限定9台のアウレリア アウトロー、最後の3台は高性能仕様「ヨーロピアン CSL」として製造

最高出力300bhpオーバー! ランチア アウレリアを魔改造した「アウトロー」登場 【動画】

最高出力300bhpオーバー! ソーンリー・ケルハムがレーシーに仕上げた「ランチア アウレリア アウトロー」
ソーンリー・ケルハムがレーシーに仕上げた「ランチア アウレリア アウトロー」のフロントスタイル。
英国・コッツウォルズを拠点とするヒストリックカー専門ファクトリーの「ソーンリー・ケルハム(Thornley Kelham)」は、ランチア アウレリアのレストモッド・プロジェクト「アウトロー(Outlaw)」を展開している。1950年代を代表するグランツーリスモを再解釈したアウレリア アウトローは9台が限定製造され、最後の3台がハイパフォーマンス仕様の「ヨーロピアンCSL」となる。

Lancia Aurelia “Outlaw” European CSL

レーシーなチョップドルーフを採用したアウレリア

最高出力300bhpオーバー! ソーンリー・ケルハムがレーシーに仕上げた「ランチア アウレリア アウトロー」
ヒストリックカーのスペシャリストであるソーンリー・ケルハムが手掛けた「ランチア アウレリア アウトロー」は、低く構えたチョップドルーフが採用されている。

2009年にコッツウォルズで設立されたソーンリー・ケルハムは、ヒストリックモデルのコンクールデレガンス用レストア、メンテナンス、サービス、ヒストリックラリーへの参戦サポートなどを行うスペシャリスト集団。3万2000平方フィートの敷地を誇る本社ファクトリーでは、最新設備を活用して36名のスペシャリストが様々な車種の作業を行っている。

ボディワーク、ペイント、エンジン、ファブリケーションの各部門を社内に保有。アルファロメオ、アストンマーティン、ベントレー、BMW、フェラーリ、ランチア、ランボルギーニ、メルセデス・ベンツ、ロールス・ロイス、ポルシェ、ビッザリーニなど、これまで手掛けてきたメーカーは多岐に渡っている。

「ランチア アウレリア アウトロー」はチョップドルーフ化だけでなく、シャシーとボディをフルレストア。強化・修復後作業には1台あたり約2200時間を要し、ディテールに新たなデザインも導入された。低くなったルーフラインに合わせて小型化されたフロントウインドスクリーンにより、優雅な低重心シルエットを手にしている。

また、圧延と丁寧な叩き加工により、ミリ単位で完璧な形状に拡幅化されたフロント&リヤフェンダーは、さりげない存在感を示す。簡素化されたデガッタールーフ、ニッケルメッキ製ブライトワーク、優美な曲線を描くボンネットロック、モンツァ・スタイルのフィラーキャップなどは、かつてのランチアからヒントを得ながらソーンリー・ケルハムが独自に製造した。

レーシングチューンにより最高出力300bhpを実現

最高出力300bhpオーバー! ソーンリー・ケルハムがレーシーに仕上げた「ランチア アウレリア アウトロー」
フロントに搭載される3.2リッターV型6気筒エンジンは、ベースの118bhpから300bhpにまでチューンされる。

今回発表された最上級仕様の「ヨーロピアン CSL」は新たな軽量構造に加え、フューエルインジェクション、バランス調整及びポート加工を施したシリンダーヘッドを備える3.2リッターV型6気筒「Busso」エンジンを搭載。最高出力は300bhpオーバーを発揮し、5速トランスミッションが組み合わせられる。

パワーユニットのチューニングは、ヒストリックモータースポーツにおいて様々なレーシングエンジンを手掛けてきたソーンリー・ケルハムのエンジンスペシャリストたちがすべて社内で担当。オリジナルのアウレリアの最高出力が118bhp、アウトローの基本仕様が220bhpであることを考えると、ヒストリックカーでは「驚き」と言えるレベルの大幅なパワーアップを実現した。

ベースモデルのアウトローでも、わずか1100kg強に抑えられた車両重量によりラリーカーのような軽快なドライブを実現。現代の基準では比較にならないほど軽く、ターボエンジンやワイドタイヤを装着した最新の重量級ロードカーとは比較にならないピュアでスリリングなドライブフィールが提供される。

