GTIオーナーの祭典「GTIファンフェスト」を取材

フォルクスワーゲンに残された最後の砦「ゴルフGTI」は電動化されるのか?GTIの祭典で考えた

フォルクスワーゲン本社があるウォルフスブルグに移し、イベント名を「GTIファンフェスト」として開催された。
フォルクスワーゲン本社があるウォルフスブルグに移し、イベント名を「GTIファンフェスト」として開催された。
熱狂的ファンの多い「フォルクスワーゲン ゴルフ GTI」。これまでGTIミーティングとして親しまれてきたGTIオーナーたちの祭典が、今年はフォルクスワーゲン主導のイベントとして開催された。開催地をフォルクスワーゲン本社があるドイツ・ウォルフスブルグに移すとともにイベント名を「GTIファンフェスト」として実施したのである。

GTI Fanfest 2024

最盛期には数万台ともいわれる参加車

「フォルクスワーゲン ゴルフGTI」ほど幅広い層から熱烈な支持を受けているスポーツモデルはないだろう。1976年に発表された初代ゴルフGTIは、当初5000台を生産する計画だったが、世界中からオーダーが殺到したため、最終的に46万1690台がロールオフしたという異例のモデル。こうした人気を受けて2代目以降のゴルフにもGTIは設定され、これまでに通算で230万台以上が販売されるメガヒットモデルとなった。おそらく、これに優る販売台数を記録したスポーツモデルは、世界中探しても他にないのではないか。

ゴルフGTIの人気を示すもうひとつの例証がGTIミーティングの存在である。GTI愛好家のエルヴィン・ノイヴィルトの提唱により、オーストリアのヴェルター湖周辺で1982年に初開催されたGTIミーティングは、その後も年々規模を拡大。最盛期には数万台ともいわれる参加車を集め、その混雑振りから徐々に社会問題化するほどの盛況だったとされる。

しかし、2020年以降は新型コロナウィルスの大流行によりイベントは中止。さらに、地元であるマリアヴェルトの自治体は、今後数年間はGTIミーティングのような大規模なイベントを実施しないとの決定を下す。ところが、2022年にはおよそ5000台の車両が自主的にヴェルター湖周辺に集結したため、警察の手により3700件の取締りが行なわれるという騒ぎを招いた。

フォルクスワーゲン・アリーナ周辺で開催

こうした事態を受け、フォルクスワーゲンはGTIミーティングをメーカー主導のイベントとして開催する方針を打ち出す。もちろん、これまでどおりGTIファンクラブの協力は仰ぐものの、開催地もオーストリアからフォルクスワーゲン本社があるウォルフスブルグに移すとともにイベント名を「GTIファンフェスト」に改め、整然と、そして粛々と実施したのである。

7月26〜28日の3日間にわたり、ウォルフスブルグのサッカー場であるフォルクスワーゲン・アリーナ周辺で行なわれたイベントには、700台以上のゴルフGTIやゴルフRなどが展示されたほか、2500台もの車両が会場周辺の駐車場に集まった。

これまでGTIミーティングを取材したことがない私には、彼の国のファンがカスタマイズした車両が実に興味深く映った。車高を極端に落としたり、ワイドなタイヤに履き替えたりするのは日独に共通した傾向ながら、日本のカスタマイズカーと違って派手なエアロパーツを装着した車両はあまり見かけなかった。いっぽうで、オレンジやグリーンといったビビッドなボディカラーが目立っていたのは、ゴルフⅠのイメージを引きずっていたからか。いずれにしても、鮮やかなボディカラーが主流で、どれもピカピカに磨き上げられている点が印象的だった。

電動化を積極的に推進するフォルクスワーゲン

さらにいえば、ボンネットを開いてエンジンルーム内を披露する車両も少なからず参加していた。それらはエンジンルーム内も光沢のあるカラーでペイントするとともに、各種配管やストラットタワーバー、エアファンネル(!)などを目映いばかりにメッキし、メカニカルな美しさを強調していた。この辺もドイツ人愛好家の傾向を示すものといえるだろう。さらには、ゴルフⅡをミッドシップ化したり、片側3ドアのストレッチリムジン(?)に改造したゴルフなどが参加。ファンの注目を集めていた。

興味深いのは、メーカー主導のイベントとなったことで、フォルクスワーゲンが所有するコンエプトカーやレーシングカーなどが多数、展示されていたことだろう。そうしたなかにはEVのI.D.シリーズも含まれており、電動化を積極的に推進する同社の姿勢が明確に打ち出されていた。

フォルクスワーゲンのブランドCEOであるトーマス・シェーファーを始めとする首脳陣が出席し、メディアからの取材を受けたことも、メーカー主導のイベントとなったことの証しかもしれない。

「EV路線に変化はない」とCEO

そのなかで、次世代ゴルフGTIがEV化されることが明言されるいっぽう、そのスタイリングは「ベールをかぶった状態でも、ひと目でゴルフGTIとわかる」ものであることが明かされた。

いっぽうで、フォルクスワーゲンのEV化策とは裏腹に、ここ1、2年はEVの普及率が伸び悩んでいることも事実。これについて私が「昨今の市場変化を受けて、エンジン車やハイブリッド車の重要性を見直す機運はないか?」と質問したところ、シェーファーCEOが「EV路線に変化はない」と回答したことは、ドイツ人らしい一徹さが表れているようにも感じられた。

ゴルフⅠのデビューから50周年を迎えた今年、GTIフェストを開催することはフォルクスワーゲンにとって重要な意味を持っていたはず。いっぽうで、再来年はゴルフGTIのデビューから数えてちょうど50年目にあたる。そこで来年以降のGTIファンフェスト開催について首脳陣に質問したところ、「まだ今後の方針は未定で、今回の結果を踏まえて検討する」との答えが返ってきた。形はどうであれ、ゴルフGTIの生誕50周年を祝うイベントが賑々しく開催されることを期待したい。

8代目ゴルフ改良新型のスポーツモデル、「ゴルフ GTI クラブスポーツ」。

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著者プロフィール

大谷達也 近影

大谷達也

大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌「CAR GRAPHIC」の編集部員…