Audi RS e-tron GT

デビュー3年目を迎えて改良を実施

2021年にアウディのEVラインナップの頂点に位置するモデルとしてデビューを飾った「e-tron GT」。デビュー3年目を迎えて、内外装やパワートレインに大規模なアップデートを施した。
2021年にアウディのEVラインナップの頂点に位置するモデルとしてデビューを飾った「e-tron GT」。デビュー3年目を迎えて、内外装やパワートレインに大規模なアップデートを施した。

アウディのフル電動ラインナップの頂点に位置する「e-tron GT」は、2021年にデビュー。スポーティなエクステリアと高効率電動パワートレインを備えた4ドアグランツーリスモが、デビューから3年を経て大幅なアップデートを行った。さらに航続距離、ドライビングパフォーマンス、充電機能、ハンドリングが大幅に向上し、新たにトップモデルとして「RS e-tron GT パフォーマンス」が追加された。

今回、搭載される高電圧バッテリーの重量を減らし、そのエネルギー密度を向上。2層の冷却プレートを最適化することで、33個のセルモジュール容量が12%も増加した。この結果、総蓄電容量が105kWhに達しながら、バッテリー重量は9kgも軽量化。軽量かつエネルギー密度の高いバッテリーにより、最大航続距離は609kmにまで伸びることになった。

アウディAGのゲルノート・デルナーCEOは、新型「e-tron GT」について次のようにコメントした。

「新型e-tron GTの導入によって、私たちはパフォーマンスにおける新たな基準を打ち立てようとしています。充電能力の向上とフル電動パワートレインのアップデートにより、航続距離が向上し、パフォーマンスレベルも大きく進化しました。新開発のシャシーはドライビングコンフォート、乗り心地、ドライビングダイナミクスを高次元でバンラスしています」

RS専用の3Dハニカム構造グリル

大幅にアップデートされた「RS e-tron GT」のエクステリア。
「RS e-tron GT」と「RS e-tron GT パフォーマンス」のフロントセクションには、RSモデルをアピールするレーシーなRS専用の3Dハニカム構造が採用された。

「S e-tron GT」は、エレガントなフロントセクションは、スマートでありながら豊かな表情を演出。e-tron専用のブラックマスクが、クローズドシングルフレームを囲み、エンボス加工された構造がグリルに独自の立体感を与えている。さらにシングルフレーム上部に施されたボディ同色ペイントにより、スポーティで深みのあるエクステリアを実現した。

フロントホイール周辺のエアフローを最適化するフロントエプロンのエアカーテンはよりマッシブな形状に変更。リヤセクションには、エレガントにデザインされた垂直フィンを備えたエアロダイナミクスディフューザーを配置し、その上部にはボディ同色のインレイが、ディフューザーとリヤバンパーをつなぐ役割を果たしている。

トップグレードの「RS e-tron GT」は、シングルフレームにRS専用の3Dハニカム構造を採用。ブラックマスクを縁取るエプロンは、RS e-tronを視覚的に低くワイドに見せる効果を持つ。リヤセクションは、モータースポーツ由来の流線型ディフューザーを装着。フロントに配置された空力エレメントのテーマを、車両後部にも反映させている。

よりレーシーなモデルを求めるカスタマーには新たに「RS e-tron GT パフォーマンス」が用意された。オプションでカーボンルーフとカーボン・カモフラージュエレメント(バンパー、ドアトリム、ディフューザー、サイドミラー)を装着することが可能となっている。

3種類のパワートレインをラインナップ

前後アクスルに最新の永久磁石同期モーター(PSM)を搭載。トップモデルの「RS e-tron GT パフォーマンス」の最高システム出力は925PSに達する。
前後アクスルに最新の永久磁石同期モーター(PSM)を搭載。トップモデルの「RS e-tron GT パフォーマンス」の最高システム出力は925PSに達する。

「S e-tron GT」と「RS e-tron GT」フロントアクスルには、出力176 kW(239 PS)の永久磁石同期モーター(PSM)を搭載。「RS e-tron GT パフォーマンス」はフロントアクスルのパワーエレクトロニクスを変更し、さらに高い放電電流を得るためにパルスインバータに改良が施されている。リヤアクスルの永久磁石同期モーター(PSM)はポルシェとアウディが共同開発した「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)」に採用されたモーターをキャリーオーバーした。最高出力は415kW(564PS)を発揮し、過酷な走行状況に対応するパワーリザーブも備える。

S e-tron GTの最大システム出力は500kW(679PS)、RS e-tron GTは630kW(856PS)、RS e-tron GT パフォーマンスは680kW(925PS)を発揮する。RS e-tron GT パフォーマンスは、アウディの市販車史上、最もパワフルなモデルとなる。

0-100km/h加速は、S e-tron GTが3.4秒、RS e-tron GTは2.8秒、RS e-tron GT パフォーマンスはわずか2.5秒。最高速はS e-tron GTが245km/h、RS e-tron GT/RS e-tron GT パフォーマンスは250km/hとなっている。

今回の出力向上を受けて、アウディはコンポーネントを再設計し、冷却システムを最適化。リアアクスル周辺の電動パワートレイン重量を約10kgも軽量化することに成功した。さらにドライブシャフトを強化し、スムーズなパワー配分を実現することで、ドライビングダイナミクスの大幅な進化も実現している。

リサイクル素材を多用したコクピット

大幅にアップデートされた「S e-tron GT」のコクピット。
コクピットはシートやステアリングホイールのデザインを変更。使用されるマテリアルは、ディナミカやカスケードなど、サスティナブルな再生が多用されている。

コクピットは、シート、ステアリングホイール、エントリーシル、デジタルコンテンツのデザインをアップデート。新たにナチュラルリニア・アンスラサイト・バーチ製ウッドインレイが導入された。「RS e-tron GT パフォーマンス」には、エクステリアとマッチするマットカーボンカモフラージュも用意されている。

今回、照明によって異なるカラーに変化する、アンスラサイトエフェクト仕上げのバナジウムのアプリケーションを新採用。このアプリケーションは、「S e-tron GT」ではオプション、RSモデルは標準装備される

ステアリングホイールは、上部と下部をフラット形状に変更。RSモデルにはステアリングホイールに2基のコントロールサテライトが装備される。シートは、ファンネル開口部のデザインがよりダイナミックに変更され、イルミネーションロゴ付き一体型インレイが採用された。

「S e-tron GT」は、14ウェイ調整機能付き「スポーツシートプラス」が標準装備。レザーフリーデザインパッケージと組み合わせることで、スポーツシートにはコントラストの効いたオレンジステッチが施される。RSモデルには、オプションでマッサージ機能を追加することも可能。また、サーペンタイングリーン・ステッチを施した「デザインパッケージ」と、オプションで18ウェイ調整機能付きシートの装着も可能だ。

今回から持続可能なマイクロファイバー「ディナミカ」とファブリック「カスケード」を採用。スエードのような見た目と手触りのディナミカは、リサイクルポリエステルで構成されており、その一部はアウディが生地の端切れから調達した。シート、ステアリングホイール、バーチャルコクピット上部、ドアミラー、センターコンソール、グリーンハウスには、37~45%のディイナミカが使用されている。

天然繊維を彷彿とさせる「カスケード」は、15%のセルビッジ(デニム生地)と35%のリサイクルポリエステルを使用。環境保護の観点からあえて染色をせず、シートの一部とドアミラーに使用されている。カーペットとフロアマットには「エコニール」を採用。この素材は製造工程で出る廃棄物、生地やカーペットの端切れ、古い漁網などから再生されたナイロン繊維によって製造されている。

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