992型をベースにした911スポーツクラシックは邦貨約3750万円から

ポルシェ 911 スポーツクラシック、再登場! 歴代911の面影をもつ完売必至の限定車

ポルシェ 911 スポーツクラシックのフロントビュー
ポルシェは2022年4月28日、911 スポーツクラシックを発表。歴代911のエッセンスを採り入れたスペシャルモデルは、限定1250台の販売となる。
ポルシェは2022年4月28日、1250台の限定車「911 スポーツクラシック」を発表した。992型911をベースに歴代911のエッセンスをスタイリングに盛り込んだスペシャルモデルで、欧州では同日より注文受付を開始し、2022年7月よりデリバリーを開始する。車両価格は27万2714ユーロ(約3750万円)から。

Porsche 911 Sport Classic

発表後48時間で完売した“先代”スポーツクラシック

最初の「911 スポーツクラシック」は997型をベースにして2009年に登場。初代911や、“ナナサン カレラ”を思わせるダックテールなどの要素を融合した250台の限定車は、発売後48時間で完売したという伝説をもつ。

その「911 スポーツクラシック」が、992型になって帰ってきた。手掛けるのは、ポルシェのカスタム部門「ポルシェ エクスクルーシブ マヌファクトゥア」。“先代”の反響の大きさを受けてのことか、今回の販売台数は1250台と大幅に増やされている。それでも「即完売は必至」というのがもっぱらの見方である。

史上最もパワフルなMTの911

なにしろ、今回も好事家の心に刺さる要素がこれでもかというくらい盛り込まれている。まず、搭載するのは911 ターボに迫る550psの出力を発生する3.7リッターの水平対向ツインターボで、しかも後輪駆動である。さらに、組み合わせるのは7速のマニュアルトランスミッションのみ、というのもポイント。すなわち、今回の911 スポーツクラシックは「マニュアルで操ることができる史上最もパワフルな911」なのだ。

サスペンションは、911 ターボ及びGTSのそれをベースとしており、車高が10mm低く設定されるPASMスポーツサスペンションが標準装備となる。後輪駆動ゆえにフロントアクスルにかかる荷重が少なくなるため、ポルシェのサスペンションエンジニアはフロント側のスプリングレートをわずかに低めているという。

ポルシェ 911 スポーツクラシックのホイール
ポルシェ 911 スポーツクラシックのホイールは、いわゆる“フックス“デザイン。PCCBが標準装備のブレーキには、ハイグロス ブラック塗装のブレーキキャリパーが組み合わされる。

また、911スポーツクラシック用にチューニングされた後輪操舵システムも搭載した。なお、ブレーキもポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)が標準装備品のひとつである。

ボクサーエンジンのサウンドを堪能できるよう、スポーツエキゾーストシステムを搭載。さらに、一部の防音材を内装から撤去するという“配慮”もなされている。

“ナナサンカレラ”のダックテール風スポイラーを採用

ポルシェ 911 スポーツクラシックのリヤビュー
ポルシェ 911 スポーツクラシック(写真右)は、“ナナサンカレラ”のダックテールを思わせる固定式スポイラーを採用。現代車らしく、素材は軽量なCFRP製である。

911 スポーツクラシックは、1960〜70年代初頭の911を彷彿させる内外装を採用している。911 ターボのワイドボディをベースにしているが、空力特性を見直すことで、エンジンに空気を送り込むリヤフェンダーのエアインテークを排除。さらに、1972年の911 RS 2.7の“ダックテール”を思わせるCFRP製固定式スポイラーを装着している。

タイプ997ベースのスポーツクラシック同様、ボディカラーには356からインスパイアされたグレーをチョイス。同社のデザイン部門、スタイル・ポルシェの責任者を務めるミヒャエル・マウアーは、「911 スポーツクラシックは、スポーツグレーメタリックを初めて採用しています。ヴァイザッハのデザインスタジオで開発を進めている最中、我々は何度となくこのクルマを眺めてきましたが、いつも辿り着く結論は同じでした。グレーは決して色褪せない。はっきりと意志を感じさせる色であり、いつの時代でも非常にクールな色なのです」と語っている。

