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Volkswagen ID. Buzz & ID. Buzz Cargo
21世紀のワーゲンバスがいよいよ先行販売へ
ミニバン復興ののろしを上げる1台として、大きな注目を集めているのがフォルクスワーゲンのID.Buzz(アイディー バズ)。フォルクスワーゲン肝煎りのEV専用プラットフォーム「MEB」をベースにしたモノフォルムボディにレトロスペクティブなデザインを採用し、かつ最先端のデジタル機構を盛り込んだ“21世紀のワーゲンバス”だ。
フォルクスワーゲンでは、2022年5月20日にID.Buzzの先行販売をドイツでスタート。本国では商用バン仕様のカーゴが5万4430.60ユーロ(約738万円)〜、乗用仕様が6万4581.30ユーロ(約878万円)〜という価格設定となり、今秋よりデリバリーを開始するという。
ヴォクシーやステップワゴン並みのサイズ感
両側スライドドアをもつID. Buzzには、5人乗りの乗用仕様と3人乗りの商用バン仕様の2モデルがラインナップされる。車両寸法は全長4712×全幅1985×全高1937mm、ホイールベース2988mmとかなり大型クラスのミニバンになる。
ワーゲンバスの面影が色濃く残るモノフォルムのボディは前後のオーバーハングが非常に短く、フロントアクスル直上に運転席を配置していたワーゲンバスのように、ドライバーの着座位置をできる限り車両前方にセット。優れた前方視界と広い室内空間を確保した。EVの航続距離を左右する空力性能を徹底的に追求し、ミニバンスタイルながら0.285のCd値を実現(バンは0.29)している。
ポップなムードはワーゲンバスのDNA
また、パワートレインをコンパクトにまとめたEV専用プラットフォームを採用したことで、ラウンジのように広々としたキャビンが誕生。荷室容量は1121リットルを確保し、2列目シートを折り畳めば最大2205リットルまで拡大できる。2人乗り/3人乗りから選択可能な商用バン仕様は、固定式パーティションの後方に3.9平方メートルの広大な積載エリアが広がる。
ID. Buzzは、ワーゲンバスにとって最大の魅力であった「楽しげなムード」も受け継いでいる。エクステリア/インテリアデザインはいかにも愛嬌たっぷりで、シングルトーンで7色、ツートーンで4タイプと多彩なボディカラーも用意。ツートーンを基調としたポップな内装も、往年のテイストに近い。眺めているだけでワクワクする独特のキャラクターは、まさにワーゲンバスのDNAといえる。
航続距離は最長424kmを実現
リヤエンジン・リヤ駆動だったタイプ2に対し、ID.Buzzは容量77kWhのバッテリーをフロアへフラットに敷き詰め、最高出力150kW/最大トルク310Nmのモーターで後輪を駆動。航続距離は421kmを実現している(カーゴは424km)。また、170kWの急速充電を使用すれば、約30分で5〜80%までチャージすることができる。
他車や周囲の環境と相互通信できる「Car2X」(車車間/路車間通信システム)をはじめ、衝突被害軽減ブレーキやレーンアシスト、同一車線内全車速運転支援システム「トラベル アシスト」、道路標識認識機能といったADAS機能も充実。さらに、駐車の際に任意で保存した走行ルートを自動的に走行させることができる「メモリーファンクション」も採用した。OTA(オーバージエア=インターネット経由で自動車のソフトウェアを更新する技術)にも対応しているので、ID. Buzzは購入後も常に新しい仕様へとアップデートすることが可能である。
動物由来のレザーは一切不使用
まず市場へ導入されるのは、上級装備の「Pro」。リヤのティンテッドガラスや19インチホイール、LEDヘッドランプ、ロゴプロジェクションシステムなどが標準装備となる。コクピットはフルデジタル化。5.3インチのメーターディスプレイと、10インチのタブレット型タッチスクリーンを搭載する。
次世代ミニバンであるID. Buzzは、サステナビリティに配慮したマテリアルも積極的に使用。動物由来のレザーは一切使用せず、代替マテリアルを活用。ステアリングホイールのリムは一見本革のようにも見えるが、ポリウレタンを利用することで上質な見栄えと触感を“再現”している。約10%の海洋プラスチックと約90%のペットボトル再生材から作られたリサイクル糸「SEAQUAL yarn」や、エコフレンドリーなマイクロフリース素材「ArtVelours ECO」も採用した。
日本市場でも勝算の見込みアリ
ボディカラーは、メタリックのシルバー、ライムイエロー、ブルー、オレンジ、グリーンに加え、パールブラック、ソリッドのホワイト、さらに4種類のツートーンカラーを用意。ツートーン仕様の場合、ルーフとV型ボンネット部分はホワイトとなる。
ID.BuzzとID. Buzzカーゴは、ハノーバーにある商用車プラントで生産される。生産から輸送に至るまでカーボンニュートラル化を実現しており、同車の充電にグリーンエネルギーを使えば、すでにID. Buzzは「気候中立」を達成していることになる、とフォルクスワーゲンでは主張する。
いよいよドイツで走りだす現代のワーゲンバス。日本への導入時期については現時点でアナウンスされていないものの、ルノー カングーやシトロエン ベルランゴなど、ちょうど良いサイズのポップなミニバンのニーズが高い土地柄とあって、早めの上陸を望む声はきっと多いに違いない。
※2022年5月27日 全幅数値は「※ミラー含む」を追加。
※2022年6月5日 全幅数値「※ミラー含む」を削除し、表現を改めました。