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Mercedes-Benz S-Class
中国市場に向けた自動運転技術開発
2023年12月に中国当局から発行された認可を受け、メルセデス・ベンツは北京の指定された高速道路において、レベル3の条件付き自動運転システムの試験を開始する。今回、中国市場向けレベル3システムの開発において、関係当局と積極的に協力。中国のカスタマーに安全で信頼性の高い自動運転体験「ドライブパイロット(DRIVE PILOT)」を提供することを目指すという。
メルセデス・ベンツは、1986年に登場した「アダプティブクルーズコントロール」を起点とし、自動運転技術の開発を続けてきた。現在、世界で初めて条件付き自動運転に関する、国際的に有効なシステム認証を取得し、レベル4の自動駐車システムを導入する唯一の自動車メーカーとなっている。中国においては、レベル3システムの実証実験を2021年から続けてきた。
メルセデス・ベンツは2021年に北京、2022年に上海と、新たな研究開発センターを設立。現地パートナーとの広範な開発協力関係を拡大しており、10年以上にわたる清華大学との持続可能なモビリティに関する共同研究開発も行われている。また、2023年末までに、中国の研究開発チームを2000人に拡大する予定だという。
メルセデスAGのチーフ・テクノロジー・オフィサー兼製品開発・サプライチェーン担当取締役のマルクス・シェーファーは、今回の中国における認可取得について歓迎のコメントを発表した。
「メルセデス・ベンツは自動運転技術をリードする存在として、世界中で最高の顧客体験を提供しようと努力を続けています。ドイツと米国において、ドライブパイロットを導入した後、北京で実走試験の許可を取得したこととは、中国の道路で条件付き自動運転を実現するための重要なマイルストーンとなるでしょう。私たちは、安全で信頼性の高いシステム開発のため、グローバルな専門知識をすべて活用して、現地の研究開発チームをサポートしていきます」
アメリカとドイツで試験的に導入開始
レベル3の自動運転システム「ドライブパイロット」は、ドライビングアシスタンスパッケージのセンサー技術をベースに、条件付き自動運転に不可欠なセンサー類を追加。その追加デバイスには、LiDARセンサー、フロントウィンドウのアドバンスドステレオカメラ、リヤウィンドウのマルチパーパスカメラ、フロントホイールハウスの水分センサーなどが含まれる。
ドライブパイロットを搭載したメルセデス・ベンツ SクラスとEQSセダンには、ステアリング、ブレーキ、車載電子システムにも改良を実施。自動運転中にシステムのいずれかが故障した場合でも、操縦系統を維持し、ドライバーへの安全な引き継ぎが保証されている。
ドライブパイロットが作動することで、運転者は交通渋滞のストレスから解放され、車外とのコミュニケーション、ウェブ閲覧、映画鑑賞など運転以外の活動を行うことが可能になる。2022年にメルセデス・ベンツはドイツにおいて、SクラスとEQS セダンに条件付き自動運転システム、ドライブパイロットをオプション設定。2024年初頭からは米国カリフォルニア州とネバダ州において、レベル3を搭載したSクラスとEQS セダンの導入が開始される。
メルセデス・ベンツは、自動運転技術に関して、安全性に重点を置いた段階的なアプローチを採っており、2020年代終盤までに、高速道路における制限速度を130km/hに引き上げることを目標に掲げている。