ホンダCB400FOURの集合マフラー。新車発売時に純正品を開発・製造した「SANKEI」が前代未聞の完全復刻! メーカーも認めた渾身の力作【HONDAロゴ刻印入り】

“ヨンフォア”の愛称で現在も多くのファンに支持されている名車、ホンダ ドリームCB400FOUR。同車のマフラーが限定復刻。新車当時の純正マフラーの開発製造を手掛けた「三恵技研工業株式会社(SANKEI)」の手により復刻され、絶版バイクの専門店「ウエマツ」にて販売がスタートした。ホンダから再生産と販売の許可を得ているため、当時の純正と同じように「HONDA」ロゴも刻印。限定300本のうち、すでに100本が予約済み(2024年1月30日現在)。今回製作された金型は量産仕様ではないために増産の予定なし。欲しい人は急げ!
REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)
ウエマツ https://www.uematsu.co.jp/
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三恵技研工業株式会社(SANKEI) https://www.sankei-gk.co.jp/
商品の注文・問い合わせ https://www.uematsu.co.jp/pages/cb400f-reproduction-muffler.html

SANKEI 2002 MUFFLER COMP EXHAUST CB400FOUR 純正限定復刻マフラー……21万7800円(税込)

品番:SANKEI 2002 適合車種:ホンダ ドリームCB400FOUR(HM377)

398cc版のフレームに装着する場合、別途専用ステー(5500円/税込)が必要。
型式年式備考
CB400F‘74,12〜輸出含む408cc
CB400F-Ⅰ‘76.9〜国内398cc
CB400F-Ⅱ‘76.9〜国内398cc

マフラーの取り付け時に別途必要な部品

部品名数量参考部品番号(備考)
エキゾーストパイプジョイント418231-333-010
エキゾーストパイプジョイントカラー818233-303-010
エキゾーストパイプガスケット418291-028-000
6カクナット 6MM894001-06000
スタンドストッパーラバーA195011-61000
フランジボルト 8×16295700-08016-00
マフラーブラケット118353-377-610 ( FⅠ・Ⅱ、一部輸入車 )
6カクボルト 8×45292000-08045-A0 ( FⅠ・Ⅱ、一部輸入車 )
スプリングワッシャー 8MM294111-08000 ( FⅠ・Ⅱ、一部輸入車 )

商品の注文・問い合わせ https://www.uematsu.co.jp/pages/cb400f-reproduction-muffler.html

伝説の名車「ホンダ ドリームCB400FOUR」とは?

1974年(昭和49年)に発売されたホンダ ドリームCB400FOUR。写真は初代の408cc版。
発売当時はヨシムラジャパン製など、社外の集合マフラーを装着するのが定番だったドリームCB400FOUR。純正マフラーは、いまや幻と言っても過言ではない。
「芸術品」とも呼ばれる美しい集合マフラーもヨンフォアの特徴。

1974年(昭和49年)に発売された、400ccクラスにおける4気筒エンジン搭載の先駆け的モデル。美しい集合マフラーを採用したホンダ ドリームCB400FOURは、別名「ヨンフォア」として、今でも伝説的なモデルとしてリスペクトされている。

エンジンは空冷4ストローク直列4気筒SOHC 2バルブ408cc。 発売翌年の1975年、運転免許制度改正(125cc未満の小型限定免許、400cc未満の中型限定免許、オーバー400ccの限定解除免許の設定)により、国内向けの398ccモデル「ドリームCB400FOUR-Ⅰ」と「ドリームCB400FOUR-Ⅱ」が発売された。

398ccモデルは、ボア径(51.0mm)はそのままに、ストロークを50.0mmから48.8mmに短縮化され、エンジン回転数を上げてパワーを稼ぐ、高回転型のショートストローク型に設定。ただし最高出力は37ps/8,500rpm→36ps/8,500rpm、最大トルクは3.2kg-m/7,500rpm→3.1kg-m/7,500rpmにダウンされた。

ドリームCB400FOUR-Ⅰはスポーティなフラットハンドル、ドリームCB400FOUR-Ⅱはアップハンドルを採用。燃料タンクと同色だった左右サイドカバーを、398ccはブラックアウト化。タンクカラーはレッドを継続生産。ブルーは廃止され、イエローが追加された。

