ハーレー専門ショップの協力による脅威のクオリティ
ホンダ・モンキーにはこれまでさまざまな限定モデルや派生モデルがラインナップされてきたが、中でも異色のモデルがモンキーRである。レーサーレプリカ全盛期の1987年にツインチューブタイプのフレームやフロントディスクブレーキなど、いかにもレーシーなスタイルで登場。
モンキー史上最もとんがったモデルだが、とんがりすぎて大ヒットとはならず……。しかし、今やその希少性によってプレミア価格がついている。
そんなモンキーRを大胆にカスタムしたのが、と~るちゃんさん。現在49歳とのことだが、じつは16歳の頃に一度、モンキーRを所有していていたと言う。
「欲しくて買ったんだけど、トラブルが続いてすぐに手放してしまいました」
その後、モンキー50を乗り継ぎ、カスタムもいろいろやってきたというが、モンキーRは16歳の時の一度きり。しかも、当時からカスタム構想はあったが、お金がなくてできなかったし、結局すぐに手放してしまっている……。
読者の中にもそんな「気になっているけど、縁がないバイク」がある方もいるのではないだろうか。と~るちゃんさんにとって、モンキーRがそんな1台だったのだろう。
しかし転機は5年前。偶然、モンキーRの不動車を手に入れたことからはじまった。
「これまでモンキーミーティングには何度も行きましたが、モンキーRでは出たことがなかった。それで、せっかくだからこのモンキーRをベースにフルカスタムを作って、ミーティングに出してみたいと思ったんです」
カスタムのテーマは「カフェファイター」。カフェレーサーとストリートファイターの融合といったところか。ちなみにこの構想は、はじめてモンキーRを手に入れた時から温めていたという。
というわけでパーツ集め。まずはロケットカウルが必要だ。
購入したのは伽羅コレクションのモンキー用ドカティカウル。当然、モンキーRとはフレーム形状が違うのでつけられない。どうしようかと思っていたところ、これまた偶然知り合ったバイク仲間がカスタムショップオーナー。しかもハーレーをメインにしていて、フレームビルドもおこなうようなショップだという。
話しているうちに意気投合して……「全部お任せすることにしました。予算はいくらかかってもいいからって(笑)」。
こうしてバイクは完成! 最終的には「現行のハイグレード軽自動車が買えるくらい」のカスタム費用がかかったと言うが、その完成度の高さにと~るちゃんさんは大満足とのこと。
もちろん、「お任せした」といっても、オーナーのこだわりはしっかりと盛り込まれている。先述のロケットカウルはもちろんのこと、シートやペイントも注目すべきポイントだ。
シートは純正っぽく見えるが、アンコ盛りをしてボリュームのあるシルエットに整形。表皮張替えは宮城県名取市にある、ハーレーのカスタムシートを得意とする「ジミードープ」が担当した。
ペイントは、モンキーの可愛らしさを打ち消すために、あえてメカメカしいイメージに。フレームのブラックはハーレー純正のような艶やかさを醸し出している。そしてピンストライプとレタリングは、ハーレーカスタムでも有名な「ホッピングシャワー」が手掛けている。
4miniカスタムではあまり見られないハーレー系カスタムショップが多く参加しているのも、このマシンの大きな特徴だといえるだろう。
もちろん、そのこだわりはルックスだけではない。エンジンは「どうせやるなら」ということで124ccまで排気量をアップ。ミッションはキタコの5速をチョイスする。
セッティングは、と~るちゃんさんがのんびり走るのが好きということで、ロングに設定。見た目はもちろんのこと、走っても楽しい1台に仕上げられているのだ。
若い頃に夢見たスタイリングに、現代のセンスや技術を落とし込んだモンキーRは唯一無二のもの。
カスタムショップの協力もあり、と~るちゃんさんの夢は30年の時を経て実現したのである。