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ラグナセカで注目を集めたホンダ
今年もモントレー・カーウィークが賑々しく催された。1950年に初開催されたペブルビーチ・コンクールデレガンスを起源とするモントレー・カーウィーク、現在もペブルビーチ・ゴルフリンクスでのコンクールデレガンス、ラグナセカで開催されるモントレー・モータースポーツ・リユニオン、クエイル・ロッジ&ゴルフクラブでのモータースポーツ・ギャザリングなどを中心として、大小様々なイベントで構成されていることはご存知のとおり。そんな自動車好きにはたまらない週末の模様を日本人の視点で振り返ってみると、特に印象に残ったのがホンダの存在感だった。
彼らは、グッドウッドを走り終えた「RA272」をそのままアメリカ西海岸に直送。ラグナセカのパドックで展示したほか、土曜日には宮城光が2度のデモ走行を行って耳目を集めた。ちなみに、アメリカの陽気がRA272にぴったりとマッチしたのか、グッドウッドのときとは打って変わってエンジンは快調そのもの。エンジン始動でメカニックたちを手間取らせることは一度もなかった。そのいっぽうで、エンジン始動のデモンストレーションを行うたびに拍手が沸き起こるのはイギリスと変わりなかった。
ベスト・オブ・ショーはブガッティ タイプ59スポーツ
ホンダはこれ以外にもクエイルで「インテグラ・タイプS HRCプロトタイプ」と「アキュラ・パフォーマンスEV」の2台を一般公開した。このうち前者は「アキュラ・タイプS」をホンダのモータースポーツ部門であるHRCがチューニングしたコンセプトカーで、なんと軽量化のために後席を取っ払って2シーターにしたという過激なモデル。これ自体はあくまでもコンセプトカーだが、HRCが手がけたコンプリートカーやパーツ類は遠からず販売されることになるようだ。もう1台のアキュラ・パフォーマンスEVは、アキュラ名義ながらホンダの新世代EVプラットフォームを用いた初のモデル。従来のアキュラとは大きく異なるスタイリングが、ホンダの今後のデザインにどんな影響を与えるかについても注目したいところだ。
さらにペブルビーチにはピニンファリーナと共同開発した「HP-Xコンセプト」を出展。これは1984年のトリノショーでデビューしたデザインコンセプトだが、今回は「ウェッジシェイプ・コンセプトカー&プロトタイプ」が特集されたことにより、その特徴的なスタイリングが久しぶりに一般公開されることになった。
ちなみに今年のベスト・オブ・ショーは1934年製「ブガッティ タイプ59スポーツ」。これはタイプ59として最初に製作された1台で、しかも戦前のグランプリレースにブガッティワークスから参戦して数々の戦績を収めたヒストリーの持ち主なので、これだけでもベスト・オブ・ショーに相応しいが、驚くべきは、そのエントリーがプリザベーションクラス、つまり大規模なレストアが行われていないことにある。ちなみに、2001年に正式に設定されたプリザベーションクラスのモデルがベスト・オブ・ショーに輝いたのは、これが初めてのことという。
他にも見どころ満載のモントレー・カーウィーク
昨今はこのモントレー・カーウィークでニューモデルを発表するケースも増えているが、今年もっとも話題を集めたニューモデルがランボルギーニの「テメラリオ」だったことは間違いのないところ。これは、新開発のV8エンジンが10,000rpmまで回り、3モーター方式のプラグインハイブリッドパワートレインが920PSを絞り出すことで話題になっているウラカンの後継モデルだが、その詳細をチーフ・テクニカル・オフィサーのルーベン・モールにインタビューしたので、こちらについては別途、ご紹介することにしよう。
テメラリオが初公開されたクエイルでは、これ以外にもマセラティが「GT2ストラダーレ」のワールドプレミアを行ったり、前述のとおりホンダとアキュラもコンセプトカーを発表したが、それ以上に目立ったのが小規模な新興勢力の台頭だった。その代表格というべきアメリカのジンガーを取材してきたので、こちらも追ってリポートしたい。
いっぽうで、ラグナセカでのモータースポーツ・ギャザリングはいつもどおりの様相で、アマチュアドライバーなどが自慢のヒストリック・レーシングを持ち込み、カリフォルニアの眩しい陽光を受けて走る姿が印象的だった。
PHOTO/大谷達也(Tatsuya OTANI)、Monterey Car Week