国内だけでなく海外でも大きな人気を集めたドリームCB400FOUR。絶版車ブームに沸く現在、程度の良いドリームCB400FOURは驚くほどの高値で取り引きされている。

国内向けの398ccモデルはル「ドリームCB400FOUR-Ⅰ」と「ドリームCB400FOUR-Ⅱ」の2種類を発売。写真のドリームCB400FOUR-Ⅰはフラットハンドルを採用。
写真のドリームCB400FOUR-Ⅱはアップハンドルを採用。

新車時、純正マフラーの開発製造を手掛けた「三恵技研工業株式会社(SANKEI)」の手により復刻

今回発売されたホンダ ドリームCB400FOUR用マフラーは、CB400FOURが新車として発売された当時、純正マフラーを開発・製造した「三恵技研株式会社(以下SANKEI)」による復刻版。新車当時と同じ素材、フォルム、構造で再生産された、こだわりあふれる逸品に仕上がっている。

新車発売当時と同じ製造メーカーが、新車時の純正品と全く同じ素材、構造、フォルムを完全に再現し、新たにパーツを製造販売することは前代未聞の取り組み。今回の試みは、部品確保に難儀している多くの絶版車フリークにとって、非常に心強いニュースとなった。

昭和23年創業のSANKEIは、国内二輪、四輪部品メーカーのエキゾーストパイプ、マフラーを中心に、樹脂パーツの製造、メッキなどの表面処理までを手掛ける国内有数の大手企業。

国内の6工場のみならず、アメリカ3工場、インド2工場、中国2工場、メキシコ、台湾、タイ、インドネシア計17ヵ所の生産拠点を持ち、2022年3月期の連結従業員数は2,570人、連結売上1,171億円を誇る。

大手企業のSANKEIが、自社内では量産とは呼べない規模で、約50年前のマフラーを復刻するという今回の取り組みは、同社としても異例中の異例。

このプロジェクトにおいてSANKEIでは、かつて自社がホンダからの高い要望をクリアするため、一丸となって成し遂げたドリームCB400FOURのマフラーを復刻することで、当時の苦労を身をもって知ること。また、今一度モノづくりへの意識を新たにしようというテーマを持ちマフラー復刻に挑んだ。

SANKEIは販売パートナーとして「ウエマツ」と提携。その理由は?

ウエマツ東京本社にて。枝川寿取締役 副社長(写真左)、三恵技研工業株式会社の関口好文氏(写真中)、三恵技研工業株式会社の山西早穂氏(写真右)。
ウエマツ東京本社。
ウエマツ東京本社の店舗内。

ウエマツは1992年の設立以来、アメリカを始め、世界各国から1960年代後半から1985年までの“MADE IN JAPAN”の絶版バイクを輸入販売。また国内で流通している絶版バイクの買い取りと販売を推進してきた専門ショップ。

ウエマツのポイントは、創業時から絶版車の整備に大きなウエイトを置いてきたこと。これまで蓄積してきた豊富な知識と経験は、専門店ならではのディープなものだ。

「ウエマツであれば、今回復刻された純正新品マフラーの装着だけでなく、後々のサポートまで安心して任せることができる」

マフラーの販売パートナーとして、今回SANKEIが「ウエマツ」と提携した理由はココにある。

復刻されたマフラーの購入希望者からは、「装着せずに箱のまま保管しておきたい」との声もあり。しかしマフラー開発のキーマンであり、自身もドリームCB400FOURのオーナーであるSANKEIの関口氏は、「ぜひ自らの愛車に取り付けて新車当時のサウンドを楽しんで欲しい」と語る。

1974年当時、革新的だったCB400FOURのマフラー。これを再現するための数々のチャレンジとは?

プロジェクトのキーマンである三恵技研工業株式会社 生産本部 生産改革室 主任技師の関口好文氏。自身もドリームCB400FOURのオーナー。

ドリームCB400FOURのマフラーは、国産車初となるテーパー形状の筒型サイレンサーや、4in1集合スタイルを採用。ホンダのデザイナーが思い描いたマフラーを製品化するため、製作には幾多の苦労があった。

バンク角と最低地上高を稼ぐため、4本が一列に並ぶ集合部や、サイレンサーエンドの処理など、SANKEI社内で試作の木型を何度も作り直し、デザインの精度を向上。かつてないマフラーを生み出すため、生産するために使用する機械や製造手法など、新たな方法が各種取り入れられ、様々なチャレンジが行われた。

