コスパ系国産2種スクーター4台を通勤目線で徹底検証! 走行性能チェック編|通勤四天王BATTLE 02

二番目のバトルは、やはり気になる走行性能をチェック! 
加減速の性能はもちろん、ハンドリングなどの操縦性、ストリートでの安定性や快適性、実燃費を徹底インプレッション!


PHOTO:渡辺昌彦 REPORT:宮崎正行

四天王はこの4台!

左からスズキ・アドレス125/ヤマハ・アクシスZ/スズキ・アドレス110/ホンダ・Dio110

TESTER:宮崎正行

本誌にて連載する「青春型録」「アジバイ迎賓館」の2本を担当する二輪ライター。これまでに所有したスクーターで思い出深いのは黄色のスカッシュと自分でOHしたスーパーモレ。

【SUZUKI】Address110 あふれるナチュラルフィールこれぞ2種スク完成形!

 あの原2ブームのパイオニア、アドレスV100の末裔だ。重いヒストリーを継ぐ現行アドレスの車体を前にして思うのは、どこもかしこもフツーだということ。じつはそこがとても大事。V100だってごくごくフツーのスクーターだった。

 もっとも感心したのはエンジンだ。絶対的なパワー感だけで言えばアドレス125に軍配が上がるかもしれないが、それだけでは評価しきれない快感フィールがこの110のエンジンには盛り込まれている。

名車アドレスの歴史をつぐこれが正統後継車!
50m加速5.41秒
40km/h急制動5.3m
実燃費40.3km/ℓ

 まず静かで洗練度がとても高い。スロットルをワイドに開けてもうなったり苦しげだったりせず、軽やかなトーンのまま車体を軽々と前に押し出してくれる。素晴らしいのがスロットルを閉じた時。乾いた心地いいサウンドを足元から「ポロロロロッ♪」と響かせながら、とても自然なフィーリングで減速するのだ。これは出来のいいコンビブレーキとしっかりと地面をつかまえて離さない大径タイヤのおかげもあるだろう。ちなみに14インチだからって小回りが効かないってこと、ぜんぜんありません(笑)

 シートの出来もグッド。ソフトな座面はお尻の収まりが良く、フラットな形状でしっかり体重を支えてくれる。えぐりの深いフロントカウルは包まれ感があるし、両つま先で車体をホールドできるのも嬉しい。トータル性能の高さとナチュラルなライディングフィールで上位入賞決定のアドレス110でした!

【HONDA】Dio110 スマートキーの便利さと抜群の完成度を誇るコンビブレーキ

想像以上に硬い乗り心地意外に男性っぽい!
50m加速5.51秒
40km/h急制動4.2m
実燃費44.2km/ℓ

新装備を満載して3代目に生まれ変わったニュー・Dio110。大径14インチタイヤのメリットをもっとも感じるシチュエーションは、歪んだアスファルトや浮いた砂などで荒れた路肩をすり抜けているときだろう。信号停止時などでエンジンマウントから伝わってくる微振動は意外に多いが、でもじつはこれ、アイドリングストップすることで回避できる。アイドルストップオンがデフォルトであることを痛感する瞬間だ。わりとフェミニンな印象のルックスに反して足まわりは硬めのセットで、乗り心地もハードな印象。しかしそれが功を奏するのがブレーキング時だ。ためらうことなくハードブレーキングを行なうことが可能だし、車体の軽さを実感することもできた。

 

【YAMAHA】AXIS Z 前傾姿勢がとりやすい! タイトな乗車感が個性的

スポスク血統の10インチモデル
50m加速5.39秒
40km/h急制動4.9m
実燃費41.8km/ℓ

 今回試乗した4台の中で、もっともスポーティな走りを見せたのがこのアクシスZだ。まず実際にまたがった瞬間から「これはどれとも違うスクーター」という印象をライダーに抱かせる。それはひときわ高いステップ位置と、迫り上がったフロントカウルの中に身を置いたときの包まれ感によるところが大きい。結果的にそれらのファクターが、前傾強めのコンパクトなライポジをつくってくれる。

 エンジンは兄弟車であるシグナスXのフィーリングとよく似ていて、中高回転域でパワーを乗せてくるドライブ感のあるもの。知らず知らずのうちにフルスロットルが楽しくなっていく、そんなスポーティさにあふれているのだ。スポスクファンは間違いなくこれ一択!

【SUZUKI】Address125 このベリーラクチンさ、乗って見なけりゃ分からない!

タンデムも得意な操縦性はビッグスクーターを彷彿させる!
50m加速5.26秒
40km/h急制動4.4m
実燃費38.1km/ℓ

「アドレス110とどこが違うの?」「いったいどっちを買えばいいの?」の疑問に単刀直入に答えましょう。「2台はだいぶ違うぜ!」と。外装の所々で若干チープな印象が否めないアドレス125だけど、そのネガな印象は試乗することでどこか遠くに飛んでいってしまう快適コミューターだった。まずライポジは4車中でもっとも自由度が高い。とりもなおさずそれは大きめの車体によるところが要因として大きいだろう。無理にダイエットさせず、成り行きでメイクしたようなボディはちょっとだけファットに見えるけれど、そのおかげで乗り味はだいぶラクチンだ。大ぶりなシートと余裕のあるパワー、車重変化の影響を受けにくいハンドリングによってタンデムも楽々こなしてしまうことに驚くべし。おっとりしているようで、じつはかなり欲張りなアドレス125はかなりの推奨銘柄だ!

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