死ぬまでに乗りたい究極のライトウェイトスポーツ「ケータハム セブン 340」

クルマ好きなら「死ぬまでに乗りたい1台」に絶対入る「ケータハム セブン 340R」に試乗

スーパーセブンといえば英国車好きだけでなく、エンスージアストをいつの時代も夢中にしてきたライトウェイトスポーツだ。今回ニューモデルの340Rに試乗してきた。
スーパーセブンといえば英国車好きだけでなく、エンスージアストをいつの時代も夢中にしてきたライトウェイトスポーツだ。今回ニューモデルの340Rに試乗してきた。
従来の270の後継モデルとなる「ケータハム セブン 340R」がついに日本上陸を果たした。172PSを発生するフォード・デュラテックエンジンを搭載し、わずか540kgの超軽量ボディを軽快に振り回して楽しめるライトウエイトスポーツの極みだ。(GENROQ 2024年7月号より転載・再構成)

Caterham Seven 340R

これぞ正統セブン!

セブンの中核を担っていた270の後継モデルが340だ。フォード製デュラテックエンジンを搭載するなど、性能向上が図られている。
セブンの中核を担っていた270の後継モデルが340だ。フォード製デュラテックエンジンを搭載するなど、性能向上が図られている。

もし「スポーツカー好きが死ぬまでに乗っておかなければならない10台」なるものを選定しようとすると、そのチョイスは困難を極めるはず。すぐに思いつくのは、いずれかの世代のポルシェ911とケータハム・セブンくらいではないだろうか。

70年近いセブンのモデルライフの中には様々なモデルがあるわけだが、どのモデルでも他のスポーツカーでは味わうことのできない特別な感動があるはず。それでも飛び切りの軽さによって時空を遡って見せた軽自動車規格のセブン170のように、モデルごとの個性はちゃんと確立されている。今回、初めて試乗するセブン340はどうか?

純粋な270の後継モデル

その走りはまさに本物のライトウェイトスポーツ!今の時代に540kgという車重のスポーツカーを操るのはこの上ない魅力である。
その走りはまさに本物のライトウェイトスポーツ!今の時代に540kgという車重のスポーツカーを操るのはこの上ない魅力である。

セブン340はこれまでラインナップの中核をなしてきたセブン270の後継モデルという立ち位置。そのバリエーションは270や170といった近年のモデルと同様、標準仕様の「S」とスポーツサスを始め走りに拘ったエクイップメントで固めた「R」の2種類から選択できる。

ケータハム・ジャパンのウェブサイトには末っ子の170から最強の620まで6種類のモデルが載っているが、現在注文できるモデルは170と新たに登場した340だけ。他は国内在庫があるモデルのみ新車購入が可能となっている。

一般的な自動車メーカーはモデルチェンジに際してボディや機構面をひと通り刷新することが多いが、ケータハムの場合はサプライヤーの都合が絡んでいることがほとんど。270から340に車名が変わる今回は、心臓が1.6リッターのフォード・シグマから2.0リッターのフォード・デュラテックへと変更されることが最大のトピックといえる。そこにはもちろん、厳しさを増す排ガス対応なども含まれているに違いない。

またケータハムのラインナップ全体を俯瞰してみると、ハイパワーモデルの生産終了を補う意味でもスタンダードモデルの出力強化が重要であることが伺えるのである。

試乗車はオプションを多数装備

今回用意された試乗車はRパックのエクイップメントが組み込まれた340Rだった。Rの標準装備はコンポジット素材のシートやダッシュボードなどすぐに見て取れる部分から、リヤアクスルに仕込まれたLSDまで多岐にわたっている。一方ウインドスクリーンはボンネット上に追加される薄いエアロスクリーンがRモデルの標準となっているが、今回の試乗車はガラス製のフルウインドスクリーンやソフトトップ、ドアのオプションを装着していた。つまり速さと快適性を兼ね備えたチョイスということになる。

