Cafe Racer……バイク好きならずとも、どこか甘美で官能的な響きを感じる言葉である。現在、英国のトライアンフやノートン、そしてホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキといった日本のメーカーも軒並みカフェレーサー風モデルをラインナップしている。とはいえ「そもそもコーヒーのレーサーって何よ?」という疑問は拭えない。なんとなくこういう形のヤツをカフェレーサーって言うんでしょ、というイメージはあるのだが……。
TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
そしていま、カフェレーサー人気が再燃する
以降、多くのビルダーたちによってカフェレーサーが生み出され、90年代には一大ブームが巻き起こされた。その多くはかつてのトライアンフやノートンを範とするものだった。
そのトライアンフが80年代に復活の狼煙を上げ、90年代から新生トライアンフとして本格始動する。そして2000年代に入り、そのヘリテイジを最大限に活用する形でカフェレーサー風の最新モデルをリリースするようになったのだ。
一方、気がつけば途切れることのない歴史を有する名ブランド揃いになった日本勢だが、SR400やCB1100やW800といった伝統のあるオーセンティックなモデルを数多く擁しているにもかかわらず、メーカーとして積極的にカフェレーサーを仕立てることはしてこなかった(ときおり、それらしい特別仕様車はあったが)。
ところがトライアンフのカフェレーサーがことごとくカッコ良く、ヨーロッパを中心に人気を博していたため、ここへ来て日本メーカーも精力的にカフェレーサー風の新型モデルを投入するようになった。
こうして現在、英国や日本のメーカーを中心にカフェレーサーが再燃してきたのである。もしくは、メーカー謹製カフェレーサー時代の幕開けと言った方が正しいかもしれない。
自分だけのカスタマイズド・カフェレーサーに憧れるのと同時に、多くの人が安心してメーカー製カフェレーサーを手に入れられるようになったのは、いちファンとしてとても喜ばしいことだと思う。
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