【モントレー・カーウィーク】ダニ・ブルーの「ポルシェ 911 S/T」を初披露

鮮やかな「ダニ・ブルー」を纏った1台限りの「ポルシェ 911 S/T」が完成「901のエナメルブルーを現代的に」

世界的なポルシェ・コレクターのホルヘ・カル二チェロが、ソンダーバーシュにオーダーして完成した「ポルシェ 911 S/T」。
ポルシェ 911 S/Tが纏った鮮やかなブルーは、塗料の開発を行ったカラー&トリム・デザイナーのダニエラ・ミロシェヴィッチに因んで、「ダニブルー」と名付けられた。
世界的な馬のブリーダー業を営む、ホルヘ・カル二チェロ(Jorge Carnicero)の厩舎に、ユニークな1台が加わることになった。鮮やかな「ダニ・ブルー」にペイントされた「ポルシェ 911 S/T」は、1964年に発売された「901」の人気カラー「エナメルブルー」を現代的にアップデートしている。

Porsche 911 S/T “Dani Blue”

お気に入りのブルーの制作を依頼

世界的なポルシェ・コレクターのホルヘ・カル二チェロが、ソンダーバーシュにオーダーして完成した「ポルシェ 911 S/T」。
世界的なポルシェ・コレクターとして知られるホルヘ・カル二チェロは、世界にひとつのブルーをポルシェ・エクスルーシブ・マニュファクチャーにオーダーした。

米国ケンタッキー州出身のスポーツカーコレクター、ホルヘ・カル二チェロは、これまでも数多くのポルシェを自身のガレージに収めてきた。今回、ポルシェ・エクスルーシブ・マニュファクチャーが展開するカスタマイズプログラム「ソンダーバーシュ(Sonderwunsch:スペシャルリクエスト)」にオーダーした、特別な「ポルシェ 911 S/T」が完成した。

カラー&トリム・デザイナーのダニエラ・ミロシェヴィッチちなみ、カル二チェロは自身ために開発された専用エクステリアカラーをダニエラの愛称を冠した「ダニ・ブルー(Dani Blue)」と命名。ダニ・ブルーの911 S/Tは、カル二チェロへとデリバリーされる前に、8月15日から17日にかけてモントレー・カーウィークで初披露される予定だ。

「ブルーは私のお気に入りの色なんです。実はグリーンはあまり好きではありませんでした(笑)」と、カル二チェロは明かす。2017年、彼は911生産100万台目の個体をベースに「ポルシェ 911 GT3  ツーリング」をポルシェ・エクスルーシブ・マニュファクチャーにオーダーしたが、その時のボディカラーはブリティッシュ・レーシング・グリーンだった。

今こそお気に入りのボディカラーを纏ったポルシェを手に入れるタイミングだったのだろう。911 S/Tのコンフィギュレーションを行う際、カル二チェロはポルシェのカラーエキスパートに、限定モデルのスポーティでピュアなキャラクターに合う、特別なブルーの制作を依頼した。「ペイント・トゥ・サンプル・プラス(Paint to Sample Plus)」プログラムでは、独自のアイデアをベースに世界にたったひとつのカラーを開発することができる。

901のエナメルブルーをベースに開発

カル二チェロの求めるブルーを作り上げるために、カラー&トリム・デザイナーのダニエラ・ミロシェヴィッチは、4つのブルーにペイントされたペイントフロッグを用意した。
カル二チェロの求めるブルーを作り上げるために、カラー&トリム・デザイナーのダニエラ・ミロシェヴィッチは、4種類のブルーを纏ったペイントフロッグを用意した。

「カル二チェロ氏のソンダーバーシュ・プログラムを開始するにあたり、私たちは象徴的なブルーでペイントされた4個のペイント・フロッグを用意しました」と語るのは、ポルシェのカラー&トリム・デザイナーのダニエラ・ミロシェヴィッチ。ペイントサンプル用模型「ペイントフロッグ」は、現行型911の形をしたカラーサンプル模型で、塗料を評価するために使用されている。

提示された4つのブルーから「エナメルブルー」がピックアップされた。この鮮やかなブルーは、1964年にデビューしたポルシェ 901に設定されていたカラーで、ミロシェヴィッチとチームはこのエナメルブルーをベースに現代的にアップデートした。その過程で、色調は少しカラフルに、より強く、より濃く、しかし、派手すぎないように調整。カル二チェロの好みにピッタリのブルーが完成し、彼はごく自然に彼女の名前を採って、この色を「ダニ・ブルー」と命名している。