左手でロールバーを掴みながら、フットボックスに脚を差し込んでコクピットに収まる。運転席のみシートスライドが付いているが、身長184cmの筆者はシートを最も後ろに下げた状態がベストだ。薄っぺらくて硬いシートはサイドサポートがあまり張り出していないが、タイトなコクピットと相まってドライバーを包み込んでくれる。MOMO製の簡素なステアリングはフォーミュラカー用の小径タイプだが、そのおかげで膝上に僅かな余裕が生まれるし、重めの操舵感もクルマとの一体感が強く感じられていい。

走りはじめて最初に感じるのは、セブンにしては静かということ。かつてはノーマルでもアイドリング付近からレースカーのような大音響をまき散らしていたので、これは驚きだった。だが勢いよくスロットルを開けていくと途中からいくぶん勇ましい音質に変わり、トップエンドへと駆け上がっていく。

ドライバーの右手をそのまま下におろした位置にある排気廻りを観察してみると、マフラーに入る手前でパイプが2本に分かれているのがわかる。だがスーパースポーツのようにそこに電気的なバルブは付いていないので、排圧が高まったときだけ開くようなシンプルなバイパス機構が付いているのかもしれない。

パワー感にみなぎるデュラテックエンジン

以前の270も気持ちいいモデルで慣れてくるとトップエンドまできっちり回して走りたくなるモデルだった。つまり少しセンが細く、箱根ターンパイクの上りでは少し物足りない感じがしていた。それと比べると340は全域でパワー感に溢れており、トップエンドまで回さなくても満足できるパフォーマンスの持ち主といえる。これなら箱根ターンパイクの上りでもちゃんと楽しめるはずだ。

エンジンとともに今回感心させられたのはRパックが組み込まれたシャシーの手ごたえだった。R仕様はセミレーシングのエイボンとそれに呼応したスポーツサス、専用スタビ、LSD、アップレートされたブレーキマスターなど勘所にひと通り手が入れられている。セブンは基本構成がレーシーなので、Rパックをインストールするだけでポルシェなら素の911カレラがGT3になるくらいドライバビリティが変わるのだ。シャシーがここまでアップレートされていれば、最高出力135PSの270より172PSエンジンを組み合わせた340の方が魅力的。ハンドリングとパワーのバランスに優れることは確かなのである。

購入するなら断然、現行セブン!

アイドリング時のスムーズさや、公道からサーキットまで楽しめる汎用性。340に進化したセブンはシチュエーションを問わず楽しめるモデルへと進化を果たした。
アイドリング時のスムーズさや、公道からサーキットまで楽しめる汎用性。340に進化したセブンはシチュエーションを問わず楽しめるモデルへと進化を果たした。

冒頭でセブンはどのモデルでも他のスポーツカーでは味わえない特別な感動があると記した。だが初めてのセブンを選ぶなら現行モデルをお薦めしたい。現代のモデルはフレームの溶接方法がロウ付けからTIG溶接に変わっており、現代的なタイヤやパワフルなエンジンとのマッチングに優れている。中でもフルウインドスクリーンを備えた今回の340Rは、公道を中心にしつつ、たまにサーキット走行を楽しむようなオーナーにベストな1台だと感じた。

REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)
MAGAZINE/GENROQ 2024年7月号

SPECIFICATIONS

ケータハム セブン 340R

ボディサイズ:全長3100 全幅1575 全高1115mm
ホイールベース:2225mm
乾燥重量:540kg
エンジン:直列4気筒DOHC
総排気量:1999cc
最高出力:126.5kW(172PS)/7250rpm
最大トルク:174Nm(17.7kgm)/6500rpm
トランスミッション:5速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:前後185/60R14
車両本体価格:1061万5000円

【問い合わせ】
ケータハムカーズ・ジャパン
TEL 03-5754-2227
https://www.caterham-cars.jp

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著者プロフィール

吉田拓生 近影

吉田拓生

1972年生まれ。趣味系自動車雑誌の編集部に12年在籍し、モータリングライターとして独立。戦前のヴィンテ…