを取り付けて欲しい」「DC電源が必要」などの要望もあります(基本的にすべて取り付けOKですが、取り付け困難なものは要相談)。

HVファクトリーが手掛けた、ジャイロキャノピー専用の「レッグシールド」装着車。  

 また、ヘッドライトを「暗いハロゲン(現行モデルは18W×2個)から、明るいLEDに変更して欲しい」という希望も多数。LED装着の注意点は、装着車側は明るくても、時として対向車側に眩しすぎると感じさせてしまうこと。また、粗悪な海外製LEDは短期で切れやすく、製品によってはレンズカバーが熱で溶けてしまうこともあるので注意が必要です。

 HVファクトリーでは、「実用性の高いルーフ付きのジャイロキャノピー=速さを追求するよりも快適性や利便性を追求した方が面白い」という考えから、各種外装パーツをリリース中(詳しくはHVファクトリーのオフィシャルWEBサイトに掲載)。

「ジャイロキャノピーの三輪+屋根付きという特性を活かし、バイクで車中泊できるようなパーツを作ってみるのも面白いかもしれません(岡村氏)」

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