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TECHART GT sport Based on PORSCHE 911 Turbo S
911ターボSをベースとする「GTスポーツ」
テックアートのコンプリートカーはいつも我々の心を震わす。911で言えばGTストリート系が軸にある。GTストリート、GTストリートR、そして昨今ではフライウェイトという究極的なモデルも登場した。そうしたなかで“GTスポーツ”とはどのような存在か。画一的に表記するなら「911ターボS(クーペ or カブリオレ)をベースとして、専用の内外装モディファイとエンジンチューニングを施したコンプリートカー」ということになる。GTストリート系よりも大人っぽく上質に、かといって大人し過ぎない絶妙なセンをついていて、ホットモデルたるGT3系とはひと味違う“911ターボ”らしさがある。
992型ターボSカブリオレをベースとしたGTスポーツが、ここ日本でワールドプレミアとなったことが記憶に新しい。それは2024年の東京オートサロンだった。日本のインポーターを務めるラガーコーポレーションおよびボンドグループは、テックアートとの関係性が濃く、二人三脚となってGTスポーツを描いたのだ。今回は同社に在籍する岡 直人氏がぞんぶんに想いをぶつけた。「光栄にも、好き勝手に色や仕様を選ばせていただいた」と彼はいうが、百戦錬磨な男なだけにさすがにセンス抜群だし、本国R&D部門のスタッフもその仕上がりには満足していた。
エクステリアはいかにもテックアートといった風情だ。ディフューザーやウイングといった大物から、エプロンやカナード、ミラーなど微細な部分に至るまでテックアートのカーボンパーツに。ホイールは繊細なスポークが特徴的なフォーミュラVII。純正指定タイヤであるピレリP-ZERO(前255/35ZR20、後315/30ZR21)をそのまま使うあたり、テックアートがポルシェエンジニアリングに敬意を払う姿勢が見て取れる。一定の範囲で車高調整が可能なローダウンスプリングにより絶妙なファイティングポーズを取る。
最高出力は800PS
パワーユニットはハイフロー化タービン、強化ディバーターバルブ、吸排気のモディファイ、そしてECUチューニングなどにより、最高出力800PS、最大トルク950Nmにまで引き上げられた。ゴージャスな雰囲気に包まれながら普段使いして、ときにオープンエアクルージングを満喫できる。けれどもその気になればあっという間に300km/hオーバーの世界へと誘ってくれる。それはパワーユニットだけではなく、エアロダイナミクス性能や足まわりが優れているからこそ。こうしたパッケージングは本当に旨い。
さらに「ゴージャスな雰囲気」という性能の決め手はインテリアコーディネートにある。もとはレッドレザーの一色だった個体ながら、ダッシュボードやドアの内張り、センターコンソール、そしてシートなどすべてのパーツをテックアート本社にて見違えさせた。複雑なパンチング加工とロゴのエンボス加工は実に美しく肌触りもいい。その上でボルドー(赤)のアクセントも絶妙だ。細部に至るまで抜かりなくレザーやスウェード、アルカンタラが敷き詰められる様子は、ポルシェを超越したウルトラハイエンドカーである。
GTスポーツというコンプリートカーは世界限定わずか30台だという。その記念すべき1号車が、日本のストリートで異彩を放つことを素直に讃えたい。さらには残り29本のキーのうち、日本のユーザーが手にすることができるキーがまだ残っていることに期待したい。
REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)
PHOTO/中島仁菜(Nina NAKAJIMA)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 8月号
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ラガーコーポレーション
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ホソカワコーポレーション
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