ふっくらボディがちょっぴりスマートになったスズキ新型ハヤブサ。軽快感の増し、操縦性も素直と好印象。

初代モデルは、1999年に市場投入されたGSX1300Rハヤブサ。実測値で300km/hをオーバーした、当時世界最速のポテンシャルは、多くの反響を呼び、ロングセラーモデルとして確かな人気を獲得。2007年と2021年にフルモデルチェンジを受け、今回の最新モデルは第3世代である。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 スズキ

ディテール解説

縦型2灯式のヘッドランプを採用。上段のLED4灯がロービーム、下のプロジェクタータイプがハイビームだ。ウインカーはエアダクト脇にあるポジションライトに組み込まれている。

KYB製φ43mm倒立式フロントフォークのボトムチューブもカバーされたフェンダーデザイン。タイヤはブリヂストン製バトラックス・ハイパースポーツS22を履く・ダブルディスクブレーキは拡大されたφ320mmサイズのフローティングローターを装備。対向4ピストンのブレンボ製Stylema油圧キャリパーがラジアルマウントされている。
車体のほとんどがフルカバードされたエアロフォルムが印象的。「隼」の筆文字も勇ましい。
見るからにボリュームたっぷりなサイドアップマフラーは左右対称の2本マフラー式。
ボトムリンク式のモノショックが採用されたリヤサスペンション。写真のアジャスターリングでプリロード調節。その上には圧側減衰調節。ショックユニットのボトム側では伸び側の減衰調節ができる、フルアジャスター式が搭載されている。
バトラックスHYPERSPORT S22は新しいコンパウンドと内部構造でHayabusa専用に新開発された。7本スポークのキャストホイールも同じく新開発。リジッドマウントローターには1ピストンのピンスライド式油圧キャリパーが採用されている。
フロントフォークのトップエンドとステアリングアッパーブラケットに重ねる様に一部ラバーマウントを活用して組み付けられたセパレートハンドル。写真では見えない前方部分にステアリングダンパーも装備されている。
ハンドル左側スイッチは、下からホーン、ウインカースイッチ。人差し指で扱うディマー&パッシングスイッチ。中断にはモードとセレクトスイッチ。ディスプレイの表示切り替えや、各種電子制御システム等の設定に使う。
ブレーキレバーは6段アジャスト付き。ハンドル右側スイッチは上の赤いシーソースイッチがエンジンキル兼始動用スターター。下の赤い三角がハザード。中段の黒いスイッチはクルーズコントロール用。
中央にフルカラー液晶のマルチ情報表示を備え、左右にアナログ式4メーターを組み合わせた圧巻の5連メーターを採用。メインの速度計と回転計は大型でとても見やすい。
フロントフォークの頂点部にある伸び側の減衰調節。右一杯に回し、反時計方向に8クリック戻した所が標準位置。減衰力は右に回すと強くなり、全11段皆の調節ができる。6角のアジャスターを回すとスプリングプリロード調節ができる。工場出荷時のアジャスターの高さは6mm。
アジャスターは左右共通。プリロードの調節はアジャスターの高さで0〜10mm。アジャスター1回転で1mm変化する。圧側の減衰調節はフロントフォークのボトム側にある。右一杯に回したところから、反時計方向に2回転戻した所が標準位置。右に回すと強くなり3回転戻しの範囲で無段階調節できる。
セパレートクッションを持つダブルシート。シートカウル左脇のキーロックを解錠するとリヤシートが脱着できる。前席は左右2本のボルトで固定されている。
標準装備されたETC機器と6角レンチが整然と納められている。またシート裏の左右にはヘルメットホルダーがある。
セパレートデザインが採用されたリヤのコンビネーションランプ。光源はLED式で、ランプはリヤカウルに組み込まれている。写真はストップランプ点灯状態。
スマートにリファインされた様にも見えるが、全体的なデザインイメージは継承されている。

主要諸元

型式:8BL-EJ11A
全長×全幅×全高(mm):2,180×735×1,165
軸間距離(mm):1,480
最低地上高(mm):125
シート高(mm):800
車両重量(kg):264
燃料消費率(km/L):20.2(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値(km/L):15.4  1名乗車時
最小回転半径(m):3.3

エンジン型式:DXA1・水冷4サイクル・直列4気筒
弁方式:DOHC・4バルブ
総排気量(㎤):1,339
内径×行程(mm):81.0×65.0
圧縮比:12.5
最高出力(kW / rpm):138(188ps)/ 9,700
最大トルク(Nm / rpm):149(15.2kgf・m)/ 7,000
燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム
点火方式:フルトランジスタ式
始動方式:セルフ式
バッテリー容量:12V-11.2Ah (FTZ14S)
潤滑方式:ウェットサンプ式
潤滑油容量(L):4.1
燃料タンク容量(L):20
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
 1速   2,615
 2速   1,937
 3速   1,526
 4速   1,285
  5速   1,136
  6速   1,043
減速比(1次/ 2次):1,596 / 2,388

フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター(度):23
トレール(mm):90
懸架方式(前/後):
 テレスコピック式(KYB製φ43mm倒立式・フルアジャスタブル)
 スイングアーム(リンク式KYB製モノショック・フルアジャスタブル)
サスペンションストローク(前mm):120
ブレーキ形式(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/ 油圧色シングルディスク(ABS)
タイヤサイズ(前/後):120/70ZR-17 M/C (58W)/190/50ZR-17 M/C (73W)
舵取り角左右(度):30
乗車定員(名):2

試乗後の一言!

超高性能マシンへの憧れを満たしてくれるに十分なポテンシャルがある。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…