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Porsche Taycan
5000kmに満たない個体の多さ
911を買うために“仕方なく”買ったタイカンを、いざ売ろうと買取業車に打診してみたら、ほとんど乗っていないにも関わらず数百万円も価値がダウンしてしまった、という嘆き節。ポルシェ好きの友人たちが最近よく話題にするハナシだ。
高いグレードほどダウンする絶対額が大きい、というのは中古車取引の法則なのだけれど、なかには1000万円近くダウンした例もあるというから驚くほかない。電気自動車とはいえ、人気ブランドのポルシェでさえそうなのだから、メルセデスやアウディ、BMWは大丈夫か、と余計な心配をしてしまったほどだ。
嘆いているポルシェオーナーが多いということは、きっと中古車も安いはず。で、タイカンをいつものようにカーセンサーネットで検索してみれば、エステート仕様のクロスツーリスモを含め、なんと160台も流通していた!
デビューから早4年が経ったとはいうものの、4ドアのBEV=実用車なのだから、もう少し気に入って乗り続けられているものかと思いきや……。しかも流通する個体の走行距離を見れば5000kmに満たない個体が半分近くあるじゃないか! なかには15kmとか50kmなんて個体もあって、「これは登録しただけで家に持って帰ってもいないよな、きっと」などと想像してしまう。せっかくだからもっと乗って乗って乗りまくればいいのに……。充電器も買わずに買っちゃったのかな、ハナから売るつもりで。
乗り味はきちんとポルシェ
車両本体価格の安い順にソートをかけてみると、ターボ800万円なんて個体がトップに出てきてふたたび驚く。2022年式だけど4万kmも走っているから、これはちゃんと毎日使われていたんだな、と想いつつ、それでも新車時2000万円オーバーのモデルでパフォーマンスバッテリーなどオプションだって積まれた個体が2年落ちで半額以下というのだから、これはちょっとした事件だろう。
もっともこのターボだけが異例で、1000万円を切る個体のほとんどはスタンダードグレードだったから、値落ちの絶対額としてはそんなものかとは思う。けれどもカーセンサーのプライスタグはあくまでも市販価格。仕入れ値を想像するとやっぱり“黙って半値の買取価格”という巷の噂は本当かも?と思ってしまう。
タイカンが1000万円以下。クルマとしての性能を考えるとこれはもうすでに大大大バーゲンプライスだ。BEVなのでこれからさらに下がる可能性があるけれど、すでに十分お買い得なのだから、このあたりの実用車を今狙っている人は検討する価値が十分にあると思う。使い倒せばそれだけの価値がある。
なにしろ乗り味はちゃんとポルシェしているのだ。いや、とにかく想像以上に。同じ4ドアサルーンのパナメーラよりもドライブフィールはスポーツカーらしいとさえ思う。電気自動車を飼える環境=基本、電源のある屋内ガレージ保管が可能であるならば、ガソリンスタンドに行かなくていい便利な実用ポルシェとしてタイカンは最高だ(もっとももうじき電動マカンもやってくるらしいけど)。
ぜひ果敢にチャレンジして欲しい
BEVを生理的に嫌っている人は多い。そういう人は別に買わなくていいし、買う気がないならつべこべ言わず黙って成り行きも見守っていればいいだけのハナシ。ちょっと乗ってみてもいいかな、と思っている人(私みたいに)で、ガレージ環境の整っている人(私ではない)ならば、今、高性能BEVを買うチャンスだと思う。だって、この先、どっちに転んだとしてもこんなに安くほとんど新車のような高性能BEVを買うチャンスはやってこないんじゃないか、とさえ思うからだ。売れない!ってことで絞ったら高くなるだろうし、バカ売れしたら(しないけど)したで相場は上がる。
ガソリンスタンドに行かずに済んで、静かで快適なドライブを楽しむことができる。長距離ドライブは別のクルマで行けばよろしい(というか長距離メインの人は買ってはいけない)。今の日本でどれだけBEVを使い倒すことができるか。是非とも果敢にチャレンジして欲しいものだ。環境の整っているクルマ好きには!