今やメルセデス・ベンツブランド唯一のオープンモデル「CLE 200 カブリオレ スポーツ」に試乗

今やメルセデス・ベンツ唯一のオープンモデル「CLE 200 カブリオレ スポーツ」を真夏に試乗

メルセデス・ベンツブランドとしては唯一のオープンモデルとなるのがCLE 200 カブリオレ スポーツだ。その走りは意外にも好事家好みであった。
メルセデス・ベンツブランドとしては唯一のオープンモデルとなるのがCLE 200 カブリオレ スポーツだ。その走りは意外にも好事家好みであった。
CLEに実用性と快適性を両立させたオープンモデル「CLE200カブリオレ スポーツ」が追加された。最新のインフィテインメントシステムや1年中オープンエアを楽しめる最新装備を採用しているが、意外にもその走りは佳き時代のメルセデスを彷彿とさせる通好みのテイストであった。(GENROQ 2024年10月号より転載・再構成)

Mercedes-Benz CLE 200 Cabriolet Sports

たおやかな乗り味はまさに通好み

スポーツサスペンションを採用するCLE 200 カブリオレ  スポーツだがその極上な乗り心地は一級品だ。
スポーツサスペンションを採用するCLE 200 カブリオレ スポーツだがその極上な乗り心地は一級品だ。

そのたおやかで、しっとりとした乗り味に妙な懐かしさを感じてしまった。六本木のメルセデス ミー東京から「CLE200カブリオレ スポーツ」(以下、CLEカブリオレ)を借り出し、私は外苑周辺をのんびりとクルーズしている。外気温は32℃、おまけに強烈な夏の日差しが照りつけているが、仕方がない。カブリオレに試乗している以上、オープン性能を試さないわけにはいかないのだ。一瞬の躊躇の後、思い切ってセンターコンソールにあるソフトトップの開閉スイッチをオンにする。60km/h以下であれば走行中でも開閉可能な電動ソフトトップは、スムーズかつ厳かに開いた。開閉に要する時間は約20秒だ。

流石に風が巻き込み、髪が乱れるので、フロントウインドウ上部のウインドウディフレクターと後席後ろのドラフトストップで構成される「エアキャップ」をオンにする。するとどうだろう、車内への風の巻き込みはだいぶ抑制され、再び平穏なドライブを味わうことができた(暑いことを除いては)。盛夏の都心部でのオープンドライブは厳しいが、風の巻き込みをほぼ感じさせないエアキャップの効果を一度体験すると、積極的にオープンエアを味わいたくなること請け合いだ。フロントシートに内蔵された首元を暖めるエアスカーフやシートヒーターも備えるので、冬季でもきっと快適なオープンエアドライブを楽しめるに違いない。

風の巻き込みは最小限

と、すこぶる快適なCLEカブリオレだが、実はメルセデス・ベンツブランドにおいて、今や貴重なオープンモデルとなる。2023年にデビューしたCLEクーペのオープン版であるCLEカブリオレは、現在のメルセデス・ベンツのラインナップで唯一のオープンモデルなのだ。ラインナップはISG付きの2.0リッター直4ターボを搭載する「CLE200カブリオレ スポーツ」のみと、潔いグレード設定となっている。

その走りは、冒頭で触れたように意外にも佳き時代のメルセデスを想起させるものであった。ISGの効果もあり、発進時から高速道路の合流時の加速にいたるまで、実にスムーズでシルキーなトルクの立ち上がりを見せる。最高出力204PS、最大トルク320Nmというアウトプットは伊達ではなく、アクセルを踏めばそれなりの獰猛さを味わえるが、そういった走りはCLEカブリオレには似合わない。

必要にして十分なエンジンパワー

忙しなさを一切感じさせないリニアでゆったりとした操舵感を持つステアフィールと、凹凸をいなしながらフラットかつ極上な乗り心地をもたらすスポーツサスペンションをじっくりと愉しむのがCLEカブリオレの真骨頂だろう。ちなみに試乗車には連続可変ダンピングシステムを採用した「ダイナミック・ボディ・コントロールサスペンション(オプション設定)」が装備されていた。そのたおやかな乗り心地は、路面状況やドラビングスタイルに合わせて瞬時にセッティングを調整する本システムが寄与しているのだろう。

インフィテインメントシステムは最新の第3世代MBUXが奢られる。注目は音声アシスタントに「ジャスト・トーク」機能が採用されたことだろう。これにより「ハイ!メルセデス」と発話しなくても、音声操作が容易にできるようになった。実際に音声操作のみで、ナビのルート設定をしてみたが、聞き間違えることなく一発でルートを引いてくれた。他メーカーのインフォテインメントシステムと比べても、音声認識のレベルの高さは頭ひとつ抜けている。

最新の音声認識システムに脱帽

ソフトトップを閉めた姿も美しい。電動ソフトトップは60km/h以下であれば走行中も開閉可能だ。
ソフトトップを閉めた姿も美しい。電動ソフトトップは60km/h以下であれば走行中も開閉可能だ。

オープンモデルでありながら、日常の使い勝手にも手を抜かないのがメルセデス流だ。ラゲッジは通常時385Lの容量を誇り、トップを下げても295Lの荷室が確保される。実際に後席に座ってみたが、身長175cmの筆者でも快適に着座することができた。大人4名でのロングドライブでも不満は出ないだろう。

佳き時代のメルセデスの走りを彷彿とさせる通なエンスージアスト好みのセッティングと、快適なオープンエアを楽しめるCLEカブリオレ。もう少し歳を重ねたら、所有したいと本気で思ってしまった。

REPORT/石川亮平(Ryohei ISHIKAWA)
PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)/メルセデス・ベンツ日本
MAGAZINE/GENROQ 2024年10月号

SPECIFICATIONS

メルセデス・ベンツCLE200カブリオレ スポーツ


ボディサイズ:全長4850 全幅1860 全高1425mm
ホイールベース:2865mm
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1997cc
最高出力:150kW(204PS)/5800rpm
最大トルク:320Nm(32.6kgm)/1600-4000rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
車両本体価格:936万円

【車両提供】
メルセデス・ベンツ日本

【問い合わせ】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610
https://www.mercedes-benz.co.jp/

メルセデス・ベンツの現行ラインナップ唯一の4シーター・カブリオレ、「CLE 200 カブリオレ」の日本導入がスタートした。

現行ラインナップ唯一の4座オープン「メルセデス・ベンツ CLE 200 カブリオレ」が日本導入

メルセデス・ベンツ日本は、メルセデス・ベンツブランド唯一の4シーターカブリオレ「CLE 200 カブリオレ スポーツ(ISG搭載モデル)」を発表。全国のメルセデス・ベンツ正規販売店ネットワークを通じて販売を開始した。

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著者プロフィール

石川亮平 近影

石川亮平

スーパーカー&プレミアムカー雑誌「GENROQ」に在籍しながらも、カジュアルなフレンチカーも大好物な編集…