定番サルーン「メルセデス・ベンツ E200」と「BMW 523i」を比較試乗

超ハイレベルな伝統の一戦「メルセデス・ベンツ E200」対「BMW 523i」比較試乗の勝負の行方

7年振りにフルモデルチェンジした新型EクラスとそのライバルBMW 5シリーズを比較試乗した。
7年振りにフルモデルチェンジした新型EクラスとそのライバルBMW 5シリーズを比較試乗した。
満を持して、7年振りのフルモデルチェンジを果たした新型Eクラスが日本に導入された。永遠のライバルたるBMW 5シリーズも昨秋、日本に導入されたばかり。今回は2.0リッター直4ターボエンジンを積むベースグレード同士を比較し、ドイツを代表する2大セダンの実力を測ってみた。(GENROQ 2024年5月号より転載・再構成)

Mercedes-Benz E 200 Avantgarde
X
BMW 523i Exclusive

デビュータイミングはわずか1ヵ月違い

満を持した7年振りのフルモデルチェンジで日本導入された新型Eクラス。 一方、ライバルたるBMW 5シリーズも昨年秋、日本導入と未だ最新作である。 今回は2.0リッター直4エンジンを積むベースグレード同士を比較し、 ドイツを代表する2大セダンの実力を測ってみた。
メルセデス・ベンツEクラスとBMW 5シリーズの2.0リッター直4エンジンを積むベースグレード同士を比較した。

時代はクロスオーバーSUVを歓迎しており、セダンに差をつけている。数字もその事実を客観的に証明しているのである。だが個人的には依然としてセダンに期待する気持ちを捨てきれない。時代がどう変わろうとも、低いノッチバックのボディには礼儀正しさとスポーティ性能の最適解が宿っていると信じているからである。

今回は新型Eクラスのデビューに合わせた定番対決。相手はもちろんBMWの新型5シリーズである。フラッグシップ対決であればBMWにはBEVのi5が用意されているが、メルセデスの場合はAMGのE53ハイブリッド4マティックが発表されたばかり。結果的に今回はベーシックな2.0リッターの直列4気筒ガソリンエンジン+マイルドハイブリッド+FRモデルによるガチンコ対決が実現することになったのである。

新型のBMW5シリーズは昨年5月にワールドプレミアされている。今回の試乗車、523iエクスクルーシブの車両本体価格は798万円。対するメルセデス・ベンツEクラスは昨年4月に発表。今回のE200アバンギャルドは894万円という価格設定になっている。

1ヵ月も差がないデビューのタイミングには何らかの狙いがあるのかもしれない。一方約100万円という価格差はオプション等が複雑に絡んだ結果なので、一概に高い安いとは言えないだろう。何より今回キーとなるのは、どちらがお買い得? ではなくどちらの出来が優れているか? という部分なのである。

妥協なきBMWのど真ん中の5シリーズ

さっそくBMWに乗り込んでみる。コクピットは横長のモニターパネルとドアパネルとダッシュ中央に真一文字に走るクリスタル風のイルミネーションが支配する先進的な世界観。見た目の印象は以前ドライブしたi5に酷似している。つまりi5からはっきりと質感を落としたような痕跡は特に見当たらないのである。

センターコンソールに小さく生えたシフトスイッチを押し込み、走り出してみると、内燃機関の存在感が薄いことに驚かされた。デジタルメーターの表示もBEV風だし、パワートレインのシームレスな動的質感もBEVを思わせる。硬くて軽い感じがするボディだが、音や振動もきちんと抑えられており、電動化に積極的な新しいBMW像が感じられる。価格的にはエントリーモデルだが、車格としては妥協なきど真ん中と言っていいだろう。

対するメルセデスはどうか? ドアを開けると最新のメルセデスらしい複雑な造形に圧倒される。イグニッションを入れると黒い1枚もののパネルに仕込まれていた3枚のディスプレイが輝きはじめる。

オプションのデジタルインテリアパッケージに含まれるMBUXスーパースクリーンである。このパッケージは40万4000円するが、このオプションを選ぶには85万7000円のレザーエクスクルーシブパッケージ選択が前提になっているので、試乗車の価格は軽く1000万円を越す。この賑々しいインテリアは目新しさを求める人、例えばBEVにはお似合いだと思う。しかしメルセデスに本質的な造りの良さを求める向きにとってはどうなのだろう?