カル二チェロの911 S/Tは、リヤのガーニーフラップと「Porsche」ロゴまでが、このダニ・ブルーでペイントされた。特に自然光のもとでの美しい輝きは、その高度なコーティングプロセスによって実現したという。トータルで4回も重ねられたクリアラッカーのうち、1回目はさらにサンディングも施されている。この段階でブリリアントシルバーでペイントされた「911 S/T」のロゴが、表面と同じ高さに埋め込まれた。

「完成したカラーに私のニックネームをつけて頂いたことは、私たちの仕事に対する最高の評価だと言えるでしょう」と、ミロシェヴィッチは笑顔を見せている。

ナンバープレートホルダーに隠されたメッセージ

世界的なポルシェ・コレクターのホルヘ・カル二チェロが、ソンダーバーシュにオーダーして完成した「ポルシェ 911 S/T」。
ちょっとしたサプライズとして、ナンバープレートホルダーに「911 S/T」のタイポグラフィーを使った「Simply the Best」というメッセージが隠されている。

軽量マグネシウムホイール、サイドウィンドウのデイライトオープニング、フロントホイールアーチ後方の「911 S/T」ロゴなどに、アクセントカラーのブリリアントシルバーを組み合わせたことで、カル二チェロが所有するポルシェの特徴であるクラシカルなエクステリアが完成。ミラー取り付け部とエンジンカバーフレームはハイグロスブラックでペイントされ、上品なエッセンスを加えている。

今回、エクステリアに、小さなサプライズが用意された。ナンバープレートホルダー上部に「Simply the Best」というメッセージが隠されているのだ。このメッセージの「S」と「T」の文字は、モデルロゴ「S/T」のデザインが用いられた。走行時にはリヤバンパーに隠されるが、モントレー・カーウィークでの展示時には、このメッセージをチェックすることができる。

3色で表現された千鳥格子のシート

最新世代の911にクラシカルなエッセンスを加えているのは、シートのペピタパターン(千鳥格子)。グラファイトブルー、チョーク、ブルーの3色がチョイスされた。
最新世代の911にクラシカルなエッセンスを加えているのは、シートのペピタパターン(千鳥格子)。グラファイトブルー、チョーク、ブルーの3色がチョイスされた。

エクステリアのカラーコンセプトはインテリアにも受け継がれ、スポーティでピュアなコンセプトと上質な個性が融合。最大の特徴となるのが、シートセンターに施された3色のペピタパターン(千鳥格子)だろう。1960年代初頭、ポルシェ 356のシートを飾ったこの象徴的なチェックが、グラファイトブルー、チョーク、ブルーの糸で再現された。

ダッシュボードトリムとアッパードアパネルトリムには、GTシルバーのエレガントなクロスステッチが施された。このクロスステッチはサイドスカートにも採り入れられており、縫製のエキスパートがひとつひとつ手作業で丁寧に仕上げている。

ニーパッドとAピラーのトリムは、グラファイトブルーのリアルレザー製。エアベントもグラファイトブルーのレザーで縁取られ、ドアオープニングループにもリアルレザーがチョイスされた。ルーフライニングは、グラファイトブルーのレーステックス製。カーボンファイバー強化プラスチック製フルバケットシートのヘッドレストには、GTシルバーで「911 S/T」ロゴがあしらわれた。ダッシュボード横には、ダニエラ・ミロシェビッチによる「Dani」のサインも入れられている。

ラゲッジ・コンパートメントもカスタマイズ。グラファイトブルーのレザーで覆われ、ここにもペピタパターンが入れられた。トランクマットとワーニングトライアングル用バッグには、ポルシェらしいトリコロールカラーのテキスタイルがチョイスされた。

ポルシェ 917の初勝利をマークしたスイス人ドライバー、ジョー・シフェールをオマージュした「911 GT3 RS “ジョー・シフェール”」。

「ポルシェ 917」の初勝利をオマージュした世界に1台の「911 GT3 RS “ジョー・シフェール”」

ポルシェは、スイス出身のレーシングドライバー、ジョー・シフェール(Jo Siffert)をトリビュートしたワンオフモデル「911 GT3 RS “ジョー・シフェール”」を公開した。1969年8月10日、シフェールとクルト・アーレンスJr.は、ポルシェ 917を駆ってエステルライヒリンクで開催されたインターナショナル1000kmレースにおいて初優勝を飾った。

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