ニッシンのFSWモノブロックキャリパーが一層進化! 摩擦攪拌(かくはん)接合を駆使して軽量&低コストに成功【日立Astemo】

「NISSIN」「KEIHIN」「SHOWA」の各製品ブランドを展開(2020年に経営統合)する、四輪車と二輪車の新技術・先進技術カンパニー「日立Astemo」。NISSIN(ニッシン)は国内&海外の純正車用ディスクブレーキはもちろん、ストッピングパワー向上を目指したカスタマイズにも多用される信頼のブレーキシステムブランド。ニッシンを代表するビッグバイク向けの「FSW(Friction Stir Welding)モノブロックキャリパー」がバージョンアップ。軽量・高剛性というメリットを維持しつつ、さらなる軽量化と低コスト化を実現した。ここでは同キャリパー製作の要となる「FSW(Friction Stir Welding Welding=摩擦攪拌接合)」という製法に注目してみた。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

デザインも一新!フルモノブロックと同等のボディ剛性を維持しつつ、低コスト化を実現

最新技術を用いて製作されるニッシンの「FSWモノブロックキャリパー」がバージョンアップ。キャリパー本体のデザインを一新するとともに、軽量で高剛性というメリットを維持しつつ、さらなる軽量化と低コスト化を実現させた。

FSWとは「Friction Stir Welding Welding=摩擦攪拌接合」の略称。モノブロックボディ、対向型4ピストンを備えたこのキャリパーは、高性能スポーツモデルのフロント用ディスクブレーキキャリパーとして多くの市販車に採用中。またストッピングパワーの向上を目指した、ディスクブレーキチューニングにも多用されている。

2ピース型キャリパーやピンスライド型キャリパーに比べ、モノブロックキャリパーは軽量・高剛性という特性がある。この特性は、制動力やレバーフィーリングを高めるとともに、ばね下重量の軽減によって操縦安定性も向上。それらの効果によって、制動力アップも実現する。

FSW(Friction Stir Welding Welding=摩擦攪拌接合)製法とは?

一般的にモノブロックキャリパーの製作は、キャリパーボディ内部の加工が困難という課題がある。日立Astemoでは、「FSW=摩擦攪拌(かくはん)接合」という最新技術を駆使することで、その課題を克服。これにより贅沢で強固なフルモノブロックと同等のボディ剛性を維持しつつ、低コスト化を成功させた。

対向型ピストンを備えたモノブロックキャリパーは、キャリパーボディ両側にピストンをセット。FSWモノブロックキャリパーでは、ボディ外部に予め加工孔を施し、その孔から削り用の刃物ツールを進入させることでシリンダー内部を加工。シリンダー内部を加工した後、この加工孔を塞ぐためにFSWを適用する。

FSWは、ボディとプラグの境界部分に特殊なツールを回転・加圧しながら挿。摩擦熱でボディ材料を軟化させ、攪拌(かくはん)によって接合させる手法。攪拌接合することで、接合部は高い強度と剛性を維持しながら、シリンダー中心軸方向の厚さを低減。それにより、キャリパーボディの小型化・軽量化・高剛性化を達成させることができる。

新しくなったFSWモノブロックキャリパーは、FSW技術をさらに進化させ、モノブロックキャリパーとしての性能を維持しながら、さらなる低コスト化と軽量化を実現。キャリパーピストンの素材変更や、キャリパーボディのカラーリング変更など、性能やコスト、デザインに合わせたバリエーションにも対応している。様々なキャラクターの車両で、モノブロックキャリパーならではの高い操縦安定性と、高い制動力を楽しめるのが特徴だ。

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