オーダーメイドで仕上げられた美しいインテリア

最高出力300bhpオーバー! ソーンリー・ケルハムがレーシーに仕上げた「ランチア アウレリア アウトロー」
ゴージャスなグランツーリスモとしての美しさを残したアウトローのインテリア。オーダーメイドにより、カスタマーの希望した仕様に仕上げることができる。

全9台の製造を予定しているアウレリア アウトローのうち、最後の3台は「ヨーロピアン CSL」として製造。最新仕様のディスクブレーキ、ペダルボックス、ラック&ピニオン式ステアリング、アップグレードされたサスペンションに加えて、リミテッド・スリップ・ディファレンシャル(LSD)、パワーアップに応じたフルアップグレード仕様の前後サスペンション、パワーステアリングなどが標準で装備される。

これまでのアウレリア アウトローと同様、ヨーロピアン CSLはオーダーメイドにより自分の希望通りにインテリアを仕上げることができる。フルコノリーレザー、エアーコンディショナー、様々なフロントシートのオプション、アルカンターラのヘッドライニング、完全にボディに組み込まれたロールケージ、競技用ウッドリム・ステアリングホイールなど、その選択肢は豊富だ。

さらに、ツートンカラー仕上げ、エレガントなリヤのラゲッジスペース、カスタマイズされたダッシュボードなど、カスタマーの要望に応じて1台1台がハンドメイドで製造される。

ジョヴァンニ・ブラッコのアウレリアをオマージュ

最高出力300bhpオーバー! ソーンリー・ケルハムがレーシーに仕上げた「ランチア アウレリア アウトロー」
1951年にジョヴァンニ・ブラッコにより、様々なレースで活躍したアウレリア B20GT 「シャシー1010」のレストアを行ったことが、アウトローの開発につながった。

アウレリア アウトロー・プロジェクトは、おそらく最も有名なアウレリアである「シャシー1010」のレストアをソーンリー・ケルハムが手掛けたことに端を発している。

アウレリア B20GT 「シャシー1010」は、プライベーターであるジョヴァンニ・ブラッコが購入し、様々なレースに出場した。彼は1951年のミッレミリアにほとんど無改造のアウレリアで参戦し、総合2位でフィニッシュ。その後、ル・マン24時間レースでクラス優勝、ペスカーラ6時間レースで優勝、カラカラ・ナイトレースで優勝という輝かしい戦績を残している。

レストアの鍵となったのは、1951年夏に開催されたペスカーラ6時間レースに関する『オート・イタリアーナ(Auto Italiana)』誌の記事を発見したことだった。小さな写真を伴った小さな記事には、ランチアとブラッコが空力の改善を狙ってアウレリア B20GTのルーフを低く改造していたことが明らかになったのだ。

最高出力300bhpオーバー! ソーンリー・ケルハムがレーシーに仕上げた「ランチア アウレリア アウトロー」
ソーンリー・ケルハムがレストアしたランチア アウレリア B20GT 「シャシー1010」のサイドビュー。当時のデカールも忠実に再現されている。

ソーンリー・ケルハムはボディワーク、インテリアトリミング、メカニカルレストア、ペイントワークなどの大掛かりな作業により、のべ4000時間超・3年以上の年月をかけて、ブラッコのアウレリア B20GT シャシー1010のレストアを完了。その経験や基準をもって、アウレリア アウトローは製造されている。

ソーンリー・ケルハムの共同創業者である、サイモン・ソーンリーはアウレリア アウトローに関して次のようにコメントした。

「アウレリア アウトロー・プロジェクトは究極の進化を遂げ、いよいよ残り3台となりました。それぞれのクルマには、細心の注意を払って開発された新しいアップグレードが施されます。しかし、これで私たちのオーダーメイドプログラムが終わったわけではありません」

「実は、このヨーロピアン CSLは、私たちが『The Europeans』と銘打って今後数年間に発表する予定の新しいプロジェクトの第1弾なのです。アウレリアと同様に、アイコニックなパフォーマンスカーを中心に、新鮮なデザイン、アップグレードされたパフォーマンス、そしてディテールへの拘りを持って開発する予定です」

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ランチア アウレリア アウトローを動画でチェック!

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…