リヤの“PORSCHE”ロゴには本物のゴールドを使用

ポルシェ 911 スポーツクラシックのリヤセクション
ポルシェ 911 スポーツクラシックは、リヤのレタリングの表面仕上げに本物のゴールドを使用。1963年のロゴや専用のバッジも配置するなど、随所にスペシャルな意匠をあしらっている。貴重な限定モデルであるスポーツクラシックには、屋内用の専用ボディカバーも付属するという。

さらに、ボンネットとルーフ、リヤスポイラーにはライトグレーのダブルストライプをハンドペイント。複数のコート層を重ねると共に丁寧な研磨作業を施すなど、ボディへ完璧に馴染むよう細やかな表面処理がなされている。ボディサイドのラウンデルには、0〜99まで好みのゼッケンナンバーを入れることが可能。もちろん、シンプルな仕上がりを好むオーナーに向けて、レスオプションも用意している。

加えて、ボンネットやステアリングホイール、ホイールハブカバーなどには1963年当時のポルシェエンブレムを配置。リヤの“PORSCHE”、及び“911 Sport Classic”のレタリングには、表面処置に本物のゴールドを使用しているという。

356にオマージュを捧げる回転計

インテリアには、コニャックカラーのセミアニリンレザーを使用。表面の染色層を薄く仕上げることでレザー本来の表情を際立たせるとともに、しなやかな触感を与えている。オープンポア(導管を塞がず、木目本来の質感を残したウッド加工)の加飾パネルも標準装備。また、シート中央やドアパネルには伝統的な千鳥格子柄を採用した。「Pepita(ペピータ)」と呼ぶ千鳥格子柄は、1965年の911にオプションとして初設定されたもので、クラシカルなムードをキャビン全体に与えている。

高解像度の7インチディスプレイを嵌め込んだインストゥルメントパネルにも、ヘリテージ要素が仕込まれている。真ん中に据えたアナログの回転計にはクラシックスタイルの針を使用したうえ、グリーンの数字も356にオマージュを捧げたデザインとしている。ちなみに、ディスプレイ上の各表示類にも専用のデザインを採り入れる徹底ぶりである。

また、キーは車体と同じカラーに塗装され、インテリアと同じ色合いのレザーケースに収納。ドキュメントフォルダーにも同じレザーを使用している。フロアマットも専用のクラシカルな仕様を用いた。

続く2台の限定モデルにも期待!

ポルシェ 911 スポーツクラシックと911 タルガ 4S ヘリテージ デザイン エディション。リヤビュー
ポルシェ 911 スポーツクラシック(写真左)と、2020年に登場した911 タルガ 4S ヘリテージ デザイン エディション。ポルシェは、「ヘリテージ デザイン」シリーズとして、あと2台の限定モデルを投入する計画だ。

ポルシェでは、2020年に4台の「ヘリテージ デザイン」シリーズを順次リリースしていくことを告知している。その第1弾が、992世代の「911 タルガ」をベースに、1950〜60年代初頭のデザイン要素を取り入れた「911 タルガ 4S ヘリテージ デザイン エディション」。今回のスポーツクラシックは、それに続く第2弾のヘリテージ デザインシリーズモデルとなる。

それぞれの限定モデルに採用された特別な内装の意匠などは、「ヘリテージ デザイン パッケージ」として別売りも行っている。また、残る2台のヘリテージデザインシリーズについても、果たしてどの911をベースに、いつの時代にスポットライトを当て、いかなる現代的再解釈を行うのかと、早くも大きな期待が寄せられている。

911 スポーツクラシックは、欧州では2022年4月28日より注文受付をスタート。2022年7月よりデリバリーを開始する。車両価格は27万2714ユーロ(約3750万円)から。現時点での日本導入タイミングについては未定。

GENROQ×ウナ丼コラボ動画公開!

YouTuber「ウナ丼」と『GENROQ』がコラボ! ポルシェ 911 GT3を動画で詳細インプレッション 【動画】

GENROQ Web新企画始動! 大人気YouTubeチャンネル「ウナ丼_STRUT_エンスーCARガイド」とコラボし、スーパーカーを中心とした動画レポートの配信が決定した。第1回はポルシェが誇るサーキット直系モデル「911 GT3」をストリートインプレッション。昭和のオジサンふたりのゆる~いレポートをお楽しみください。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…