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Lancia Ypsilon Rally 4 HF
高性能仕様「HF」の復活を宣言
かつてパフォーマンスを極めたランチアの戦うスピリット(精神)を表現する「イプシロン HF」が発表された。未来に向け、さらに前進するため、再び過去の歴史に立ちむかうべく、新生ランチア初のハイパフォーマンスモデルとして開発されたイプシロン HFは、マッシブなフォルムを特徴とし、ブランドの歴史を築いたラリーカーからインスパイアされたデザインを纏う。
システム最高出力243PSを発揮するフル電動パワートレインを搭載し、0-100km/h加速5.8秒を誇る。トレッドはワイド化され、専用のローダウンサスペンションを装備する。イプシロン HFは2025年5月から販売され、ガンマとデルタにもHFバージョンが登場する予定だ。
ランチア・ブランドのルカ・ナポリターノCEOは、新生ランチア初のパフォーマンスモデルとなるイプシロン HFとラリー復帰について次のようにコメントした。
「ランチアは、かつてラリー界で最も成功したブランドです。その戦うスピリットによって、多くの人々の心を掴んできました。そのスポーティな心臓が再び鼓動を刻み始めました。これまでと同じように、ラリーを愛するファンが、未来のランチアの新たなカスタマーとなるでしょう」
ブラッシュアップされた「HF」ロゴ
今回、イプシロン HFに採用された「HF」の起源は、1960年のジュネーブ・モーターショーにおいて、情熱的なランチアオーナーのグループによって、新車を6台以上購入した最も忠実なカスタマーが加入できる「ランチア HF(Hi-Fi、High-Fidelity=高い忠誠の略)クラブ」が設立されたことにまで遡る。
HFはその後、1963年にチェーザレ・フィオリオが、ランチアのドライバーや情熱的なオーナーとともに設立した「HFスクアドラ・コルセ・ランチア(HF Squadra Corse Lancia)」のシンボルとなり、多くのハイパフォーマンスモデルにHFの名称が採用されることになった。
HFロゴは、黒地に白の大文字で「HF」と赤地に白で 「SQUADRA CORSE」と書かれた4頭の赤い象で構成。この「フライングエレファント」は、ひとたび放たれると止められないという伝説に基づき、幸運のお守りとして選ばれており、パフォーマンスとドライビングプレジャーを象徴している。
ランチアは、2024年3月に新たにデザインされた「HF」ロゴを発表。歴史的なHFロゴをベースに、ラインとフォルムがシンプルにブラッシュアップされ、現代的なセンスで再解釈した。新型イプシロン HFのフロントセクションやステアリングホイールにも、この新たなHFロゴが配置される。
プライベーター向けラリーカーとして開発
すでに新型イプシロンの発表段階で、ランチアが匂わせていたラリー活動復帰が正式表明されていた。ランチアはこれまで「フルビア」「ストラトス」「037」「デルタ S4」「デルタ」などのラリーカーでWRCに参戦し、多くの勝利とタイトルを獲得した。今回、ランチアはイプシロンをベースに、プライベーター向け前輪駆動ラリーカー規定「ラリー4」を開発。世界ラリー選手権(WRC)を含め、ラリーフィールドにランチアが帰ってくることになった。
イプシロン ラリー4 HFは、最高出力214PSを発揮する1.2リッター直列3気筒4バルブターボを搭載。5速シーケンシャルトランスミッションと、機械式LSDを備えた前輪駆動のラリーカーとして開発される。現時点でデビュー時期は明らかになっていないが、公開されたイプシロン ラリー4 HFは、かつてWRCで活躍していたマルティニ・カラーを纏って登場した。
現在、ラリー4規定車両は「プジョー 208」「ルノー クリオ」「フォード フィエスタ」「オペル アダム」などが販売されており、WRCをはじめ、地域選手権や各国選手権に参戦。全日本ラリー選手権においても、昨シーズン新井大輝がプジョー 208 ラリー4で出走している。