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The story of Onitsuka Tiger Vol.2
運転のしやすさを追求
ドライビングシューズというものにはオフィシャルな定義があるわけではない。一般的にはペダル操作をする際に滑らないようグリップ力のあるラバーソールを採用し、また靴底の形状はできるだけフラットで、かつ安定したペダルワークを実現するためにソールをかかと部分まで覆うように巻き上げた、運転のしやすさを追求したシューズということになるだろう。そして、もしドライブすることだけに特化するならば、そのスタイルはレーシングシューズにたどり着く。
しかし、ドライビングシューズには歩くという重要な機能が求められる。足は体表面積のわずか1%足らずの接地面で身体を支えており、さらに足の骨の一部である足根骨が体重の約90%を支えているという。いかにシューズが重要な役割を果たしているかはいわずもがなだ。
世に数多あるドライビングシューズのなかで、デザイン性、機能性、そして実用&耐久性と、それらをすべて兼ね備えているものは意外に多くない。運転のしやすさだけに特化するのではなく、スーツスタイルにも合わせることができるファッション性を兼ね備えながら、スニーカーづくりのノウハウを詰め込んだドライビングシューズ。そのありそうでなかったコンセプトを具現化したのがオニツカタイガー初のドライビングシューズ「メキシコ 66 ドライビング」だ。その名からもわかるように、同ブランドのアイコニックモデルである「メキシコ 66」をベースにデザインされたものだ。
薄底でスタイリッシュなシューズ
実はオニツカタイガーがドライビングシューズを手掛けたきっかけは、昨年惜しまれながら生産を終えたアウディTTにあった。最終限定車の50名のオーナーにのみ成約記念特典としてアウディとオニツカタイガーのコラボレーションシューズを用意するという粋な計らいによって生み出されたものだった。その完成度の高さから、市販化を求める声が多く寄せられることになる。そうしてそのシューズをリファインすることでこの量産モデルが誕生する。
アッパーには上質なレザーを採用。お馴染みのオニツカタイガーストライプは刺繍したものを貼り付けるカタチで表現されている。これはデザインの新規性を求めたものではない。通常のスニーカーのように縫い付けると皮の伸縮がおきてしまう。それを避けできるだけしなやかに足をくるみフィットさせようという創意工夫によるものだ。ユニークなソールはさまざまなドライビングシューズや1970年代のレスリングシューズなどから着想を得たもの。もちろん普段は街を歩くことを想定しており、かかと側を数ミリ高くすることで前傾させている。そうすることで人は自然に立ちやすく、歩きやすい姿勢になるという。ミッドソールには反発性に優れた素材を、さらに中敷にはクッション性に優れた素材を採用することで、快適な履き心地を追求するなど100を超えるパーツの組み合わせによってこのドライビングシューズは完成をみている。薄底でスタイリッシュなシューズをつくり続けてきたオニツカタイガーならではのノウハウが凝縮されているというわけだ。
そして通常の「メキシコ 66」にはない特徴として、かかと部に配されたメタル製のプレートがある。カラーはブラックとホワイトの2色のモノトーンの展開だが、将来的にはバリエーションが増えていくことも期待できそうだ。
運転スキルの向上も
当メディア読者には釈迦に説法だが、どんなに高性能なクルマを所有していようとも、いいシューズを履いていなければ宝の持ち腐れだ。アクセル、ブレーキ、そしてクラッチ、これら3ペダルとダイレクトにつながるのは、まさに足元なのだから。
「メキシコ 66 ドライビング」はタウンユースなどさまざまなライフスタイルを包括しながらも、かつドライブシーンでは自分の体の一部であるかのようにフィットし、運転スキルを向上させてくれる、そんなドライビングシューズだ。
REPORT/藤野太一(Taichi FUJINO)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2024年11月号
Onitsuka Tiger MEXICO 66 DRIVING
Color:White/Black
Size:22.5-29.0、30.0、31.0cm
Price:3万3000円(税込)
【公式オンラインストア】
https://www.onitsukatiger.com/jp/ja-jp/