流体を感じさせる重さが魅力のEクラス

ともあれステアリングコラム右のシフトを押して走り出してみると、これが実にいいのだ。ドアを開けたときに感じた重さ、パワステのしっとりとした重さ、そしてクルマ全体の微かに流体を感じさせるような重さがEクラスの伝統的な豊かさにつながっているように感じられた。

パワートレインも興味深かった。両者は排気量を含めてよく似たスペックであるにもかかわらず、メルセデスのそれはガソリンエンジンの存在感を隠そうとはしていない。別に吹け上がりがいいとか、ターボのキャラが立っているということではなく、感覚的には3.0リッター自然吸気の直6が静々と回っている感じなのだ。

メルセデスはコクピットの見た目でかなり派手に振舞っているにもかかわらず、走りの部分は地に足が付いているというか、思いのほか古典的。つまり新型5シリーズが示した軽快感やBEV感覚と新型Eクラスのそれははっきりと異なるのだ。

ではこの勝負、どちらが優れているのだろうか? と思ってもう一度523iのステアリングを握ってみると、スロットルのツキやブレーキペダルから踏力を抜いていく際の所作、そして足まわりが路面からの凹凸を往なす様子など、ことごとく5シリーズの方がきめ細やかにセッティングされていることに気づかされた。

Eクラスは単体ならば文句のつけようがない。しかし相手が5シリーズだと動的質感の仕上げの部分に粗さが感じられたのである。個人的にはメルセデスの「重さ」のファンではあるけれど、今回はBMWに軍配を上げなくてはならないと思う。

両者一歩も譲らない伝統の一戦

満を持した7年振りのフルモデルチェンジで日本導入された新型Eクラス。 一方、ライバルたるBMW 5シリーズも昨年秋、日本導入と未だ最新作である。 今回は2.0リッター直4エンジンを積むベースグレード同士を比較し、 ドイツを代表する2大セダンの実力を測ってみた。
満を持した7年振りのフルモデルチェンジで日本導入された新型Eクラス。 一方、ライバルたるBMW 5シリーズも昨年秋、日本導入と未だ最新作である。 今回は2.0リッター直4エンジンを積むベースグレード同士を比較し、 ドイツを代表する2大セダンの実力を測ってみた。

以前、5シリーズの発表会でBMWの担当者が「今、セダンは本当に売れないんですよ~」と嘆いていた。おそらくメルセデスだって同じ肌感覚でいるのだろう。にもかかわらず、Eクラス対5シリーズという伝統の一戦は、両者一歩も譲らずの好勝負が展開されていたのである。

今回の2台が見せてくれた、ドイツ車の粋を集めたような造り込みのレベルを体感してしまうと、クロスオーバーSUVを手放しで褒めることはできなくなるだろう。そしてもうひとつ、完成度の高い内燃機関の心地よさは、BEVのシームレスな質感に迫ってもいるとも感じた。メルセデスEクラス対BMW5シリーズは今なおメーカーの威信が懸かっている、そんな大一番だったのである。

REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 5月号

SPECIFICATIONS

メルセデス・ベンツE200アバンギャルド

ボディサイズ:全長4960 全幅1880 全高1470mm
ホイールベース:2960mm
車両重量:1840kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1997cc
最高出力:150kW(204PS)/5800rpm
最大トルク:320Nm(32.6kgm)/1600-4000rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
燃料消費率:14.3km/L(WLTC)
車両本体価格:894万円

BMW 523iエクスクルーシブ

ボディサイズ:全長5060 全幅1900 全高1515mm
ホイールベース:2995mm
車両重量:1760kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:140kW(190PS)/5000rpm
最大トルク:310Nm(31.6kgm)/1500-4000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
燃料消費率:14.4km/L(WLTC)
車両本体価格:798万円

【問い合わせ】

メルセデス・コール
TEL 0120-190-610
https://www.mercedes-benz.co.jp/

BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/

両者とも新型となった「BMW 5シリーズ」と「メルセデス・ベンツ Eクラス」。今回比較するのは、ディーゼルエンジンに小型モーターを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様、駆動方式はAWDだ。

新型「BMW 5シリーズ」と「メルセデス・ベンツ Eクラス」をディーゼルマイルドハイブリッド+AWDで比較

2023年の日本市場は、輸入セダンのEセグメントが熱い。同セグメントを代表するBMW 5シリ…

キーワードで検索する

著者プロフィール

吉田拓生 近影

吉田拓生

1972年生まれ。趣味系自動車雑誌の編集部に12年在籍し、モータリングライターとして独立。戦前のヴィンテ…