往年のF1マシンを彷彿させるシングルシーターハイパーカー「マクラーレン ソーラスGT」

「乗り降り大変」往年のF1マシンを彷彿させるハイパーカー「マクラーレン ソーラスGT」

マクラーレンがごく少数だけ生産したハイパーカー、Solus GT(ソーラスGT)。
マクラーレンがごく少数だけ生産したハイパーカー、Solus GT(ソーラスGT)。
マクラーレンがごく少数だけ生産したハイパーカー、Solus GT(ソーラスGT)が初めて日本でその走りを披露した。840PS、1000kg以下というシングルシーターはまるでF1マシン、いや、それ以上のパフォーマンスを我々に見せてくれた。(GENROQ 2025年1月号より転載・再構成)

McLaren Solus GT

バーチャル世界を現実化

その現実離れしたクルマが姿を見せたのは2022年、モントレー・カー・ウイークでのことだった。フォーミュラマシンにカウルを被せたようなそのデザインは、まるでアニメの中でヒーローが乗るクルマを思わせる。それもそのはず、これはゲーム「グランツーリスモSPORT」の中に登場するコンセプトカー「マクラーレン・アルティメット・ビジョン・グランツーリスモ」をベースに、マクラーレンがバーチャルの世界で表現してきたマシンを現実化したものなのだ。

ソーラスGT日本初お披露目の場となったのは「マクラーレン・トラックデイ・ジャパン2024」が開催された11月9日の富士スピードウエイ。ブラックのボディにオレンジのフェンダーは、23年にグッドウッドのタイムド・シューティング・ファイナルで優勝した1台と同じカラーリングなので、おそらく同じ個体ではないかと思われる(何しろ25台しか生産されないクルマなのだ)。ボディ全体がエアロダイナミクスの塊のような形状で、後ろから覗くとボディの前部分からつながるトンネルのようなディフューザー形状が見てとれる。乗員は1名のシングルシーターで、ドライバーはキャノピーを前側にスライドして乗降する。その様子はまさにバーチャルの世界から抜け出てきたようだ。

往年のF1マシンを彷彿

搭載されるエンジンは5.2リッターのV10で、モーターなどの電力駆動は使用しない。パワーは840PS、トルクは650Nm、そして重量は1000kg以下と発表されているので、パワーウエイトレシオはほぼ1kg/PSという脅威的な数字だ。トランスミッションは7速シーケンシャルを搭載する。

快晴に恵まれた富士スピードウエイの本コースを、ソーラスGTが官能的なエキゾーストを響かせながら周回する。3台のセナを従えてラップしたのち、最後に1周だけ回転を上げて走った。その速さとサウンドはまさにフォーミュラマシン、しかも1980年代くらいのF1マシンを思い起こさせるような素晴らしさだった。さまざまなレギュレーションに縛られる現在のV6エンジンのF1よりもはるかに美しいサウンドをソーラスGTのV10エンジンは聴かせてくれた。

マクラーレンのブランド哲学を体現

走行後、富士スピードウエイのピットに展示されたソーラスGT。生産台数の25台はすでに完売している。
走行後、富士スピードウエイのピットに展示されたソーラスGT。生産台数の25台はすでに完売している。

このようなクルマを実際に造ってしまうことが、F1をはじめとするモータースポーツと共にあるブランドであるマクラーレンの矜持だろう。レーシングマシンと市販車は表裏一体。ソーラスGTとこのイベントに集まった数多くの市販車を見て、マクラーレンのブランド哲学を改めて実感した。

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/McLaren AUTOMOTIVE、GENROQ
MAGAZINE/GENROQ 2025年 1月号

McLaren Truck Day Japan2024

過去最大の177台が参加

ソーラスGTが走った「マクラーレン・トラックデイ・ジャパン」はマクラーレンのオーナーのために年に1度開催されるイベント。過去最大の177台が参加した2024年は、アイルトン・セナ没後30年記念として行われて甥であるブルーノ・セナも参加、オーナーとの交流を楽しんだ。
「マクラーレン・トラックデイ・ジャパン」の様子。

ソーラスGTが走った「マクラーレン・トラックデイ・ジャパン」はマクラーレンのオーナーのために年に1度開催されるイベント。過去最大の177台が参加した2024年は、アイルトン・セナ没後30年記念として行われて甥であるブルーノ・セナも参加、オーナーとの交流を楽しんだ。

富士スピードウェイに177台のマクラーレン、約340名の来場者を集めて、「マクラーレン・トラックデイ・ジャパン 2024」が開催された。

富士スピードウェイで「マクラーレン・トラックデイ・ジャパン 2024」が開催「ブルーノ・セナのトークショーとデモランも」

2024年11月9日、マクラーレン・オートモーティブは、富士スピードウェイを舞台に「マクラーレン・トラックデイ・ジャパン 2024」を開催した。メインイベントとなるパレードランには過去最大となる177台のマクラーレンが参加。ゲストドライバーとして、マクラーレン・オートモーティブのグローバルアンバサダー兼ディベロップメントドライバーを務めるブルーノ・セナも登場している。

キーワードで検索する

著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。古典的ジャイアンツファン。卵焼きが好き。愛車は993型ポルシェ911。カメラはキヤノン。