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Mercedes‑Benz CLA
従来のレベルを超えるEVとしてデビュー
新型「メルセデス・ベンツ CLA」に搭載されるフル電動パワートレインには、長年にわたるメルセデス・ベンツの電動化技術が全て組み込まれるという。
最新電動プラットフォームのMMA(メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャー)には、メルセデス・ベンツの新世代EV第1弾として、電動ドライブユニット「EDU 2.0(エレクトリック・ドライブ・ユニット2.0)」が初導入されるという。MMAは、4ドアクーペ(CLA クラス)、シューティングブレーク(ワゴン)、SUV、クロスオーバーといった、異なるホイールベースやボディスタイルにもフレキシブルに対応するので、CLAに続き、様々なボディバリエーションが登場する予定だ。
「EDU 2.0」には、高性能パワーエレクトロニクス「SiCインバーター」が搭載され、効率的なエネルギー利用を実現。全輪駆動の「4MATIC」モデルには、フロントアクスルに80kW出力のドライブユニットが搭載され、こちらも「SiCインバーター」が導入される。
航続距離に特化したコンセプトカー「ヴィジョン EQXX」に搭載されていた800Vシステムと、炭化ケイ素(SiC)インバーターも初導入。リヤアクスルに永久磁石同期モーター「PSM」を搭載したコンパクトな200kWの電気駆動ユニットは、全てメルセデス・ベンツが自社開発している。
2023年に発表された「コンセプト CLA クラス」では航続距離750km(WLTPサイクル)を目標に掲げており、カタログデータだけでなく、実際の交通環境においても優れた航続距離を実現するという。リヤアクスルのメインドライブに搭載された2速ギアボックスは効率を高めるだけでなく、これまでにないダイナミックなドライビングパフォーマンスを可能にしている。
15分の充電時間で300kmの走行が可能に
新型CLAは、メルセデス・ベンツとして初めて、800V電動アーキテクチャーを採用。プレミアムバージョンのバッテリーと組み合わせることで、最大320kWもの高出力DC充電が可能になり、わずか15分の充電で最大300kmもの走行が可能になるという。時間効率を重視した結果、CLAのプレシリーズ・プロトタイプは、すでに記録的な航続距離を実現。南イタリアのナルド試験場において、24時間内で3717kmを走破した。
「MMA」をベースに開発された新型CLAは、2種類のバッテリーをラインナップ。使用可能エネルギー容量85kWhを持つプレミアムバージョンのバッテリーセルは、アノード(外部回路から電流が流れ込む電極)のグラファイトに酸化ケイ素が加えられた。これにより、従来のグラファイト負極のバッテリーに比べ、重量エネルギー密度は最大20%も向上した。
新設計されたクラッシュコンセプトが導入され、バッテリーハウジングは車両構造の一部に組み込まれた。バッテリー以外にも、高電圧(HV)ケーブル、その他のHVコンポーネントは、アクシデント発生時にメルセデス・ベンツが求める厳しい安全要件を満たすよう設計・保護されている。