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トライアンフ・Street Triple RS…….1,437,000円
二年前にも同じ場所で同モデルの試乗会が開催されたことを思い出す。基本フォルムは共通ながら、今回の新型は全体的にシュッとしたスマートな外観デザインに一新されている事が先ずは印象深い。特に前方に迫り出すフレームマウントの個性的ヘッドランプ&メーターデザインがコンパクトに刷新された。
タンクシートと新設されたアンダーカウルやマフラーに続く流れもスマートで一段とスタイリッシュ。ゴツイ感じがとれていかにも走りそう、シャープな印象である。
新型ストリートトリプルRSは、トライアンフMoto2 エンジンチームのノウハウを基にエンジンが改良され、より高いパフォーマンスを発揮。ストリートバイク最強を誇るモデルと言う。
二年前の試乗会では、ちょうどMoto2へエンジン供給するニュースが発表されたが、トライアンフが誇る3気筒エンジンを武器に精力的に新戦略を展開する同社の心意気と熱き情熱が伝わってきたことは、サーキットでの試乗機会が与えられた事も含め、今も鮮明な記憶として残っている。
さて今回の新型は、先ずユーロ5へ適合。一段とクリーンなエンジンになった。765ccの水冷DOHC並列3気筒12バルブエンジンも中速域のトルクを9%アップ。最大トルクは77Nm/10800rpmから79Nm/9350rpmに向上。最高出力は123ps(91kW)/11750rpmを発揮。中速域のスロットルレスポンスの向上ぶりが期待される。スリップアシストクラッチも装備。新型シフトアシスト(アップ/ダウンクイックシフター)と相まってスムーズなシフトワーク等、より洗練された操縦性が楽しめそう。
液晶ディスプレーも最新機能を登載。MyTriumph接続システムも採用され、GoProやスマホ等の電子機器と接続可能となったのも新しい。
富士スピ-ドウェイの直線ではゴールライン手前で240km/hを超えた!
富士スピードウェイ本コースの最終コーナーを3速で抜けてスロットル全開で加速。胸をタンクに付け、できるだけ伏せ姿勢を決めて11000rpmでシフトアップ。何とゴールライン到達を待たずにスピードメーターは240km/hに到達した。
一方ショートコースの僅かな直線でも第一コーナー直前でメーターは150km/hを示すのだ。その俊敏な動力性能には改めて驚かされた。
レッドゾーンは14000rpmからだが、スピードの乗りはあまり引っ張り過ぎない方が確実に速い。本コースの長いストレートでは、6速241km/h、エンジン回転数が12400rpmを示したところでレブリミッターが作動してそれ以上は望めない。もしも制御がなければ、実力的には260km/hに迫る勢いが感じられた。
ちなみにアイドリングは1250rpm。ローギヤで5000rpm回した時のスピードは43km/h。6速トップ100km/hクルージング時のエンジン回転数は5000rpmだった。
カウルの無いネイキッドモデルでオーバー200㎞/hの風圧は流石に辛い。それはバイクにとっても同じ事だが、その風圧に負けないだけの3気筒パワーには侮れないポテンシャルを実感させられたのである。
単純にパワフルというだけではなく、コーナーの立ち上がりで、躊躇なくアクセルを開けて行ける。スムーズにかつ早いタイミングで後輪に確かな駆動力を与えられる乗り味。俊敏な走りが楽しめるところに、Moto2譲りらしいエッセンスが感じとれた。
操舵フィーリングには落ち着きがあり、特に市街地のUターン等ではダンパーが効いているかの様なしっとり感がある。それでいてタイトターンの連続で身を翻す時はハンドル幅も奏功して軽快かつ素直にレスポンスし、とても扱いやすい。
さらに言うと深くリーンした時、前後タイヤ(ピレリ製ディアブロ・スーパーコルサSP V3)のグリップ感に抜群の信頼性が感じ取れる。穏やかな中に強かな力強さを発揮する3気筒ならではの出力特性もプラスに作用し、コーナー立ち上がり加速に優れる走りがイージーに楽しめてしまうのが印象的だ。
簡単に言うとスロットルをドンドン開けて行ける。開けられる(後輪にしっかりと駆動力を掛けられる)から旋回力が促進される。結果速度の乗りも早く楽にタイムが縮められる俊敏な走行性を発揮できると言うわけだ。
富士スピードウェイを走る限り、カウルが欲しくなってしまったのが、正直な感想だがストリートトリプルRSはそんな本物のポテンシャルを秘めたネイキッドスポーツとしての価値と魅力が、一段と高められていたことは間違いないのである。