世界一美しい帆船、イタリア海軍「アメリゴ・ヴェスプッチ号」がやってきた

PHOTO : Osamu NAMBA
東京国際クルーズターミナル
8/25 東京国際クルーズターミナルに世界一美しいと呼ばれるイタリア海軍の船齢94年の帆船「アメリゴ・ヴェスプッチ号」が東京初寄港をした。8/30まで停泊する。

また、8/26-30 イタリアの伝統と文化を体験できる「ヴィラッジョ・イタリア」を同時開催。
アメリゴ・ヴェスプッチ号に乗船ができるほか、メイド・イン・イタリア担当省、イタリア国防省、ADIデザイン博物館との共同企画で「イタリア・ジェニアーレ」も開催されている。

TEXT : 難波 治 PHOTOS : 難波 治、CarStyling
PHOTO : 難波 治
今回の世界1周航路図

アメリゴ・ヴェスプッチ号来港

アメリゴ・ヴェスプッチ号は2023年7月にイタリアのジェノヴァを出航、西へ向かい南北アメリカ大陸を周り、太平洋を横断。途中ハワイへ寄港し17カ国目の寄港先として、この度東京へ初寄港した。8月30日に出航、マニラを経由してオーストラリアのダーウィンに向かう(ダーウィン寄港は10月4日〜7日)。その後シンガポール〜ムンバイ〜アブダビ〜ドーハなどを訪問し2025年6月に28カ国の訪問を終えてイタリアへ戻る。

PHOTO : CarStyling

アメリゴ・ヴェスプッチ号は1930年5月にイタリア・ナポリにあるカステランマーレ・ディ・スタビア海軍造船所で建造されたイタリア海軍の練習帆船。1931年2月進水。同年7月就役。船齢94歳。
トールシップ型帆船で伝統的な幌布の26枚の帆を持つ。

全長[LPP]82.4m, [LOA]100.5m 
鋼鉄製マスト3本(高さ50m,54m,43m) ブーム長15.56m 
排水量4146t
セイル速力12ノット(22km/h) 
(元々はFIAT製4ストローク8気筒ディーゼルエンジンを搭載していたが、2016年の更新工事において、MTU製4ストローク12気筒1,32MWディーゼルエンジン発電機2基とMTU製4ストローク8気筒760kWディーゼルエンジン発電機2基、NIDEC製電気エンジン1基が搭載された)

PHOTO : 難波 治 
船尾にある舵ステーション。士官候補生が訓練で乗船しているときには4つの操舵輪を各輪2人づつ計8人で操作するが、通常はブリッジにて油圧アシストで操作される。床面は格子状のスノコだ。
PHOTO : 難波 治  
3本あるマストの先頭の50mのフォアマスト。甲板はチーク材を敷き詰めており板と板の間はウレタン系の緩衝材がピチッと挟まれている。
PHOTO : 難波 治  
帆を張るロープは各マストの土台部にまとめられている。全ての帆のそれぞれのロープの位置は決められている。船鐘にはVESPUCCIの文字がはいり、鐘を鳴らす紐はイタリア国旗の3色である。
一つ一つのパーツが長い時代の味わいを持つ。

全て合わせると30kmにも及ぶロープは伝統的な麻のロープのみ使用(係留索のみ現行港湾規則に従うために合成繊維)

PHOTO : 難波 治
船首に取り付けられている探検家アメリゴ・ヴェスプッチのフィギュアヘッド。
PHOTO : 難波 治

白と黒のボーダーのカラーリング 甲板はチーク材(3年ごとに交換)
船首と船尾は装飾され、アメリゴ・ヴェスプッチ*の等身大のフィギュアヘッドがついている。
士官候補生の航海訓練、海軍外交を主な任務とし、標準的な乗組員は16人の士官、70人の下士官、190人の船員になる。

アメリゴ・ヴェスプッチ* : 15世紀ごろのイタリアの探検家にして地理学者。南米大陸を探検、論文『新大陸』を発表。
PHOTO : CarStyling

ユネスコ、ユニセフ、におけるイタリアのアンバサダーとしての役割ももっている。

イタリア・ジェニアーレ展

イタリアデザインの歴史や文化の促進を担うメイド・イン・イタリア担当省、イタリア企業が主催し、ADIイタリア産業デザイン協会が協力した共同企画でイタリアのデザイン製品展「イタリア・ジェニアーレ、デザインの可能性」も同時開催されている。

PHOTO : 難波 治

キーワードで検索する

著者プロフィール

難波 治 / Osamu NAMBA 近影

難波 治 / Osamu NAMBA

筑波大学芸術専門学群生産デザイン専攻卒業後、スズキ株式会社入社。軽自動車量産車、小型車先行開発車輌…