マフラーの量産には、金型を欠かすことができない。しかし当時の金型はすでに廃棄処分。そこで社内の資料を探索したところ、当時の設計図を発見。この設計図と、SANKEIの関口氏が個人的に所有していた当時の量産品マフラーの現物が、金型づくりの指針となった。

当時の設計図は手描きのもので、長さやパイプ径といった2次元の寸法しか記載されていない。マフラーの微妙なカーブや集合部の独特のフォルムを再現するため、3Dスキャナーを用いて純正マフラーを3Dデータ化し、CADで設計を実施。

それを基に金型が製作されたが、実際の製品になると純正とは微細に異なる仕上がりとなり、その度に修正を加えて金型を作り直し。最終的には機械で製作された金型に、直接職人の“手”による修正を加えることで、当時の純正マフラーの持つ風合いや細部を再現することに成功した。

複雑な曲面を持つ集合部は、再現に苦労した部分のひとつ。

純正マフラーを再現した、こだわりのディテールに注目!

当時と同じ規格でクロームメッキ加工を実施

マフラーのクロームメッキは自社で行われ、厚みや品質も当時のホンダ純正と同等。厚いメッキや中古マフラーの再メッキ品では刻印の角が甘くなり、文字がしゃきっと見えないケースも多々あるが、同マフラーは刻印も実にはっきりとしている。

ホンダから再生産と販売の許可を得ているため、当時の純正と同じように「HONDA」ロゴが刻印されている。

ボルト1本まで「ホンダ純正品」を採用

サイレンサーのバンド部分などに使われているボルトは、頭に独自の刻印が入ったホンダの純正ボルトを使用。細部に至るまで忠実に純正クオリティを追求。

繊細な“魅せる”溶接ビートを再現

サイレンサーエンドの細くて繊細な溶接ビードは、70年代当時、日本国内の溶接機では実現できず、このドリームCB400FOURのマフラー生産のためだけに輸入された外国製の溶接機が用いられた。現代においてもこの溶接ビードは、現在のSANKEIの工場でもハイクラスの溶接機でなければ再現不可能だった。

エキゾーストパイプの2重構造

マフラーの中でも最も高温になるのが、エンジンに最も近いエキゾーストパイプの最初の曲がりの部分。この部分のメッキに焼け色が付かないように、純正マフラーはエキゾーストバイプの約半分ほどが二重管となっていた。

ところがマフラーのパイプ曲げ加工を行う機械「NCベンダー」では、一部のみが二重管となっているパイプ曲げを行うことができず、今回のマフラー復刻は難航。一時はすべて二重管のパイプを使うことが検討されたが、それではマフラーのサウンドに影響が出てしまう。

SANKEIの職人たちは知恵を結集し、工夫を凝らした結果、かつてない手法でパイプの曲げに成功。手間や時間は要したものの、見事に当時と同じ構造を実現させた。

新車当時のエキゾーストノートを再現

3室構造のサイレンサーも、当時と完全に同一の設計。

当時の純正とまったく同じ厚さのスチール素材やクロームメッキ、さらに3室に分かれたサイレンサー構造やエキゾーストパイプのカーブまで完全に再現。見た目のみならず、新車当時のエキゾーストノートまでを現代に蘇らせた。

そのサウンドは、現存する約50年前の純正マフラーに比べて非常に穏やか。アイドリング付近の回転数ではエンジン音が際立ち、機関の調子の善し悪しがよく分かるのが特徴。そこからエンジン回転数を上げ、7000回転を超えるとエキゾーストノートは一変。胸のすくような乾いた高音を奏でてくれる。

これはまさに新車時のサウンド。時空を超えた、“ホンモノ”のエキゾーストノートを実現している。

限定300本のうち、すでに100本が販売済み(2024年1月30日現在)。欲しい人は急げ!

ドリームCB400FOURが新車として開発された当時、純正マフラーの製作を担当していたSANKEIが復刻したということで、このエキゾーストシステムの注目度は抜群。2024年1月30日現在、限定300本のうち、すでに100本の予約が入っている。

今回製作されたマフラーの金型は量産仕様ではないため、これ以上の増産の予定は現在のところなし。欲しい人は早めの予約をオススメします!

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