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355 by Evoluto
シャシー剛性が23%も向上
これまで数多くのヒストリックモデルのレストアを手がけてきたエヴォルート・アウトモビリが、「フェラーリ F355」に現代的なエッセンスを加えた「355 by エヴォルート」を発表した。優れたデザイン、最先端テクノロジー、贅の限りを尽くしたインテリアなど、究極のアナログマシンを目指して開発された。
355 by エヴォルートは、通常はOEMレベルの新製品に求められるテクノロジーを、リエンジニアリングプログラムに導入しており、その品質は一般的な大手高級自動車ブランドのレベルにまで達しているという。パフォーマンスアップだけでなく、ヒストリックカーの懸念材料である信頼性の向上を実現すべく、最先端技術、最高水準のマテリアルが贅沢に投入された。
カスタマーから提供されたドナーカーのフェラーリ F355を、エヴォルート・アウトモビリがシャシーのコア部分まで丹念にオーバーホール。パーツレベルで徹底的に検査、評価、洗浄し、場所によってはカーボンで強化した上で、カスタマイズへと進む。この段階でフェラーリが持つオリジナルのレガシーに敬意を表しながら、この先の未来もハイエモーションなドライビングを楽しめるよう、様々な改良が施される。
特にシャシーに関しては、広範囲に及ぶねじり剛性テストを実施。各部にカーボン定着プログラムを施すことで、1250kgという車両重量をキープしながら、ベースモデルからねじり剛性が23%も向上した。シャシーの重要なハードポイントはすべて強化。走行中のたわみが最小限に抑えられ、エヴォルート・アウトモビリが目指すレベルのドライビングダイナミクスが確保されている。
広範囲にわたるエンジンのアップデート
355 by エヴォルートが2020年代に相応しいパフォーマンスを発揮できるよう、リヤミッドに搭載される3.5リッターV型8気筒自然吸気エンジンは200を超える新設計コンポーネントを導入。パワートレインの構造を徹底的に見直すことで、パワー、レスポンス、現代的な信頼性を獲得した。最高出力はベースを40PS以上も上まわる425PS、最高回転数8500rpmにまで向上している。
新規開発されたエンジンマネージメントシステムに加えて、エヴォルートによるオーダーメイドの専用チューニングが施される。独自開発のコイル・オン・プラグ・イグニッションは、各シリンダーの点火を直接制御することで、正確な点火タイミング、より強力なスパークエネルギー、爆発的なスロットルレスポンス、燃料効率の向上、信頼性を実現。公道だけでなく、サーキットでも究極のパフォーマンスを楽しむことができる。
インレットバルブを大型化したフルCNCポート付きヘッドにより、エアフローと燃焼効率が大幅に向上し、出力向上と熱管理性能が改善。これらのアップグレードは、機械的なストレスを軽減し、高いレベルの品質と信頼性にもつながっている。
イアン・カラムによるリマスタリング
エクステリアとインテリアは、英国を代表するデザイナー、イアン・カラムが率いるカラム・デザインが担当。フェラーリが持つイタリアンデザインの原点にパワーと美しさをバランスよく表現した。クラシカルなフェラーリらしいデザインを持つF355のフォルムを受け継ぎながら、スーパースポーツを現代的に解釈したプロポーションが表現されている。
リマスタリングされたデザインは、より筋肉質な体躯が特徴となる。トラック幅を拡大することでスタンスを強調し、そのエレガントなボディの下に潜む強大なパワーをアピールする。フロントセクションのデザインは一新され、より大きく深い冷却インテークとフロントスプリッター形状を採用。新たにデイタイム・ランニング・ライトと、複雑なディテールを持つ新形状のリトラクタブルLEDアップヘッドライトが搭載された。また、新デザインのドラミラーとフラッシュフィットドアリリースも導入されている。
より個性的なエクステリアを求めるカスタマーには、無限とも言えるパーソナライゼーションプログラムを用意。エクステリアペイント、ボディ各部のディテールパーツ、様々なカスタムオプションに至るまで、自分だけの1台を仕上げることができる。
クラシックとモダンラグジュアリーの融合
インテリアは、時代を超越したフェラーリデザインとモダンラグジュアリーを融合。最先端のインテリアデザインは、コクピットの中心にドライバーを据え、最新テクノロジーと贅沢なクラフトマンシップがシームレスに溶け込んでいる。オーナーは特注ペイント、レザー、素材仕上げなど室内を自由にパーソナライズすることで、没入感のあるドライビング環境を創り出すことが可能だ。
今回、「355 by エヴォルート」のデザインを手がけたイアン・カラムは次のようにコメントした。
「フェラーリ F355のような象徴的な1台をアップデートすることは、私たちにとっても大きな挑戦になりました。変化の境界線を完全に理解する必要があったのです。私たちのチームはオリジナルを完全に尊重しながらも、美しいデザインを生み出すため、新しいフォルムとディテールを融合させることを楽しむことができました」
355 by エヴォルートは、2024年7月11~14日に英国で開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて内覧会を実施。パドックに設けられたDRVNオートモーティブ・ハウスにおいて、限られたオーナーに向けてお披露目される。また、2024年8月に北カリフォルニアで開催されるモントレー・カーウィークにおいても、プライベートプレビューイベントが行われる予定だ。