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COMMIT GINZA
フェラーリのスペチアーレモデルのような希少性
自動車ブランドに例えるならば、ロレックスはメルセデス・ベンツで、パテックフィリップはロールス・ロイスのようなものだろうか。前者は一般人が着ける世界最高の腕時計であり、後者は貴族が着ける世界最上の腕時計と言えるかもしれない。
ロールス・ロイスがSUVのカリナンを造ったことで顧客層の若返りを図ったのと同様に、パテックフィリップも「ノーチラス」や「アクアノート」といったステンレスのスポーツモデルをリリースしたことで、若い富裕層などにまで顧客層が広がった。これらのモデルの相場の動きを長年見続け、セカンドマーケットで指折りの取り扱い数を誇るコミット銀座のオーナーであり鑑定士の阿部氏はその魅力をこう話す。
「パテックフィリップは世界3大時計のひとつとも言われますが、その中でも頭ひとつ抜けている存在です。歴史的にみても時代時代で多くの特許を取得していて、ラインナップのすべてが高い技術に裏打ちされたものです。特にノーチラスは、オーデマ ピゲのロイヤル オークを手掛けたことでも知られる天才デザイナー、ジェラルド・ジェンタの作として人気です。シンプルで無駄がない。しかし、圧倒的に流通している個体が少ない。その上、正規店で定価で買うことは極めて難しく、確実に手に入れようと思ったら中古店でプレミア価格で購入する必要があります。それでも旺盛な需要に対して出回りが少ないため、当店に入荷してもすぐに売れてしまう現状です」
どうやらパテックフィリップのスポーツモデルを手に入れるのは、フェラーリのスペチアーレモデルと同様に相当にハードルが高いようだ。同社の八木氏は最近の傾向をこう見る。
圧倒的に少ない市場供給量
「弊社のYouTubeなどもそうですが、今は色んな情報が比較的簡単に手に入るようになりました。ロレックスの資産性の高さなど腕時計の価値を知って、そこからパテックフィリップのことを調べるようになった人は増えていると思います。我々としては時計ファンが増えて、マーケットが拡大することは大歓迎です。ただしパテックフィリップは、ロレックスよりも市場供給量は明らかに少なく、その希少性によって高付加価値がつくモデルも多く、相場は上昇傾向にあります」
自動車の場合、ごく一部のモデルを除いて新車を購入して数年後に売却する際にプレミアがつくことはほとんどない。しかし、パテックフィリップのこれらのモデルは、定価の数倍で取引されているようだ。今後の再販価値についても尋ねてみた。
「当店の実績を見ていただければお分かりになると思いますが、5年、10年と持っていただければ価値が上がる可能性は少なくないと思います。パテックフィリップはまさに一生モノの時計ですし、長く大切に使っていただくのが一番いいと思いますね」
REPORT/藤野太一(Taichi FUJINO)
PHOTO/藤井元輔(Motosuke FUJII)
MAGAZINE/GENROQ 2023年9月号
コミット銀座
住所:東京都中央区銀座6丁目4-7 G・O・WESTビル1階, 2階, 12階
TEL:03-6264-5310
営業時間:11:00〜21:00
URL:https://www.commit-watch.co.jp/