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BMW i7 xDrive60 Protection
要人保護車両を最適に使用するために
BMWは40年以上にわたって、最高水準の安全性と高い走行性能を併せ持つ特殊防弾車両「プロテクション」の開発・製造を行ってきた。プロテクションシリーズのステアリングを任されるプロのドライバーは、防弾車両の潜在能力を最大限に引き出すことができるよう、特別な知識と技術が必要とされる。
BMWの防弾車両は、日常的に使用できる特別機能を数多く搭載している。BMWは「BMWセキュリティビークル・トレーニング(BMW Security Vehicle Training)」を展開。この防弾車両ドライバー向けの集中トレーニングコースを受けることで、経験豊富なインストラクターの指導のもと、ドライバーはすべての機能に関する知識と経験を積み上げることができる。
トレーニングプログラムは、極限の状況において最適な行動を取るため、特殊防弾車両の取り扱い技術を向上させたいと考えるプロドライバー向けのカリキュラムを展開。トレーニングが行われるベルリン近郊のグロース・デルの施設は、ヨーロッパで最も有名な車両安全試験・検査センターのひとつとなっている。
かつて軍用飛行場だったグロース・デルは、2002年にドイツ当局の緊急サービス訓練施設として最新鋭のドライビングセンターへと改築。現在、BMWセキュリティビークル・トレーニングは、ここを使って実施されている。
実際の危機を想定したトレーニング
BMWセキュリティビークル・トレーニングは、2段階のコースを設定。プロのドライバーとして、同乗者の安全に責任を持つ参加者のためにカリキュラムが組まれた。BMWの公式インストラクターは、運転物理学や運転技術の基礎に加え、極限状況でも安全かつ自信を持って行動できるよう、戦術的な知識も教えている。
BMWセキュリティビークル・トレーニングの受講者はインストラクターの指導のもと、現実的な練習シナリオのなかでドライビングテクニックを試し、向上させることを学ぶ。 1グループ最大8名、1台の車両に2名が乗車し、 集中的かつ濃密な個人レッスンが実施されている。
2日間の基本コースの「レベル1」では、防弾車両を使用し、基本的な運転技術に重点を置いてトレーニングが行われる。装甲とそれに伴う重量増加のため、防弾車両には特有の挙動があり、その取り扱いには注意が必要とされる。
初日のトレーニングでは、急ブレーキや回避操作、暗闇での取り扱いなど、様々な運転要素を体験。夜間訓練プログラムでは、スラロームコースで、ハイビーム、ディップビーム、パーキングライトを交互に照射しながら、ブレーキ操作や回避操作を行う。不慣れなルートにおいて、脅威が起こった場合に、方向感覚と反応能力をシミュレートするため、参加者は荒れた路面において突然の爆発にも直面するという。
2日目は、高速道路と急カーブにおける回避操作に加え、車両攻撃など実際の脅威を想定したシミュレーションを経験する。例えば、ここで学ぶ「Jターン」は、逆方向の危険な状況から逃れるため、速度を落とさずに車両を後退から前進に転回させる効果的な脱出操作。カリキュラムには、先読み運転、ストレス下におけるドライブ操作の維持などのトレーニングも含まれている。
より高いレベルの危機を想定した上級コース
BMWセキュリティ・ビークル・トレーニングの上級コース「レベル2」は、基本コースで習得したスキルをさらに深化させる内容。3日間の上級コースでは、銃撃戦下での脱出操作や、車両との接触を伴うドライビング演習など、さらに危機レベルが上がった極限状況も経験する。
実際に火を上げた演出、夜間の待ち伏せ、車体に大きな損傷を与えるクラッシュシナリオなど、訓練参加者は、精神的にも厳しい負荷にさらされる。また、レーシングトラックを使った高速ペースカーラップでは、過酷な状況下で重い防弾車両をコントロールする方法も学ぶ。
最後にBMW X5 プロテクション VR6によるオフロードトレーニングも実施。トレーニングの参加者は、装甲によりベースモデルから約1トンも重くなった防弾車両で、キツい傾斜を越え、転倒角ぎりぎりの角度で走行しなければならない。ここでは砂漠地帯の横断や、不整地で2輪のみが接地するロック操作も練習する。