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Ferrari 499P
昨年と同様のドライバーラインナップ

WECにワークスチームとして参戦するフェラーリ・AFコルセは、2025年シーズンもドライバーラインナップに変更はなく、アントニオ・フォコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセンが50号車、アレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョヴィナッツィが51号車のステアリングを握る。
2024年にマニュファクチャラーズ世界選手権ランキング3位、2023年に2位を獲得したフェラーリ。2025年シーズンの目標は、マニュファクチャラーズ選手権とドライパーズ世界選手権の両タイトルの獲得を目標に掲げた。WECでタイトルを獲得すれば、1972年のメイクス世界選手権以来となる、耐久レース世界選手権王座をマラネッロへと持ち帰ることになる。
2024年はル・マン24時間レースでの勝利を獲得した50号車のアントニオ・フォコは、次のようにシーズンの目標を語った。
「2024年は多くの経験を積むことができました。マシンコントロールとマネージメントを強化し、499Pのセットアップを微調整、総合的なパフォーマンスを向上させることができたと思っています。新シーズンに向けた私の願いは、両選手権でタイトルを争い、再びル・マンで勝つことです」
昨シーズンは最終戦バーレーン8時間レースで印象的なスピードを披露した51号車。アレッサンドロ・ピエール・グイディは、シーズンオフに様々な作業を行ってきたことを明かす。
「冬の間、いくつかのサーキットテストを行い、499Pのあらゆる面を最適化するため可能な限りのシミュレーター作業を行いました。2025年のカレンダーは2024年と同じなので、すでに速さが証明されているサーキットでは戦闘力を維持し、問題があったサーキットでも改善することができるはずです」
「今シーズンは競争力を持って選手権争いに加われると期待しています。WECでのタイトル獲得という目標を達成するためには、さらにパフォーマンスを向上させ、すべてのレースでポイントを獲得しなければなりません」
「312PB」をオマージュしたリバリー

2025年シーズンのWECを戦う499Pは、これまでの継続性を持ちながら、ひと目で2025年仕様だと分かる印象的なデザイン要素が導入された。メインカラーはフェラーリと499Pのシグネチャーカラーであるレッドに、鮮やかなイエローのジャッロモデナが組み合わせられた。
今回、フェラーリの歴史に敬意を表しつつ、1970年代を戦ったスポーツプロトタイプレーシングカー「312PB」を讃えるリバリーを採用。312PBをはじめ、過去数十年のフェラーリのレーシングカーに見られたカラーを再解釈したダークな色合いのレッドと、ボディラインを強調するジャッロモデナをブレンドした。また、スクーデリア・フェラーリHPのF1マシンとマッチするよう、するマットなアクセントも加えられている。
さらに、夜間レースにおいて車両の視認性を高めるため、カラーリング自体を最適化。コクピット周辺は、2023年以降の特徴であるイエローのストライブは残されたが、昨シーズンとは異なり、サイド下部ではなくサイドボッド全体にイエローが広げられた。このデザインは、サイドボッドを縦方向に強調し、ダイナミックな存在感を高めている。また、グランドスタンド上方からでも499Pをすぐに視認できる効果も持つ。
サンパウロから導入された“エボ”仕様

マシンのテクニカル面に関しては、2024年シーズンの第5戦サンバウロから導入された、エボ仕様をキャリーオーバー。エボ仕様導入時点で、ブレーキ冷却ダクトシステムの再設計、フロントヘッドライト下部のフリック追加など、空力面でのアップデートが施された。
チームは冬の間、サーキットとシミュレーターでのテストセッションを実施。全体的なテクニカルパッケージの最適化に取り組んだ。シーズンオフの開発プログラムは、レギュレーションのアップデートを導入しながら、規定の範囲内で入念な微調整を施すことで信頼性を高めている。499Pの開発責任者を務めるフェルディナンド・カンニッツォは、2025年仕様について次のように説明を加えた。
「冬の間、私たちはマシンと、すべてのオペレーションツールの改善に取り組み、チーム全体のレベルアップと最適化を図りました。2024年シーズン後半、レギュレーションに準拠した多くの改良をマシンに導入しています。そのうちの半分が信頼性の向上、4分の1がレギュレーションのアップデートに重点を置いたもので、残りはライバルとの性能差を埋めるべく最適化を図っています」
「2025年シーズン、ジョーカーアップアート(ホモロゲーションの誤記訂正)はありませんが、改善すべき点はたくさんあります。冬の間、私たちはセットアップの枠を広げるために懸命に努力しました。あらゆるコンディションでのタイヤ性能を引き出すことを目的に、新しいマネージメント面での戦略も試しています。精度を高め、ドライバーの入力に対してこれまで以上に素早いレスポンスを提供するため、あらゆる分野で改善を続けていきます」