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Audi RS 3 Sedan
北コース20.832kmを7分40秒748でラップ!
アウディは、2021年8月3日に「RS 3 セダン」がニュルブルクリンクのコンパクトカークラスで最速記録を樹立したと発表。ノルトシュライフェ(北コース)の全長20.832kmコースでのタイムアタックを実施したのは2021年6月14日で、ラップタイムは7分40秒748。王者に君臨していたルノー メガーヌ R.S. トロフィーRの記録を4秒64上回った。記録達成時の走行ムービーは、ニュルブルクリンクの公式YouTubeチャンネルで公開中だ。
今回のタイムアタックでドライバーを務めたのは、アウディ スポーツのレーシングドライバー兼開発ドライバーのフランク・スティップラー氏。装着していたタイヤはピレリ Pゼロ トロフェオ Rのセミスリックで、空気圧はサーキットコンディション用に調整したという。ちなみに同タイヤは、今回初めて工場出荷時に装着可能なオプションとして設定されている。スティップラー氏は次のようにコメントしている。
「このような記録を出せるチャンスが常に訪れるわけではありません。だからこそ、走行時にはいかなる小さな要素も見逃すことができないのです。とりわけタイヤの空気圧は、トルクスプリッターの機能に影響を及ぼします。今回私たちのやり方はうまくいきました。この日はすべてが成功したのです」
アウディ量産モデル初の「トルクスプリッター」
今回の記録達成のカギになったのは、スティップラーが言及したトルクスプリッター。リヤアクスルにかかるトルクを可変配分できる機能であり、「グリーンヘル(緑の地獄)と呼ばれる過酷なコースでの記録達成に大きく貢献」したとアウディでは主張している。アウディの量産モデルとして初めてRS 3に搭載されたもので、リヤアクスル・ディファレンシャルや、従来のリヤアクスル・マルチプレートクラッチパッケージに代わるものとなる。
トルクスプリッターの特性は、走行モードの切り替えにより様々に変更できる。新たに設定された「RS パフォーマンス ドライビングモード」にセットすると、エンジンやトランスミッションとともにトルクスプリッターを最適制御し、アンダー及びオーバーステアを最小限に抑えた精度の高い走りを実現するという。
歴代最高の性能を手に入れた最新RS 3
トルクスプリッター機能の採用により、サーキットでは車両を完全にコントロールした状態でドリフト走行することも可能になった。この場合、トルクスプリッターはすべてのパワーを左右いずれかのリヤホイールのみに伝達する。各ホイールには最大で1750Nmのトルク伝達が可能という。ドリフト専用の「RS Torque Rear(RSトルクリヤ)」と呼ばれるモードも開発。同モードでは、トルクスプリッターのトルク配分曲線が専用のセットアップに切り替わる。
アウディは2021年7月19日に、最新世代に進化を遂げたRS 3を発表している。最高出力400ps、最大トルクは500Nmという歴代最高のパワーを誇る新型は、0-100km/h加速わずか3.8秒を記録。最高速度は250km/hに制限されているが、オプションで280km/hに引き上げることも可能となっている。さらに「RSダイナミックパッケージ」と「セラミックブレーキ」を装着することで、最高速度は290km/hにまで向上する。
380×38mmのフロントセラミックブレーキをオプション設定するなど、レーシーな要素を一段と強化し、コンパクト界最速の称号を手に入れたRS 3は2021年8月半ばから欧州での注文受付をスタート。今秋からの発売が決まっている。RS 3 スポーツバックのベース価格は6万ユーロ(約780万円)、RS 3 セダンのベース価格は6万2000ユーロ(約805万円)。日本への導入時期や価格は現時点で未定となっている。