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今すぐ雪山に行きたい!という時に
愛車は使用目的に合わせて選ぶもの──、であるはずだけれど、実はこれまでそういう目で真剣に選んだことはなかったかもしれない。とりあえずのアシなので2駆で充分。でもロングドライブで疲れないくらいのサイズ感があって、壊れてもパーツの入手が容易、かつ近所の工場でも直せるいうことで自然とドイツ製FRレイアウトのセダンを選んでいたりした。振り返ってみれば、愛車遍歴の半分近くがドイツのソレだったりするのである。
けれど今回は違った。いよいよ、4駆がないとダメだと悟ったのである。なぜって「いまだ!」というタイミングで心おきなく雪山に行きたいから。それもけっこう雪深いいわゆる最深部の登山口までたどり着きたい。
FR車+雪道といえば経験のある方ならお分かりの通り、これまではけっこうスリリングな経験をしてきた。でも昨年、山道で軽い(いや重かったか)スタックを経験し、そろそろバカなことはやめようと考えたのだ。
最終選考に残った2台は?
じゃあ何にするか? 要件は雪道を得意としつつ普段使いもストレスがなく、安価、コンパクト。欲を言えば燃費が良く、手に入れたことにワクワクできるような1台がいい。というのも、これまでドイツ車を手に入れて興奮したことがなかったから。そんなクルマ人生じゃつまらないとあらためて思ったのだ。
最終選考に残った2台は「ジムニー」と輸入車4駆最小の「フィアット パンダ4×4」だった。そして僕的にオツだと感じたのはパンダの方。シートもジムニーより長距離向きだし、以前から大好きだったツインエア・エンジンを6速MTで操るという魅力もある。問題は価格なのだが、そこは走行距離が伸びたヤツを買えばいい。かくして走行距離14万km、車両価格は62万円だったところを、知り合いに業販で取ってもらって52万円=日本一安価なパンダ4×4を手に入れたのである。
もちろんハナシはそんなにうまくはいかなくて、車検取得と各部のメンテでプラス20万。さらにパンダ4×4の泣き所であるプロペラシャフトセンターサポートベアリングも逝っていたのでプラス10万円といった感じで徐々に乗り出し価格は膨れてきた。
それでも、とりあえず問題のない中古車をそれなりの値段で買うか、トラブルが見えつつある個体を安価で手に入れるかというのは、中古車好きの永遠のテーマでもある。僕の結論としては圧倒的に後者、というわけだ。
思っていた以上に楽しい
パンダ4×4が我がガレージにやってきて最初にやったのはコンパウンド入りワックスで徹底的に磨いたこと。次に異常なロードノイズを放つ中国製のタイヤから、デビューしたばかりのダンロップのオールシーズンタイヤ、シンクロウェザーに替えたこと。さらにタイヤチェーンも一組買って準備万端である。
カタログモデルというより限定車として何度かリリースされている3代目となるパンダ4×4にはこれまで何度か試乗している。まだ本格的な雪山にはアタックしていないのだが、以前冬の北海道でも試乗しているので、全く問題がないことはわかっているつもり。
普段使いしはじめて気がついたのは、ツインエア+6速MTのドライビングが思っていた以上に楽しいこと。まるで「エアコン付きの旧車」みたいな雰囲気で、ついついエンジンを回してしまい、走るたびに燃費が悪くなっているのは内緒のハナシ。長距離で腰が痛くならないシートも気に入った。装備はミニマムでナビもACCも付いていない。けれどナビはスマホ派だし、ACCはこれだけドライビングが楽しければいらない! と言っておこう。現在は所有3か月目で蜜月はまだ続いている。とりあえず、いい買い物した! そしてたぶん、長い付き合いになるはず。さあ白銀の峰々がパンダと僕を呼んでいる!