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Audi A5 Sedan / A5 Avant
奇数ネーミングは内燃機関搭載モデルに
アウディは電動化に伴うモデルレンジの拡大を受けて、2024年以降に投入されたニューモデルからネーミングを再編成する。今後、偶数(2、4、6、8…)はフル電動パワートレイン搭載モデル、奇数(1、3、5、7…)が内燃機関(ICE)搭載モデルとなる。これを受けて、30年の歴史を持つベストセラーDセグメントセダン&ワゴンの「A4」が「A5」として生まれ変わることになった。
新型「A5」シリーズは通常モデルの「A5 セダン」「A5 アバント」と、よりパワフルなパーユニットを搭載したスポーツモデルの「S5 セダン」「S5 アバント」をラインナップ。すべてのシリーズはドイツのネッカーズルム工場で生産される。アウディのゲルノート・デルナーCEOは、新型A5 シリーズについて次のようにコメントした。
「アウディは、フル電動ラインナップの拡大と同時に、効率的な内燃機関エンジンを搭載した新世代モデルを公開しました。アスレチックなエクステリアデザイン、まったく新しいインテリア、未来に向けたエレクトロニクスアーキテクチャーを備えたA5ファミリーがその第1弾となります。先進のMHEVプラス・テクノロジーにより、一部電動走行が可能になり、さらに効率的なドライブを楽しむことができます」
エントリーモデルの「A5 セダン TFSI(110kW)」のドイツにおける価格は、ナビゲーションシステム、電動リヤハッチ、充電式電話トレイなどが標準装備され、4万5200ユーロから。ドイツでは2024年7月から予約受付を開始し、11月からデリバリーが行われる予定だ。
リヤハッチを備えた5ドアセダンスタイル
新型A5ファミリーは、クリーンなサーフィエスを持った新世代アウディデザインを導入。ロングホイールベース、大径ホイール、低くスポーティなフォルムなど、アウディらしい先進的なダイナミズムとプレミアム性が表現されている。
A5 セダンはスポーティでコンパクトなグリーンハウスが、弧を描きながらリヤへと伸び、クーペのように浅いリヤウィンドウへとシームレスに流れ込む。セダンを名乗るものの、このセグメントでは珍しいリヤハッチを備えた、5ドアリフトバックスタイルを採用した。積載性に優れたハッチゲートは短いノッチを備えており、デザインと機能性を両立している。
一方、ステーションワゴンのA5 アバントは、ダイナミックで張りのあるルーフラインが、スポーティでフラットなリヤウインドウへと統合。Dピラーにきつい傾斜をつけることで、ダイナミックなサイドビューを演出する。
フロントセクションは、立体的なハニカム構造を持つワイドでフラットなシングルフレームグリルを中心に配置。スリムで精緻なヘッドライトと共に印象的で集中した表情を作り上げた。バンパーと一体化した「ソフトノーズ」を採り入れたことで、ボンネットはフロントセクションと同一平面上に存在する。
フロントとリヤホイールのショルダー部から力強く張り出したブリスターは、WRCチャンピオンマシンの「アウディ クワトロ」を彷彿とさせる要素。リヤセクションは彫刻的なジオメトリーと、3次元的なライトストリップの組み合わせが、存在感と視覚的なダイナミズムを実現している。
フロントにLEDテクノロジーを採用したデジタル・デイタイム・ランニングライト、リヤには第2世代のデジタルOLEDテールライトを搭載。デジタルOLEDパネル1枚あたり、約60のセグメントが配置されており、A5においても車両リヤセクションに表情を与えるディスプレイとして機能する。
有機EL大型曲面ディスプレイを配置
新型A5のインテリアは、ユーザーからのニーズに合わせた人間中心のデザインを導入。アウディが掲げる新コンセプト「マテリアル・ドリブン・デザイン(Material Driven Design)」により、ゆとりある空間と高い快適性が確保された。
コクピットの中心となる有機EL「アウディ MMIパノラミックディスプレイ」は、11.9インチアウディバーチャルコクピットと、14.5インチMMIタッチディスプレイで構成。オプションとして、10.9インチのMMIフロントパッセンジャーディスプレイも用意されている。また、先代モデルから大幅な進化を果たしたヘッドアップディスプレイを導入。初めてヘッドアップディスプレイからインフォテインメント機能を操作できるようになった。
全てのパワーユニットをマイルドハイブリッド化
A5 ファミリーは、全てのモデルが48Vオンボード電動システムをベースに開発された新型マイルドハイブリッドシステム「MHEVプラス」を搭載。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンをサポートし、パフォーマンスを向上させながらもCO2排出量を削減する。また、パワートレインジェネレーター(PTG)により、走行中の電動走行が可能になった。
PTGは最大18kW(24PS)追加電動パワーをもたらし、減速時には回生ブレーキにより、最大25kWのエネルギーをバッテリーへと送り込む。オプションの電動エアコンコンプレッサーを追加すると、信号待ちでエンジンが停止しているときでも、室内のエアコンを作動させることができる。
パワーユニットのラインナップは、エントリーモデルは最高出力110kW(150PS)を発揮する2.0リッター直列4気筒TFSIガソリンターボエンジンを搭載。同排気量ながら、最高出力150kW(204PS)仕様も用意された。TFSIエンジンは、可変タービンジオメトリー(VTG)付きターボチャージャーを搭載し、エンジンの低回転域においても一貫したトルクの立ち上がりを実現した。110kW仕様はFWD、150kW仕様はFWDかAWD(quattro ultra)から選ぶことができる。
2.0リッター直列4気筒TDIターボディーゼルは、最高出力150kW(204PS)、最大トルク400Nmを発揮。最新世代ディーゼルターボは、シリンダー圧センサー、排気ガス制御のためのツインドージング、バランスシャフトなどに改良が施された。ディーゼルモデルも前輪駆動と4WDシステムの「quattro ultra」が用意されている。
スポーツモデルの「S5 セダン」「S5 アバント」は、最高出力270kW(367PS)を発揮する3.0リッターV型6気筒TFSIガソリンターボを搭載。S5のパワーユニットにも可変タービンジオメトリー(VTG)付きターボチャージャーと、MHEVプラスが初導入された。電動化されたパワーユニットと高い回生レベルにより、先代のS4 セダンTDIと比較して、CO2排出量を最大14g/kmも削減した。