目次
RAYS VOLK RACING G025GC
×
BENTLEY BENTAYGA
コンセプト・イズ・レーシング思想
創立から10年が経たないうちに4年連続を含む5度のル・マン24時間レース優勝を遂げたベントレー・ボーイズの活躍に象徴されるように、1世紀以上の歴史を持つベントレーのなかでも黎明期はとりわけ“レーシング”だった。ボルクレーシングG025GCを装着したベンテイガを前にすると、モータリゼーションの黎明期をレーシングとともに駆けぬけている頃の熱気が伝わってくるようで不思議だ。
レーシングとは一線を画すかのようにエレガントに振る舞うラグジュアリーSUVながら、ホイールを換えるだけで裏地に秘められたレーシングのDNAが顕わになる。G025GC自体、ボルクレーシングはおろかレイズ全体が貫く「コンセプト・イズ・レーシング」の思想のもとに生まれているからだろう。TE37を軸とした長年の技術蓄積は数限りない。軽量性能を突き詰め、次いで最適な剛性確保に着目して鍛え上げてきたその技術は、決してスポーツカーだけに活かされるものではない。G025GCは巷に増殖するプレミアムSUVやラージミニバンに向けたものとなった。「大人のためのボルクレーシング」として産声を上げたGシリーズ一連の製品であり、G25、G025と進化を続ける派生版の一種でもある。
名前の由来となる2×5本スポークは、軽やかな雰囲気とシャープな造形が特徴ながら、G025GCは見た目にしても実重量にしても、ボリューミーなクルマへの装着を見越してより骨太さを強調させたものへ。繊細なのにもかかわらず屈強さを感じさせる絶妙なデザインである。
もちろん、2.5tを超える車体を500PSオーバーで引っ張るようなパッケージを難なく受け止める耐荷重性能を持たせている。JWLやVIA基準に対して約2倍もの要求性能を満足させるレイズ独自のホイール強度基準だという「JWL＋Rスペック2」を軽々とクリアすることが何よりの証明材料だ。なお、静粛性や乗り心地の領域にまで気を配るあたり、スポーツホイールの進化を感じるうえに、ベンテイガの性能を全方位的に引き立てている。
手に取るように伝わる剛性感
サイズは前後とも10.0×22インチ。J数や285/40R22というタイヤサイズを含めて純正で用意されるホイールと同サイズであり、インセットのみわずかに工夫を加えている。23、24インチへの拡大が一般的ながらも、あえて純正同サイズに抑えるあたりが大人っぽく、またスポーツホイールらしさも感じさせる。なお、ベンテイガのP.C.D.は5×130であり、“130”という数値はポルシェ勢やGクラスが採用するものだ。G025GCは発売早々にGクラスへのマッチングを突き詰めたことから、それをベンテイガに応用させることが可能となった。なお、サイズ全容は9.0J～10.0J×22インチの範囲で、ランクルやアルファードからレクサスのSUV勢、ディフェンダーなども網羅する。それぞれ固有の世界観を持つのに、そのどれもスポーティな雰囲気を持って引き立ててしまうあたり、G025GCのデザイン的魅力があるのだと思う。
ベントレー初のSUVとして2013年に生まれたベンテイガのコンセプトは「ラグジュアリーとパフォーマンスを融合させたSUVにして、SUVの世界におけるハイエンドを新たに定義するモデル」だということ。実際に街中からハイウェイ、極論を言えばサーキットからラフロードにいたるまで、路面や環境に依存することなくあらゆる状況下で、高い快適性と質の高い走行性能を持つことがそのコンセプトを体現する。それはボルクレーシングG025GCによって、より一層磨きがかかったようである。軽やかなステアリングフィールが際立ち、乗り味もよく、何より手に取るようにその剛性感が伝わる。当時のベントレー・ボーイズにこんなベンテイガを見せたとしたら、率先してステアリングを握りたがるに違いない。
REPORT／中三川大地（Daichi NAKAMIGAWA）
PHOTO／レイズ（RAYS）
MAGAZINE／GENROQ 2024年11月号
【PRICE LIST】
G025GC 22×9.0J～10.0J：19万3600円～20万3500円
【問い合わせ】
レイズユーザーダイヤル
TEL 06-6787-1110
https://www.rayswheels.co.jp