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在宅ワークのしすぎで耳鼻科に?
自宅の中、オフィス、交通機関での移動時。どんな場面においても、静寂をもたらしてくれるノイズキャンセリングヘッドフォンは、とりわけ在宅ワークが増えている昨今、大注目の製品になっている。
家族と同じ家の中で仕事や勉強に集中するために活用している方も多いと思うが、実は在宅ワークの増加で増えているのが耳鼻科の患者。イヤホンの使いすぎで外耳炎などを発症することがあるためだとか。
耳栓型のイヤホンは外出時には便利だが、自宅などで長時間使うには少しばかり閉鎖的すぎる。というわけで、筆者が好んで使っているのがオーバーイヤー型のノイズキャンセリングヘッドフォン。中でもWH-1000XM4は定番の逸品だ。
ノイズキャンセリングヘッドフォンの開拓者
ノイズキャンセリングヘッドフォンといえばBOSEのQuiet Comfortがその先駆者だが、実はソニーもこのジャンルを開拓してきたメーカー。難しいと言われていたデジタル方式でのノイズキャンセリングを世界で初めて実現し、革命的な進化をもたらしたのだ。
本機の前身「MDR-1000X」では独自開発の半導体を用い、高音質と高い騒音抑制効果を発揮して、たちまち“ソニーの顔”とも言える製品になった。その後、順調にアップデートを重ね、基本コンセプトを大きく変えずに1000XM4、すなわち“第四世代”まで進化したのがこの製品。
本シリーズが世の中を驚かせたのは、低減するノイズの周波数帯域が圧倒的に広かったことだ。ノイズキャンセリング技術は低い音ほど消しやすいが、ソニーは独自チップとアルゴリズムで、交通機関での低周波騒音緩和はもちろん、話し声も含めて周囲の気配を抑え込むことに成功した。そこにフィット感良く遮音性の高いイヤーパッドを組み合わせたことで、静寂をもたらしてくれるようになった。機内やカフェでのノマドワークなどの限られた環境だけではなく、静かな自宅やオフィスでも、装着することでより集中力を高めることができる。
自由自在に味わえる最高の静寂と良い音
第四世代の1000XM4では、人の話し声など中域から高域の音をより多く消してくれるようになったため、この特徴がさらに極まっている。周りを気にせず自分の世界に浸って何かに集中したいとき、この製品は素晴らしい心地良さをもたらしてくれる。一方でマイクもなかなか優秀。
パソコンに接続してオンライン会議に臨めば、相手の声が聞きやすいのはもちろん、自分の声も明瞭に聞いてもらえる。実は高級なノイズキャンセリングヘッドフォンというジャンルは、BOSEとソニーの成功から多数のライバルも登場している。その中で1000XMシリーズが優れているのは、常に最高レベルのノイズ低減能力と音質のバランスを実現していることだ。
もちろん、音質も丁寧に仕上げられている。ノイズキャンセルの処理を行うと、どうしても音質が下がってしまいがち。しかし、こいつならばそんな心配も無用。静寂の中で音楽を心ゆくまで楽しめる。とりわけ小音量での音痩せがあまりないから、静かな中、ささやくような音楽に包まれて仕事をしたいなんて人にはピッタリだ。
自宅の中に自分がいる場所を作ってくれる素敵な道具として、書斎の片隅に常備しては如何だろう?
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2021年 2月号
PRICE
4万円(税別)
評価
中低域の力感重視の音作りは現代ポップス系の音ともよく合う。ノイズキャセリング性能は世界最高峰。長時間の装着も心地よく、持ち運び時には折り畳め軽量なことも長所だ。
コストパフォーマンス:4
装着感:4
ノイズ低減効果:5
操作性:3
音質:4
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