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Porsche 911 GT3 R
完璧な戦略で波乱のレースを制した91号車
2024年のル・マン24時間レースは、6月16日日曜日の午後4時、ポルシェのレーシングカーによる111回目のクラス優勝で幕を閉じた。モリス・シューリング、ヤッセル・シャヒン、リヒャルト・リーツの3名は、マンタイ・EMAの「ポルシェ 911 GT3 R LMGT3」91号車のステアリングを握り、強力なライバルを相手にトップチェッカーを受けることになった。
荒天に見舞われた第92回ル・マン24時間レースは、過去最高となる32万9000人の観衆がフランスのサルト・サーキットに集結。しかし、決勝レースは日没後、長時間のセーフティカー先導による走行を余儀なくされた。さらに残り2時間の段階でも降雨があり、優勝をかけたバトルは厳しさを増すことになる。
マンタイ・EMAのポルシェ 911 GT3 R 91号車は、多くのアクシデントやハプニングに見舞われた24時間レースにおいて、完璧な戦略と力強いドライビングを披露。大きなアクシデントやトラブルもなく、LMGT3クラスのトップでフィニッシュラインを通過した。91号車は281周を走行し、2位に入ったチームWRTの「BMW M4 LMGT3」31号車に対して1周のリードをつけている。
圧倒的な強さで24時間を走り切ったモリス・シューリングは、次のように喜びを語った。
「まさに夢が叶いました! 僕自身、まだ19歳ですし、ル・マン初出場でクラス優勝を狙うなんて、考えもしませんでした。チームメイトやマンタイ・レーシングとともに、ほぼ完璧なレースができたと思います。ミスもペナルティもなく、タイヤチョイスもほぼ完璧でした」
ランキングトップ2をポルシェが独占
マンタイ・ピュアレクシングの911 GT3 R 92号車(星野敏、エルワン・バスタード、マルコ・ソーレンセン)は、レース前半にトップを走行する場面もあったが、最終的にマシントラブルにより、14位でレースを終えた。
第4戦終了時点で、LMGT3チームズランキングでは、マンタイ・EMAとマンタイ・ピュアレクシングが75ポイントで並んでおり(2勝を挙げたマンタイ・EMAが1位、1勝のマンタイ・ピュアレクシングが2位)、ポルシェがトップ2を独占している。
ポルシェ・モータスポーツの副代表、トーマス・ローデンバッハは、厳しいレースを戦い抜いたマンタイ・レーシングのハードワークを讃えた。
「LMGT3クラスにおける、マンタイ・EMAのクラス優勝は、素晴らしい興奮をもたらすことになりました。この勝利により、ポルシェはWECのLMGT3クラスにおいて、トップの座をさらに固めることになったのです。あらためて、マンタイ・レーシングに心からの賛辞を送ります。これはポルシェにとって大きな勝利です」
ポルシェ 911 GT3 R担当のプロジェクトマネージャーを務めるセバスチャン・ゴルツは、次のように喜びを語った。
「ポルシェは、GT3レーシングカーでル・マン24時間レースを制覇した最初の自動車メーカーとなりました。これは、ヴァイザッハの仲間たちのハードワークがあったからこそ、実現できたと考えています。私たちにとって新たな挑戦でした。そして、現場のチームワークも素晴らしかったです。選手権ランキングにおいて、91号車は多くのポイントを持ち帰ることができました。92号車の911 GT3 Rに技術的な問題があったのは残念ですが、今後ファクトリーに持ち帰り、しっかりデータを分析する予定です」