2代目「ランドローバー イヴォーク」のマイナーチェンジモデルに試乗

マイナーチェンジで立派になった2代目「ランドローバー イヴォーク」に試乗「価格も立派に」

デビューからおよそ5年を経てマイナーチェンジした2代目イヴォーク。
デビューからおよそ5年を経てマイナーチェンジした2代目イヴォーク。
2代目「ランドローバー イヴォーク」がデビューからおよそ5年を経てマイナーチェンジした。内外装のデザインをリフレッシュするとともに、インフォテインメント系をアップデートさせて登場したが、プレスリリースには載っていない進化の跡も見受けられるわけで……。(GENROQ 2024年5月号より転載・再構成)

Land Rover Range Rover Evoque D200

兄貴分たちと遜色のない出来栄えと価格

テールランプのデザインもフロントに倣う形で変更。またボディカラーは3色が追加された。試乗車の「コリンシアンブロンズ」もそのひとつ。ブラックのコントラストルーフはオプション。
テールランプのデザインもフロントに倣う形で変更。またボディカラーは3色が追加された。試乗車の「コリンシアンブロンズ」もそのひとつ。ブラックのコントラストルーフはオプション。

まったく大げさではなく、走り出してしばらくの間、ディーゼルモデルであることに気づかなかった。言い訳のようだが、パーキングエリアで急いで乗り換えた際のエンジン始動時の音も、以前は明確だった“身震い”も、そうとは感じさせないものだったのだ。動き出しが身軽なことも、力強いピックアップもマイルドハイブリッドのモーターアシストのおかげだろう、と決めつけていた(実際にそれも効いているはずだが)。その後、フル加速を試した際のシフトアップが早かったことでD200であることに気づいた。お恥ずかしい限りである。

ご存知のように、兄貴分のレンジローバースポーツやディフェンダーに積まれる3.0リッター6気筒ディーゼルターボは、「インジニウム」と称するジャガー・ランドローバー自慢のモジュラーエンジンシリーズの中でも名機と評判が高いが、なかなかどうしてこちらの4気筒ディーゼルも見事な出来栄えだ。他にはガソリン4気筒ターボ(P200とP250)と同1.5リッター3気筒PHVのP300eがラインナップされている。

ランドローバーがレンジローバーとディスカバリー、ディフェンダーという3つのモデルシリーズを揃えることは周知の通り。うち高い洗練度とラグジュアリーを特徴とするのがレンジローバー・ファミリーで、イヴォークはそのエントリーモデルという位置付けだ。とはいえ、もはや兄貴分たちと遜色なしといっていい。そしてその分値段も立派である。

レンジローバーの名に恥じない走破性

最高出力150kW(204PS)/3750rpmと最大トルク430Nm/1750~2500rpmを生み出す2.0リッター4気筒ディーゼルターボに48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレインは従来型と変わらず、もちろん9速ATと電子制御多板クラッチを介して4輪を駆動する4WDである。テレインレスポンス2によって「スノー」あるいは「ロック」などにドライブモードを切り替えれば、ラフロードの走破性もレンジローバーの名に恥じないことは定評のあるところ。ツルリとフラッシュサーフェス化されたクールな外観とは裏腹に、最大渡河水深も600mmと本格的だ。

ライト周りがさらにシャープになった外観同様、すっきりミニマルなインテリアが新型の特徴で、センターコンソールに位置するのはもはや9速ATのシフトセレクターのみという潔さだ。従来は上下2枚のディスプレイが設けられ、下段側には温度調整&シートヒーター用ダイヤルが設置されていたが、新型ではすべてのコントロール類はダッシュ中央の湾曲した11.4インチのタッチディスプレイに一体化された。下段ディスプレイがあった場所には物入れが備わり、中にはワイヤレスチャージャーが装備されているが、リッドを閉めてしまえばまったく生活感がないモデルルームのごとしである。

数多のSUVとは一線を画する所以

フロントグリルのモチーフが六角形から長方形になり、さらにデイタイムランニングライトをシンプルな意匠とすることで洗練度を増した。
フロントグリルのモチーフが六角形から長方形になり、さらにデイタイムランニングライトをシンプルな意匠とすることで洗練度を増した。

乗り心地は見事にフラットで落ち着いている。オプションのダイナミックハンドリングパック(22万3000円)に含まれるアダプティブ・ダイナミクス(電子制御ダンパー)の効果もあるはずだが、これまたオプションの21インチタイヤを履きながら、ガサツな振動も荒々しい突き上げも感じない。この点だけでレンジローバー一族は数多のSUVとは一線を画している。

もっとも、2019年に現行2代目イヴォークが発売された時には400万円後半からのラインナップだったが、この2024年モデルではほぼ700万円スタートとなった。このD200の上級グレードであるダイナミックSEの車両価格は834万円、それに総額220万円あまりのオプションが乗っかってトータルでは大台を軽く超える。見事な出来栄えであることは間違いないし、装備の進化も理解できるけれど、そしてもちろん円安の影響もあるとはいえ、イヴォークも手の届かないレベルになってしまったか、と考えこまざるを得ない。いいものは一層高く、のご時世である。

REPORT/高平高輝(Koki TAKAHIRA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 5月号

SPECIFICATIONS

ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク ダイナミック SE D200

ボディサイズ:全長4380 全幅1905 全高1650mm
ホイールベース:2680mm
車両重量:1920kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1997cc
最高出力:150kW(204PS)/3750rpm
最大トルク:430Nm(43.9kgm)/1750-2500rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ストラット 後インテグラルリンク
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後225/65R17(7.0J)
車両本体価格:834万円

【問い合わせ】
ランドローバーコール
TEL 0120-18-5568
https://www.landrover.co.jp/

ジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社のマグナス・ハンソン代表取締役社長(右)とキャンペーンアンバサダー宮沢氷魚氏。宮沢氷魚氏は実際にレンジローバー イヴォークPHVを試乗した感想やクルマに関する思い出を語った。

改良新型「レンジローバー イヴォーク」の世界観を体感できるポップアップイベントが東京・渋谷で開催

ジャガー・ランドローバー・ジャパンは2月29日〜3月3日、東京・渋谷で「RANGE ROVER EVOQUE THE CITY THAT SHAPED ME TOKYO」を開催する。そのイベントを前に「レンジローバー イヴォーク」の世界観を体感できるというポップアップイベントのメディア向け内覧会が開催された。

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著者プロフィール

高平高輝 近影

高平高輝

大学卒業後、二玄社カーグラフィック編集部とナビ編集部に通算4半世紀在籍、自動車業界を広く勉強させてい…