【ル・マン24時間2024】40回目のル・マン制覇を目指すフェラーリ

WEC第4戦ル・マン24時間レース連覇を狙う「フェラーリ 499P」は1950〜60年代の黄金期を再現できるか?

1965年以来、実に58年ぶりのル・マン制覇を達成した、フェラーリ 499P 51号車。
1965年以来、実に58年ぶりのル・マン制覇を達成した、フェラーリ 499P 51号車。
2023年シーズンの世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間レースにおいて、「フェラーリ 499P」51号車(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームズ・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ)が、総合優勝を飾った。これはフェラーリにとって1965年以来のル・マン総合優勝であり、10勝目という記念すべき勝利となった。2024年、フェラーリは再びル・マンにおいて、1960年代以来となる連覇を狙う。

2023 Ferrari 499P

1949年の初参戦で初勝利を記録

1949年、第二次世界大戦後初めて開催されたル・マン24時間レースに、フェラーリは166 MMで初参戦し、見事初優勝を飾った。
1949年、第2次世界大戦後初めて開催されたル・マン24時間レースに、フェラーリは166 MMで初参戦し、見事初優勝を飾った。

世界で最も過酷なレースのひとつ、ル・マン24時間。1923年にスタートし、100年以上の歴史を持つ24時間レースが、今年もWEC第4戦として6月15~16日に、フランスのサルト・サーキットを舞台に開催される。昨年、58年ぶりのワークス復帰を果たし、強力なライバルを相手にル・マンを制覇したフェラーリは、連覇を目指して今年も3台の「499P」が出走を予定している。

ル・マンとフェラーリの歴史には、「10」と「29」という2つの数字が存在する。「10」は、フェラーリがル・マンで総合優勝を飾った回数。「29」は、フェラーリが「166 MM」でル・マンに初参戦・初優勝した1949年から、2023年までに手にしたクラス優勝数である。2024年、フェラーリはこの2つの数字を「11」と「30」に伸ばすことを目標に掲げた。

ル・マンで圧倒的な強さを見せた499P

2023年のル・マンは、レースウイークの最初から499Pがライバルを圧倒するスピードを披露。ポールポジションと総合優勝に加えて、ベストラップもマークしている。
2023年のル・マンは、レースウイークの最初から499Pがライバルを圧倒するスピードを披露。ポールポジションと総合優勝に加えて、ベストラップもマークしている。

2023年の勝利は、過去最高の32万5000人ものファンが現地や生中継で見守るなか、342周を走り切ったフェラーリ 499P 51号車によって達成された。

このレースでは、フェラーリ・AFコルセの50号車(アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)が、予選ハイパーポールにおいて3分22秒982を記録し、ポールポジションを獲得。51号車も2番手タイムをマークし、決勝レースは2台のフェラーリ 499Pがフロントロウに並んだ。

51号車がル・マン100周年の記念レースを制したのに対し、ポールスタートの50号車は夜間セッションでトラブルに見舞われ、修理のためにピットイン。ポディウム争いからは脱落したものの、レース終盤に素晴らしい追い上げを見せ、5位まで順位を戻してチェッカーフラッグを受けている。

ポールポジションと優勝に加え、499P 50号車を駆ったフオコが、307周目に3分27秒218のベストラップを記録。2023年のル・マン24時間レースは、フェラーリが名実ともに最強・最速の称号を得た1戦だったと言えるだろう。

1960年から1965年にかけて6連覇を達成

1960年代、フェラーリはル・マン24時間において6連覇を達成した。写真は1961年にオリビエ・ジェンデビアンとフィル・ヒルによって総合優勝を飾った、250 テスタロッサ。
1960年代、フェラーリはル・マン24時間において6連覇を達成した。写真は1961年にオリビエ・ジェンデビアンとフィル・ヒルによって総合優勝を飾った、250 テスタロッサ。

歴史を遡ると、前述のように1949年のル・マン24時間で166 MM バルケッタ ツーリングが、ルイジ・キネッティとセルストン男爵のコンビによリ、歴史的なル・マン初優勝を達成。166 MMはアウレリオ・ランプレディが設計したシャシーに、カロッツェリア・トゥーリング製のバルケッタボディが架装されている。

1950年代、フェラーリは2度の優勝を飾り(1954年の375 プラス、1958年の250 テスタロッサ)、さらに、1960年から1965年にかけては破竹の6連覇を遂げ、ル・マン最強の称号を欲しいままにした。特に1958年、1960年、1961年に勝利した250 テスタロッサは、現在もファンが多い1台だ。

連勝記録は1965年、ヨッヘン・リントとマステン・グレゴリーが250 LMで348周を走り切り総合優勝、表彰台を独占した1965年で一旦ピリオドを打たれることになる。その後、2023年にフェラーリが耐久レースのトップカテゴリーへと返り咲き、総合優勝を祝うためにティフォッシは58年も間待たなければならなかったのである。

WEC第3戦「スパ・フランコルシャン6時間」において、レースの大半をリードしながら、まさかの赤旗により優勝を失ってしまったフェラーリ 499P。

WEC第3戦スパ6時間をワンツー体制でリードした「フェラーリ 499P」が不運なレース中断で悔しい3位【動画】

5月11日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットにおいて、FIA世界耐久選手権(WEC)第3戦スパ・フランコルシャン6時間の決勝レースが行われ、フェラーリ・AFコルセのフェラーリ 499P 50号車(アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)が3位、51号車(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョヴィナッツィ)が4位に入った。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…