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普段、4輪旧車のイベントを取材することが多い。すると結構な確率で古い原付が展示されているケースに遭遇する。古い乗り物が好きな人は2輪4輪問わず集めてしまうことが多いのだろう。この場合、展示されているのは人気のあるモデルであることが多く、メジャーどころではホンダ・モンキーやダックスなど。最近ではヤマハ・パッソル系を見かけるようになり、多くが車高をローダウンするなどカスタムしていたりする。
ところが先日、モーターファン.jpで紹介したのだが、埼玉で開催されたイベントの取材中にカラフルな原付が展示してあり思わずカメラを向けてしまった。
ホンダ・ロードパルは1976年に発売された女性向けの原付で、独特のエンジンスタート方式を「ラッタッタ〜」というキャッチフレーズにしたテレビCMで一躍大人気になった。ソフトバイクなんて呼び方が生まれたのもロードパルのヒットが理由で、翌年にヤマハからパッソルが発売されると激戦区になるほどだった。そこで今回はロードパル系がどのような値段でやりとりされているのか確認してみることにした。今後の注目株になるかもしれないから要チェックだ!
ホンダ・ロードパル
ロードパルのエンジン始動方式はゼンマイ式。車体左にあるペダルを数回踏み込むとゼンマイが巻かれ、左レバーを握るとゼンマイが開放されてクランクが回転するのだ。この一連の動作を「ラッタッタ〜」と表現したわけ。大ヒットで勢いに乗ると77年2月には走行してリヤタイヤが回ることでゼンマイを自動巻きにしたクイックスターターを採用するロードパルLを追加発売。さらに79年には2速ATを装備して出力を2.5psに向上されたロードパルSを追加している。
ロードパルの中古車相場を調べてみると、ヤフオク!では安いと2万円前後から見つかるが、高いものはすでに10万円を超えている。記憶によれば30数年前は1万円くらいでゴロゴロしていたから、ずいぶんと値を上げているものだ。さらにグーバイクでは10万円台後半から30万円近いものまで見つかり、もう開いた口が塞がらない。ちなみに発売時に定価は5万9800円だった。
ホンダ・パルフレイ
ロードパルの写真と見比べてもらうとわかりやすいが、1978年には女性がスカートを履いたままでも乗り降りしやすいようにフレームを曲げて低くしたパルフレイを発売する。ロードパルより厚みを増やしたシートを採用するなど、女性向けモデルとしての性能を徹底して磨き上げている。
パルフレイの中古車を探してみたところ、グーバイクでは見つからずヤフオク!で2台見つかっただけだ。しかも7万円や15万円とロードパルより強気なスタート価格になっている。レア車は高くても売れるということなのだろうか。パルフレイの新車時につけられた価格は7万5000円だった。
ホンダ・パルホリデー
パルフレイに遅れること3カ月、今度は男性向けモデルとしてバーハンドルやホールド性を高めたシート、ブロックタイヤを装備するパルホリデーが発売された。これも写真で見比べるとわかるのだが、ロードパルとパルフレイでフレーム形状が違ったが、パルホリデーも専用のフレーム形状を採用している。定価が7万9000円のモデルなのにフレームを専用設計するなんて、時代の勢いを感じる。
パルホリデーもパルフレイ同様にレア車といっていいだろう。やはりグーバイクで売り物は見つからず、ヤフオク!で2台が見つかったに過ぎない。だから相場なんてないようなものだろうが、10万円前後で推移しているようだ。
ホンダ・パルディン
男性向けのパルホリデーと同時に発売されたのがパルディンで、こちらも男性向けのモデルでトライアングル構成のフレームやアップハンドルスタイルが特徴。普通にロードスポーツのような出立ちでセミロングシートによりツーリングもこなせそうな1台だ。価格はパルホリデーと同額だったので、スタイルで好みが別れたことだろう。
ロードパル4兄弟の中で最もレアなのがパルディンのようだ。グーバイクに販売車両は見当たらず、ヤフオク!でも1台だけという状況。サビが多いレストアベースとはいえ5万円を切っているから、お買い得感があると言えるだろうか。いずれもロードパルなら選べるくらいの台数が見つかるが、ほかの兄弟車については完全に希少車と言っていいだろう。これはもしや、これからブームが来るかもしれない!